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01 引率

『リヴァイス 33 若先生と人生の扉の鍵』の続きで、


 ロイ村長のお話しです。


 お楽しみいただければ幸いです。



 俺の名はロイ。


 リグラルト王国の片隅にある小さな村の村長をしている。


 いつも平穏なのが自慢の小さな村、なので村長稼業もかなり平穏、つまり普段は割とひま。


 村内見回りという名の毎日の散歩が済むと、本当にやることが無かったりする日も多い。


 家族や住人たちにとっては平穏であることが一番、とは言うものの、


 たまにはピリッとしたスパイス的な何かが起きても良いかも、


 などと考えたりすると、この世界の神さまは見逃してはくれない、らしい。




 最近、友人の冒険者仲間たちが、メンバートレードという新しい試みを始めた。


 今までは、依頼内容によっては必要となる専門的な事柄などの既存メンバーでは足りない部分を、各チームなりのやり方で補い合っていた。


 新しいやり方は、そういう不足部分を積極的に他のチームから借りようぜということ。


 依頼内容に合わせて各チームから選抜された人員を集めて、最適なパーティーを組むのだそうだ。



 もちろん俺たちのチームも、試みに参加。


 結果は上々。


 依頼達成率の上昇や期間の短縮、それまであまり交流が無かったメンバー同士の親睦が深まる、などの様々な利点あり。



 つまり、新しい試みは大成功。


 だが、光あるところに影もある、って、ちょっと大げさすぎかな。


 要は、良いことばかりじゃなかったってこと。




 みんながメンバートレードにも慣れてきた頃の、とある日、魔導通信機マツカゼに連絡が。


『こんにちは、ロイさん』


 友人でチームモノカリーダーのモノカさんからの連絡、というかお願い、というかおねだり。



 メンバートレード作戦自体は大成功だったのだが、実は弊害もあった。


 なかなかメンバーに選ばれず、冒険の旅に出られなくなる人が出ちゃった、とのこと。


 つまりは、冒険機会の格差不平等。



 まずは、年少組。


 チームモノカのマクラちゃんや、チームカミスのハルシャちゃん。


 10歳にも満たないあの子たち、固定チームの頃は見守られながらも頑張ってきたのだが、


 メンバーを選べるとなれば無理に危ない場所へと連れて行くことも無いわけで。


 つまりは、お留守番ばかりでは退屈。



 次に、お姫さま組。


 チームカミスのエルミナさんや、チームアランのユイさん。


 高貴な出自の元お姫さまたち、固定チームの頃は見守られながらも頑張ってきたのだが、


 メンバーを選べるとなれば無理に危ない場所へと連れて行くことも無いわけで。


 というか、あまり無茶させると国家間の問題となる可能性すらあるので。


 しかしやはり、お留守番ばかりでは退屈。


 お姫さまと言えば、俺の娘、チームモノカ所属のアイネも、継承権的には微妙なのだがお姫さまだったりする。



 というわけでモノカさんからのおねだりは、最近特に居残り組になることが多い娘さんたちを、何か楽しい冒険の旅に連れて行って欲しい、というもの。



 内心、結構嬉しいお誘いなのだが、


 俺は冒険者としては半ば引退しているような状態だし、


 そもそも若い娘さんたちが楽しめるようなおすすめ冒険スポットなんて、


 俺みたいなおっさんには分かろうはずも無し。



『いえいえ、バトルも観光も無しの、のんびり幌馬車旅で良いんです』


 本当にそんなので良いの?



『みんなも、ロイさんとの幌馬車旅なら、絶対に楽しいですって』


 そこまで言うなら……



 というわけで、不定期で、乙女たちの引率者の旅を始めることになった、俺。



 日程などはゆるいながらも、しっかりと安全面を考慮した行程の予定をきっちりと組んで、


 ぶらり旅へのお誘いの速達鳥の返信も、みんなから無事到着。



 そして当日、


 配達魔導車『システマ』で送迎されてきたみんなは、とても楽しそうな良い笑顔。



「みんな、準備は出来てるかな」


「はい」×6


 それでは、幌馬車スマキ1号、ぶらり旅へと出発。



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