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つばめのジョニー

作者: 大川雅樹

 つばめのジョニーが、風を切って飛んでいきます。目指すはジョニーが住む森のてっぺんの一番高いきです。

 今日もジョニーが一番でゴールしました。仲間たちと速さ比べをしていたのです。ジョニーが羽を休めていると、仲間たちが次々に到着して言いました。

「やあ、またジョニーが一番だ。」

「まったく、ジョニーより速いものなんていやしないよ。」

 ジョニーは得意顔で言いました。「そうさ、この森では僕が一番さ。」

 仲間の一羽が言いました。「でも森の外には、ジョニーより速いものがいるかもしれないね。」

 首をひねっている仲間たちに、ジョニーは言いました。「森の外だって僕が一番さ。」

「よし、じゃあセイントじいさんに聞いてみようよ。」

 セイントじいさんというのは、森で一番の物知りなフクロウです。

 そして、みんなでセイントじいさんの所に行きました。

「森の外にジョニーより速いものがいるかじゃと?」セイントじいさんは、いつものように目をぱちくりさせながらいいました。

「いるともさ。ジョニーでも歯がたたないぐらいに速いものがね。しかも、みんながよく知っているものじゃ。」

 みんなはびっくりして言いました。「誰ですか?それは。」

「お日様じゃよ。」セイントじいさんは言いました。

 みんなは顔を見合わせてから、空を見上げました。

 一羽が言いました。「まるで止まっているように見えますよ。」

「いや、意外と速いのじゃ。ジョニーでもかなわない。」

 ジョニーが言いました。「なら僕はお日様に勝って見せます。」

 一羽が言いました。「どうやって勝負するんだい?」

「お日様が地面に着く所に、僕が先に着けばいいのさ。」

 ジョニーは、言うが速いか、お日様が沈む方へと飛び立ちました。

 ジョニーは森を後にして、いくつもの山を超えて飛びました。平野部を越えた時に、目の前に青い景色が広がりました。

「海だ!」ジョニーは初めて見る海でしたが、うわさには聞いていました。

 ジョニーはさらに飛び続けました。しかし、お日様に近づく気配もありません。お日様も水平線にずいぶんと近づいています。ジョニーはさらにスピードをあげましたが、ゴールが見えません。

 そして、とうとうお日様が海へと沈み始めました。

「負けた!」ジョニーは叫びました。初めての敗北でした。

 ジョニーはこれ以上飛んでもしょうがないと思い、戻ろうとしました。しかし、どちらを向いても海ばかりです。こんなにも長い間飛んだ事がなかったので、へとへとに疲れていました。

 すでに辺りは夜に包まれ、月明かりが照らすばかりです。

 よろよろと飛んでいたジョニーは、小さな岩のようなものを見つけました。

「やれやれ、助かった。」ジョニーは岩の上に降り立ちました。ホッとため息をついた時に声がしました。

「誰だい?私の上に乗っているのは。」

 ジョニーが降りたのはウミガメの背中でした。

「ごめんなさい。僕はつばめのジョニーです。とても疲れています。少し休ませてください。」

「私はウミガメのホーリーだ。こんな所で何をしてたんだい?」

「お日様と速さ比べをしたのですが、負けちゃって夜になってしまったんです。僕は誰よりも速いと思ってたんです。」

「負ける事がそんなに残念な事かい?」

「でも、勝ったらみんながほめてくれます。」

「ほめられたいから、勝ちたいのかい?」

 ジョニーは返事に困りました。

「私もお日様はえらいと思うが、それは速いからじゃない。みんなに明るさと暖かさを与えてくれるからだ。君はみんなに明るさと暖かさをあたえてるかな?」

 ジョニーは考え込んでしまいました。

 ホーリーが言いました。「少し眠るといい。朝になれば、お日様が生まれてくる方に飛びなさい。」

「はい、ありがとうございます。」

 ジョニーはウトウトしながら、初めて見る月に照らされる海をきれいだと思いました。

 朝になって起きたら、ジョニーは今までとは違う自分になっているでしょう。

                                     (了)


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