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弐の巻 文箱

戦国武将、伊達政宗と愛姫の日常の一コマです。

あなたは捨てる派?捨てられない派?

(めご)、先ほどからなにをゴソゴソとしておるのだ?」




昼過ぎから(めご)姫は何やら部屋の隅でなにかをしてる様子だった。


政宗は久しぶりに城にいるのに自分のもとに来ない(めご)姫に少しイラついて声をかけた。




「殿ぉ…今度城下へお出かけの際には(めご)もお供させては頂けませんか?」




少し情けない声を出して(めご)が俺の元へ寄ってくる。


眉尻は下がり今にも泣き出しそうな風情だ。


少しイラついていたことも忘れ、(めご)の肩に腕をまわし抱き寄せてやる。




「城下へ一緒に行きたいのか?なにか欲しいものでもあるのか?別に城下で探さずともなんなりと取り寄せてやるが」




自分の顔も緩んでしまっているのは分かるが、どうせ今は2人だけだ。


少しばかり(めご)に甘くて何が悪い。




「本当でございますか?では、出来るだけ大きな文箱が欲しゅうございます」




今泣いたカラスがとはよく言ったものだ。


目には涙が浮かんでいるが、雨上がりの木漏れ日のように愛は笑った。




「…ふ、文箱?たしかそなたには金沢から取り寄せた文箱を以前つかわしたと思ったが…?」




そういうと、(めご)姫は部屋の隅から以前俺がやった文箱を持ってきた。


みると文箱は蓋が閉まらぬほどに中身が入っているようだった。


どうやら先ほどから部屋の隅でゴソゴソしていたのはこれを扱っていたのかと納得する。




「実は、三春から持って参った文箱も、殿に頂いた文箱もこのようにいっぱいになってしまって…」




そういって(めご)姫は恥ずかしそうに俯いた。


しかし俺はなぜそこまで文箱がいっぱいになるのか分からない。


内容を読み終わった文など焼き捨ててしまうものだと思っていたから。


三春の家族からの文だとしても、それほどの量になるとは思えない。


何がそれほど入っているのだろうか。




(めご)、大きな文箱を取り寄せるのは構わん。だが、何故にそのように文箱がいっぱいになるのだ?何がそんなに入っているというのだ…」




そういうとますます恥ずかしげに頬を染め、俯いてしまう。




「あの…それは…。戦に出た折りなどに殿から頂いた書状をいれてあるのです…」




消え入りそうな声で答えるのがいかにも可愛らしい。


まして、己からの書状を大切に保管しているのだというのだ。




「書状とはどの書状だ?」




頬が緩みそうになるのをグッと堪えて問えば、今度は(めご)が不思議そうに目を瞬かせた。




「どの、とは?」


「だから、俺が送ったどの書状を入れればそこまで文箱がいっぱいになるのだと申しておる」


「え?もちろん、殿の書状の全てでございます」




ーーーーーは?


全てだと?


(めご)が腰入れして何年たっていると思っている?


その間に幾度も戦に出て、頻繁ではないにしてもその度に何度か書状を送っているはずだ。


……一体何通あるというのだろう…?




「…何故古いものを捨てぬのだ?捨てれば新しい文箱を用意などせずとも十分使えるだろう」




驚きのあまり疑問が素直に口をついて出てしまった。


その瞬間、哀しげな表情をした(めご)を見て「しまった!!」と思ったが遅かった。


(めご)の両の眼からは、ぽろりぽろりと涙が零れはじめてしまったのだ。




「と、殿から頂いた書状は(めご)の宝物でございます…。捨てるなどできようはずもございません!ましてや、最近殿は猫殿にご執心で(めご)のことはお忘れのようでございますから。この後書状が頂けるかどうか分かりませんもの!!!」




ああ…。


俺はまたいらんことを言って(めご)を泣かせた上に怒らせてしまった……。


どうにも俺は不用意な発言が多くていかん。




「…っ!!(めご)(めご)!分かった!捨てろなどとは云わぬし、今後も(めご)に書状を書かぬはずがないではないか。俺の正室は(めご)であることは皆も承知しておるし、そなたを愛おしく想っている!そなたが欲しいのであればこの国で一番大きな文箱も用意させよう!だから頼む!泣いてくれるな!」




苦笑を見られぬよう抱きよせながら(めご)の髪を優しく撫でてやる。


俺は昔から(めご)の泣き顔には弱いのだ。

ちなみに私は捨てられない派です。

中学時代の複数の友人が描いた薄いコピー本すら大量に手元に残っていて、友人からは決して家から出すなと厳命されている程です(笑)


私は圧倒的に愛姫派なのです!(キリッ)

戦国武将では政宗様が一番好きですが、猫様やその他の女性癖に関しては…。

ハーレムや浮気するヒーローは超苦手な作者なので、猫様個人がどうこうよりも、お妾や側室というのは苦手なのです。

(読む分には良いのですが)


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