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壱の巻 柑子

戦国武将、伊達政宗と妻の愛姫の日常です。

山も谷もないただのイチャイチャで申し訳ないです。

(めご)(めご)はおるか!」




戦から戻った政宗は出迎えも待ちきれぬとばかりに館の中をドスドスと歩む。


戦に勝利したものの、出城で(めご)姫の体調が思わしくないことを聞いた政宗。


一刻も早く(めご)姫の顔を見ようと領内に入ってから家臣の制止も聞かず一人、馬を飛ばして帰城したのだ。




「殿!お帰りなさいませ! (めご)姫様はお部屋にて…」




侍女の言葉を半分聞くとそのまま(めご)姫の部屋へ向かった。




(めご)!政宗ただいま帰城したぞ!体調はどうだ!」




障子をスパン!!と開けて部屋へ入ると、そこには柑子をいくつも手元に寄せて美味しそうに食べる(めご)姫の姿。


みれば顔色はあまり良くないが些かふっくらした気がする。




「と、殿?!お帰りなさいませ。お帰りは今日の昼過ぎと伺っておりましたので出迎えもせず申し訳ございません…」




黒目がちな愛らしい目を丸くしながらも慌てて柑子を脇へ避け、頭を下げる(めご)姫の隣に膝をつき、肩に優しく手をかける。




(めご)の体調が思わしくないと聞いて矢も盾もたまらず馬を飛ばしてきたのだ!顔色がすぐれぬようだが、大事ないか?」




優しい言葉をかけると(めご)姫はうっすら頬を染め、嬉しそうに微笑んだ。




「はい、大事ございません。合戦の最中の殿にご心配おかけして申し訳ございません。ですが、殿がそのように気にかけてくださったことが、(めご)は嬉しゅうございます」


「妻を気にかけぬはずがなかろう」


「先日は風邪をひいたのか微熱がございまして、多少吐いたりもしたのです。早馬はその折に家の者が出したと聞いております。ですが、数日前からは食欲も出すぎてしまったほどで、特に酸っぱいものが美味しく頂けるものですから…あの、今も頂いた柑子を沢山食べていたところで…お恥ずかしい」



それを聞いてなんとなく気になった政宗は、思わず(めご)姫の両の手をとり、グイと距離を詰めて己の妻を覗き込んだ。




(めご)…?まさか…子が出来たのではないか?!吐いたりしたともいうし、顔色も優れぬようだしな…。子ができると酸っぱいものを食べたくなると言うではないか?戦に出る前に比べていささかふっくらした気もするが」




すると途端に(めご)姫は頬を染めて俯いてしまった。




「殿…大変申し訳ございません…。子ができたわけではないと思います。あの…実は…風邪が治ってから食事が美味しかったものでついつい食べ過ぎてしまって…。少し太ってしまったので、殿に嫌われてしまうかもしれないと思い、なんとか殿がおかえりになる前に少しやせなければと思ったのです。その…それで昨日から食事を抜いていたのです。おそらく顔色が優れないのはその為かと…。ですが、少し口寂しくなったものですから、風邪にも良いからと三春から届いた柑子を…」




小さな声でポツリポツリと恥ずかしそうに言う(めご)姫がとても愛おしいと感じた政宗は、そっとその華奢な肩を抱き寄せた。


太ったなどと言っているが、久しぶりに見た妻は以前にも増して美しく愛らしいくらいなのだが。




「…早合点してしまってすまぬ。子ができておらずとも、そなたが元気であればそれで良い。だが、食事を抜いたりはするな!そなたは元々細腰なのだ。多少ふっくらしたとしても愛らしさが損なわれたりはしておらん!そもそも、たとえ多少太ったからといってそなたを嫌ったりすることなどないわ!妙な心配をするより、しっかり飯を食って元気でいてくれ」




肩をしっかり抱くと、(めご)姫はそっと頭を胸に寄せてきた。


ふわりと柑子の香りが強くなり、このような爽やかな香りも我が妻には似合うのだなと、久しぶりに腕の中に感じる(めご)姫の愛おしさに、思わず笑みが零れる政宗であった。


ただ単に、まったりイチャラブ夫婦ものを書きたい時に書いた作品です。


別サイトでアップしていたものを手直ししたものです。

連載更新せずに寄り道すみません。

昨晩うっかり短編でアップしたものを、短編集にしてアップしなおしました。

既に評価くださった方、申し訳ありません。

ありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  なんとなく仲がいい夫婦、すごくいいです! [一言]  私は日常コメディが好きです。平和な日常でも非日常でも、応援しています。
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