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落書き  作者: はるまき
2/20

落書き


「いや、マジかよ…!」


ソバを食べ終わった数分後

便意をもよおした僕は駅のトイレに向かったのだが無情にも入り口には


(清掃中)


の看板が門番よろしく立てられていた。


無理に入って用を足す事も出来ただろうが

以前、個室の前で掃除のオバさんに待たれた経験のある僕は

強引に入る気にはなれなかった。


便所を借りるべく何処かパチンコ屋なり探そうと考えたが

駅前はいわゆるシャッター街であり望みは薄そうだ。


そうこうしている間に僕の額には明らかに暑さとは違う汗が流れはじめた。


(便所)


その表札は駅の裏側のはんば廃墟となった木造の小屋にぶら下がっていた。

駅員や構内の作業員用だろうか?


まぁ、僕も駅の利用客なのだし使って文句は言われないだろう…


と、言うか四の五の考えている時間はあまり無い。

僕は腹を押さえながら駆け込んだ。


中はコンクリートの床にタイル貼りの壁

その壁に小便器が三つ並んでいる。


男女共用、古き昭和の汲み取り便所ってやつだ。


その奥に探し求めた個室はあった。


小便の臭いが熱気と共に立ち込め大きな蝿が何匹も飛び回っている。

あちこちに蜘蛛が糸を張り、太った蝿が目の前で蜘蛛巣に飛び込んだ。


大きな蜘蛛がサッと現れるやグルグルと蝿に糸を巻いてしまった。


便所の壁には案の定、個室の先住者による様々な落書きが残されていた。


まぁ、内容は例に漏れず卑猥な物ばかりなのだが

大きく描かれた女の裸体が一際目を引く。


彼女は全裸で脚を拡げて男を誘っている。

名前は沢田智子

彼女の勤務先であろう、その町の名を冠した病院の名前も書かれていた。


看護婦に横恋慕した男がサインペン片手に落書きに興じる滑稽な姿を想像しながら

僕はズボンを上げるや、苦笑いと共に携帯を取り出す。


丁寧さは無いが手慣れた上手さを感じる不思議な絵だ。

僕は携帯のカメラに一枚おさめた。



「近藤さん?」


駅前に軽トラックが停車し日に焼けた大柄な男が僕に声をかける。


「中島です、今日はよろしくお願いいたします!」








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