表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落書き  作者: はるまき
12/20

天使像

崩れた壁を抜けると、ブロンズ像と言うのだろうか

少女の裸婦像が目についた。

両手を広げた少女の背中には翼があり、天使を模してるようだ。


今にも飛び立とうと微笑む顔は火災による炎で真っ黒に焼け爛れていた。


その像を囲むように赤錆び骨組みだけとなったソファーが何脚も佇んでいる。


正面ホールに出たのだと僕は思った。


病室はホール受付の奥にある階段の先だ。


なぜ分かるのか…僕は疑問におもったが

次の瞬間、それは来た事があるからだと自分の疑問に答えた。


それも一度だけではない、何度も何度も来ている。


何故、忘れていたのだろう。


階段を上がりきると鉄格子の扉があり僕に対して頑強に立ちはだかるが

ソッと押すと金属を擦り付ける音を出しながら呆気なく開いた。


真っ直ぐ延びる廊下に出ると、鉄格子がはまったままの窓から陽の光が入り

床に散乱しているガラス片を照らしている。


こーちゃん…


音声ではない女性の声が僕の頭に響く


その廊下の先に車椅子が待っていた。


何度も何度も押した車椅子、側溝に脱輪させて

付けた傷が入ったタイヤもそのままだ。


この先に部屋はある。


煤けた名札は…


沢田智子


僕は全てを思い出したのだった…





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ