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3 魔境のエルメス

本日一回目の投下です。

 整備された街道をしばらく行くと、自然と踏みしめられた脇道が目に入る。

 冒険者達が踏み固めた道だ。この先を30分ほど歩くと、魔境に入る。

 この世界の時間は、一日が大きく24に分けられ、更にそれを四分して人々の生活を刻んでいる。ちなみに一年は360日である。

 わずかにある誤差は、やはり閏年などで調整される。

「やっぱ、魔境は違うな……」

 草原から魔境である森に入った瞬間、リックが呟いた。

 彼は戦士だが魔力感知スキルを持っている。だから魔境の持つ、独特の感触にも敏感なのだろう。


 そもそも魔境とは、魔力の吹き溜まりから生まれるものである。

 かつて大神と争った邪神の亡骸が、魔力の吹き溜まりになったと言われている。

 そこから生まれたのが魔境であり、迷宮である。

 魔境と迷宮は魔物を生み出し、邪神の眷属であった魔族をその内で育む。人間の歴史は魔物と魔族との戦いに、その多くを割いている。

 しかしエルメスは少し変わった考えをする。

 魔族とは、あるいは人間の亜種ではないのかと。


 この世界には人間の他に、亜人と呼ばれる人々がいる。最も多いのは、獣人である。

 高い身体能力を持ち、好戦的である場合が多い獣人は、人間の社会にはあまりいない。その身体能力に依存しすぎたせいで文明の発達が遅れたため、今ではむしろ人間に圧迫される種族でもある。定住して国家を築いてはいない。

 亜人の中にはエルフ、ドワーフ、ハーフリングを代表とする、妖精種と呼ばれる者もいる。エルフやハーフリングは人間と生態が違うため、人間の社会ではあまり見かけない。しかし辺境では普通に交流していることもある。

 その中ではドワーフが一番人間との交流が多く、事実メデスはドワーフと人間の混血である。


 エルメスが魔族が人間の亜種だと思う要因の一つは、ダンピールの存在である。

 人間と魔族である吸血鬼の混血であるダンピールは、吸血鬼ほどの異能を持たないかわりに、吸血鬼の弱点をほとんど持たない。

 存在自体が魔族と同じと思われるダンピールだが、そもそも人間との混血が可能な時点で、単に敵対している亜人だと思うのだ。

 吸血鬼が人間の血を吸うのは確かであるが、失血死するほど一度に吸うことは珍しく、またその必要もないらしいという研究論文をエルメスは読んだことがある。


 おそらくこれは、宗教による差別である。

 この問題の解決が難しいのは、確かに種族による差が大きく、お互いに生態が相容れにくい部分があることであろう。

 神の寵愛を受けながらも神を信じないエルメス。

 彼は神による能力の証明であるスキルを持たないがゆえに、神に対する畏怖の感情もない。

 大神に敗れた邪神というのも、それこそ有史以前の伝承からなるので、本当に邪悪であったのかも疑う。

 こんな考えをしているから、神がスキルを与えないのではないかとも思うが、自分の考えを放棄してしまうことは難しい。そもそも彼を寵愛する神は、何事にも疑問を持てと教えている。

 だから今も、エルメスは地道に自分だけで、研究を続けるのだ。




 魔境に入ってすぐ、バットが先頭に立とうとした。森の中の活動に、一番慣れているのが彼だからだ。

 森と魔境は魔物の分布率において格段の違いがあるが、それでもここではバットが先頭に立つのが、普通なのだ。

 エルメスがいなければ。


「近くには大型の生物はいないな」

「分かるのか?」

 杖を軽く振ったエルメスの言葉に、リックが問う。

「探知魔術の一種だ。だが大型ではなくても、危険な生物はたくさんいる。たとえば……少し先に行ったところの棘がある草は、けっこう強い毒を持っている」

 魔境において肌をさらすのは、それだけで危険な行為である。もっとも毒に対する耐性スキルを持つものは、多少それがおろそかになる。農村や山村で育つと、いつの間にか得ている、スキルあるあるである。

 エルメスが靴を買わせたのは、足元の毒が一番触れやすいからである。


 エルメスは先頭に立ち、音のしない動きで奥へと進んでいく。

 途中で薬草や毒草を見つけると、根絶やしにしない程度に摘んでいく。

「毒草の中には触れるだけで危険なものもある。だが希釈した毒を、長い間隔で少量ずつ飲めば、毒耐性スキルを獲得出来ることがある。ただしその場合は解毒ポーションも少し後に飲まないと、内臓や脳に毒が溜まっていく場合もある」

 一番いいのは解毒の魔法を使うことだが、それを何度も繰り返すには相当の金がかかる。現実的ではない。

 なんとなく指導役を期待されたのかと思って、エルメスは内心必死で説明をする。基本的に彼はコミュ障なのだ。


 エルメスの歩く速度は、案外早い。

「俺の今の移動速度は、平均よりもだいぶ早い。魔術で危険物を感知しているからだが、普通はもっと慎重に行動しないといけない。……それにしても、ゴブリンがいないな」

 まだ魔境の浅い部分ではあるが、そもそもゴブリンはそういった場所にもいるものだ。

 群れから追い出された弱いゴブリンは、これぐらいの層で単独で見つかることが多い。

 ゴブリンは社会的な魔族だ。群れから追い出された単体ならば脅威はないが、群れの一員であった場合、危険度は急激に高まる。

 通常ゴブリンは20から50の数で群れを作り、上位種とも呼ばれる強力な個体に率いられる。

 ただのゴブリンなら、リックたちでも倍の数を相手にして戦えるだろう。

 しかし上位種であれば、四人全員でかからないと倒せない。それほどにゴブリンでも、危険性は変わるのだ。


 バットがエルメスの説明を受けながら、周辺に視線をやる。

 森の樹木のせいで視界が狭い。冒険者は魔境の中では、頭を守るために重要な兜を、小さめの物にする傾向がある。

 これに正解はない。確かに頭部は急所だが、ガチガチにそれを守ってしまえば、視界は狭まり音にも気付きにくくなる。相手を先に見つけることを重視する冒険者にとって、頭部の防御力と感覚の確保のどちらに重点を置くかは古くからの課題である。

「兄ちゃんは、すごい薄い装備だよな? 魔術士っても、そんなんで大丈夫なのか?」

「それこそ魔術を使っているからな。オーガの全力攻撃でも、最初の一発は耐えられる」

 その答えにリックは首を傾げる。あまり魔術には詳しくない彼らであるが、そういった便利な魔術があるとは聞いたことがないのだ。

「残念なことに、俺自身にしか使えないけどな。もし次の機会があれば、他のやつにもかけられるように工夫しておくよ」

 固定パーティーを組むことは考えていないエルメスだが、リックたちとは相性も良さそうだし、彼らが新人の間は、何度か組むかもしれないと思った。

 もしそうだったら嬉しい。最初の数度を除いて、ほぼエルメスはぼっち、つまりソロだった。

 今まではずっとソロで動いていたので、他人に強化系の魔術をかけることは考えていなかった。エルメスの魔術は一般のものよりずっと魔力がかからず効果も高いが、自分で使うことだけを目的に生み出されているものが多いので、そこがもったいないところである。


 しばらくはただ進み、時折採取という道中であった。

 せっかくなのでエルメスは、薬草についても教えていく。農村出身の彼らは当然ながらある程度の野草の知識を持っているが、魔境にしか生息しない植物は多い。

「魔境に生えるゼリは、整腸機能を持っている。加減は微妙だが、虫下しや解毒の効能がある代わり、多量に摂取すると下痢をする」

 魔境の植生はリックたちには新鮮である。

 下手に町育ちの人間ではないので、森の中での採集活動が、重要なものであると分かっている。金になる植物を教えてくれるので、まだまだ装備に金をかけたい一行としては、必死で知識を詰め込んでいる。


 そんな様子を微笑ましく思いながらも、エルメスは違和感を禁じえなかった。

「やはりおかしい」

 自分達に聞かせるように言ったエルメスに、四人の視線が向く。

「ゴブリンが見つからない。普通ならここまでに、五回ぐらいは反応があるんだ」

「俺たちの人数が多いから、警戒してるんじゃないのか?」

 リックの言葉には一理ある。ゴブリンは狡猾だが基本的に臆病な魔族なので、この人数に少数で襲い掛かることは少ない。

 もっとも残虐で獰猛な種族でもあるので、それでも襲い掛かってくる知能の低い個体はいる。

「いや、ゴブリンの探知範囲外から俺は調べてるんだが、全く反応がないんだ。つまりこの辺りには、そもそもゴブリンがいない」

 自分で言いながらも、奇妙なことだとエルメスは考えた。

 ゴブリン程度なら彼も退治したことがあるし、そもそもそれ以前に生態などを調べていたので、この状況が不自然であるのは間違いないのだ。


 しかし、一つ心当たりはある。

「つまり、どういうことなんだ?」

 リックの単純な問いに、エルメスは少し憂鬱な声で応じた。

「知能の高い上位種が出現して、大集落を形成していた場合、普通なら群れから追い出されるゴブリンも留まれる」

 ゴブリンの大繁殖と集落の形成。そして当然の帰結として食料が不足して、やつらは氾濫する。

 ゴブリン・スタンピードだ。魔境から出て近くの食料、つまり人間の村を襲う。


 災害の中ではポピュラーなもので、必ず被害は出るが、この魔境は巨大都市の近くであるから、大きな被害にまではならないだろう。

 ランク7ぐらいの高位冒険者なら、数人で片付けてしまえる程度だ。だがもちろん、初心者パーティーがかなうものではない。

「冗談だろ?」

 事態を把握してリックが青ざめる。エルメスも厄介だな、という程度には思う。

 採集が出来ないではないか。


「まあ、それと決まったわけじゃないしな。ちょっと調べてみるか」

 軽く言ったエルメスは、素早く魔術を構築した。それは達人の魔術士であれば、一目で愕然とするほどの技量を示すものだったのだが。

 魔力の波が、魔境を同心円状に広がっていく。それはリックたちでもかすかに感じられるものだ。

 それまでの感知が、生物の発するエネルギーを感じ取るものに対して、今のそれは、こちらから魔力を放ってその反響を受け取るものだ。

 相手にも察知される可能性は高いが、魔物の気配などを確実に感じ取るには適している。潜水艦のソナーのようなものである。


「いたな。数は105。既に集落を作ってる」

「逃げるしかないか」

 エルメスの異常さを感じる材料を持たないリックは、その数を聞いただけで判断した。

 逃げる冒険者は死ぬ。逃げるより先に遭わないようにする冒険者は生き残る。

 リックの判断は己たちの力量を、正確に把握したものだ。

 それだけの数なら上位種は10以上だろう。さらに上の上位種がいると考えてもいい。

「そうだな。お前達は先に街に戻ってろ。途中で採集していた薬草をギルドで買い取ってもらえば、どうにか赤字にはならないだろう」

「兄ちゃんはどうするんだ?」

 リックの当然の疑問に、エルメスはなにげなく答えた。


「ゴブリンの上位種を狩れば、しばらくは研究に専念出来る」


 呆れ顔のリックだが、エルメスが本気であるのは感じ取れた。

「兄ちゃんが言うなら、勝算があるんだよな? じゃあ俺たちもそれに乗っからせてくれよ」

 その言葉に、エルメスは少し困る。

 自分一人ならば、どうやって作業をこなすかの目算が立ててある。しかしリックたちがいると別だ。

 念のための護衛がいるのはありがたいとも言えるが、計算できない要素が増えるとも言える。それに、彼らまでの安全を保証するのは難しい。

「赤字にならない程度じゃ困るんだ。防具は中古品を買ったけど、武器は新しい物を買ったから、金がなくて家賃も待ってもらってる。どこかで冒険しないと、冒険者は上に行けないんだろ?」


 力強いリックの言葉に、仲間の三人はコクコクと頷いている。

「……俺なら安全な方法を取るが、まあいいか」

 命だけなら保証しよう、エルメスはそう思う。

 挫折するなら早い方がいい。冒険者よりも肉体労働者の方が、間違いなく平均寿命は長いのだ。

 単なる肉体労働にずっと就くような無能は、そもそもいないのかもしれないが。




 ゴブリンの集落の周辺には、簡単な鳴子が設置されていた。

 知能の低い最低レベルの魔族と言っても、道具を使う程度の知能はある。集落を形成するぐらいならば、知識を伝えるほどの個体もいるのだろう。

 エルメスは慎重にその鳴子の糸を切っていった。

 そして戦う場所を選ぶ。不確定要素が四人もいるので、戦術は単純なものがいい。


 足場を考えて、岩肌が適度に露出している場所を選んだ。

 魔術で三方を高い壁にして、敵の侵攻方向を一つに絞る。

 退路はない。そうでもしないと新人冒険者は、恐怖のあまりに敵に背を向けてしまう。

「背水の陣だ。どうだ、帰りたくなったか?」

 エルメスの問いに、リックたちは唾を飲んで首を振った。


「盾と剣で前衛となり、隙間から槍で突く。弓は体格のいい上位種を狙う」

「兄ちゃんは?」

「俺は外で魔術の結界を張りながら、弓や魔術使いを潰していく」

 実際のところは、ほとんどがエルメスに群がってくるだろうが。

「偵察に行く。バット、一緒に」

 探知でこちらの存在も気付かれているだろうが、目視でも確認はしておきたい。

 岩場で風向きが分かったので、風下から接近していく。


 エルメスの歩みに音はない。狩人であるバット以上の隠密性だ。

 単純に魔術で音を消しているからなのだが、後ろをついていくバットは感嘆せざるをえない。

 ちなみに風下からの接近ではあるが、匂いも消している。魔術というのは熟練すれば、それは便利なものなのだ。

 ここまで熟練していれば、普通は魔術関連のスキルを大量に保持している。

 けれどない。神様は何か、不満でもあるのだろうか。

 まあ神を信仰していないという時点で、スキルを与えられないのかもしれないが。


 小高い丘の上に、粗末な柵が作られていた。人間の村よりもよほどいいかげんなものだが、ゴブリンにしてみればかなり真っ当なものだろう。ここからでは建物は見えないが、ゴブリンの作る建物なぞしょせんは知れている。

 麓には川が流れているので、集落を作るのには適している。もっとも魔境の中で集落を作るなど、より上位の魔物に狙われること請け合いなのだが。

「先に戻ってくれ。俺は大きなやつを一発食らわせてから、そっちに行く」

 杖を強く握るエルメスに、バットは無言で頷いて遠ざかる。


 さて、とエルメスは考える。

 この規模のゴブリンの集落を壊滅させるなら、火属性と風属性の魔術を組み合わせたものが最適だろう。だがそれは、あくまで壊滅させるだけである。

 せっかく上位種のゴブリンがいるのだ。金になってもらわなくては困る。

 ゴブリンは他の魔物に比べて、肉は食えないし皮も腱も使えない。だが内臓はそこそこ薬に使えるものがある。

 あと耳は討伐証明になるので、上位種であれば必ず残しておきたい。

 ならばこれだ。


 エルメスが使ったのは、毒霧の魔術であった。

 通常の魔術士が習う機会は、あまりない。エルメスにしても習ったのではなく、自ら組み合わせて使えるようにしたものだ。

 しかも正確には毒ではない。空気中の気体の、酸素を減らして二酸化炭素を増やす。化学反応としては単純だが、エネルギーをそのまま使う火属性などよりは、実はよほど魔力の消費は激しい。


 ゴブリンたちの中でもかなりの数は、これで昏倒し窒息死するだろう。肝心の上位種や、ゴブリンでも耐性を持つ個体には通じないだろうが。

 だがとりあえず、数は減らした。


 集落の中がざわめく。異常に気づいたゴブリンが、バラバラになって柵の中から現れる。

 わざと姿を見せたエルメスは、森の中に逃げ込む。それを追ってゴブリンが殺到する。

(見た感じ、上位種は10体ほどか。あとは通常種だな)

 それでも20体はいるだろう。エルメスは身体能力を強化させて、ゴブリンとの距離を保ったまま、準備されていた場所へ到着する。


 岩場にまで引きつけていくと、絶句しているリックたちの顔が見えた。ゴブリンでも上位種は、その体格は人間を上回る。巨大な生物に対して、人間は少なからず動揺するものだ。

 彼らを背後に、エルメスはゴブリンたちに向き直った。その姿は、津波に立ち向かう人間のように、瞬時に飲み込まれてしまうのではないかと思わせるものであった。


 エルメスは待機状態にしていた魔術を発動する。

 電撃の魔術だ。火や風と違って、素材を傷つけることは少ない。だがあまりにも出力が弱いと、耐えてしまう個体もいるだろう。

 それにやはり数が多かった。上位種もわずかに倒れたが、やはり根本的に電撃にも強い。そもそも魔力で作り出した電撃だから、魔力への耐性が強い上位種には、効果が薄いのも当然だ。

 もはや飲み込まれるのみと思われたエルメスの眼前で、ゴブリンたちは壁に当たったように跳ね飛ばされた。

 そしてその横を通り過ぎた個体も、岩場で滑って転ぶ。エルメスが摩擦係数が少なくなるように地面を加工したからだが、それらはリックたちにとって、格好の獲物になった。

 残るはそれらの罠に引っかからなかった上位種と、この集団の長。

「キングか……」

 最後尾からゆったりと歩いてくるその雄大な姿に、エルメスは杖を向けた。




 必死だった。


 故郷の村で、はぐれのゴブリンを退治したことはあった。だが集団で、しかも上位種のゴブリンと戦うのは初めてだった。

 どれだけの時間が流れたのか。気が付くとリックたちの目の前には、生きているゴブリンの姿はなかった。

 荒い息の下、全員の無事を確認する。メデスとリックは少し傷を負っているが、致命的なものでは全くない。

「解毒ポーションを飲んでおけ。ゴブリンの使う刃物は、毒が塗られている場合がある」

 声をかけてきたエルメスが、無傷どころか返り血さえ浴びていないのに、リックたちは驚愕した。

「兄ちゃん、ランクは低いけど、実はめちゃくちゃ強いのか?」

 騎士の家系で家を継げない者が、冒険者になることはある。そういう場合、最初から剣や槍の腕が強かったりもする。

 魔法使いだって訳ありの者なら、ランクに見合わない強者がいてもおかしくはない。

「攻撃を受けないように、一方的に攻撃しただけだ」


 エルメスが何をしたのかは目に入っていなかったリックたちだが、その結果ははっきりと残っている。

 巨体のゴブリンキングは、四肢を砕かれた上で首を半分切断されていた。

 達人の戦士なら、こんな戦いも出来るかもしれない。だがこれは、魔術士の殺し方ではない。

 それを判断するだけの知識も、リックたちにはなかったが。

「手伝ってくれ。上位種のゴブリンからは、それなりに価値のあるものが取れるんだ」

 そしてエルメスの指示に従って、四人は解体を始めたのである。 

二回目の投下は18時以降となります。

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