~第二の錦織圭たちに贈る言葉(21)~ 『ネットダッシュしての第一ボレーはいくつかのパターン練修で体得しろ』
〜第二の錦織圭たちに贈る言葉(21)〜
『ネットダッシュしての第一ボレーはいくつかのパターン練修で体得しろ』
1. まえがき;
マスターズ2018ウィーン大会の決勝で錦織選手はケビン・アンダーソン選手に3−6、6−7で敗れた。敗因はネットへ出ての第一ボレーがイージーボールとなりアンダーソン選手にパッシングショットを打ち返されたことである。(もう一つ敗因になりかねない錦織選手の悪い戦術選択の癖があるが、それは次回に述べる)
要は、錦織選手はボレーがあまり上手ではないということである。私は、錦織選手がどのようなボレー練習をしているのかは知らないが、準決勝・決勝戦を見る限り、腰の高さ、或いは膝の高さ、ハーフボレーで打たされた第一ボレーはベースライン近く、或いはサービスライン近くへの緩い返球になっていた。これを見て、錦織選手には適正なボレー練習が行われていないなと感じた。
40年前なら『ベースライン深くにボレーしろ』と教えられたものであるが、アンティシぺーションやコートカバリングに優れた選手が多いトッププレーヤーには少しでも緩い球がベースライン行くとパッシングの洗礼を受けることになる。
ボレーでエースが決まるのにはいくつかのパターンがある。それを体得しておくことが肝要である。
今回は、現代テニスにおけるネットダッシュでのボレーパターンを考察する。
2. 贈る言葉;
まず、贈る言葉(12)で述べた事を反復しておく。
ネットダッシュに対坑する手段・テニス技術は下記の4項目である。
《返球に余裕があるような相手の出球には》
ランク1.相手にボレーするチャンスを与えない攻撃的ロブをベースライン付近に落とす。
ランク2.成功するパッシングショットを放つ。
《返球するのに余裕がない場合には》
ランク3.相手の足もとにボールを落とし、ローボレーでネットさせるか、帰ってきた浮き球を捉えて パッシングショットやトップスピンロブでポイントを取る。
ランク4.逃げの防御的ロブを高く上げる。
(相手のスマッシュミスを期待しつつ、ベースライン中央へ戻る時間を稼ぐ)
ネットダッシュして第一ボレーを打たされる場所はサービスライン付近である。
胸の高さ以上に浮いてきた返球はオープンスペースのベースラインやサイドライン付近を狙ってボールを落とせば簡単にエースになる。(これがネットダッシュの狙い)
しかし、ネット高さ以下の高さで打たされるボレーは強打が出来ないのでエースが狙えるボールの落下点領域は狭くなる。サービスライン付近では相手に拾われて、逆に走らされることになる。相手がボールに届かないところはネット付近(サービスコートの中央からネット寄りの領域)しかないのである。したがって、ボールが飛んできた方向(出球を打ったサイド)の逆サイドのネット付近にドロップボレーを落とすことが必要になる。
上記対抗手段のランク3で、出球を打ったサイドの逆サイドのサイドライン付近のネット際に緩く落とされる返球が一番厄介である。当然、ワンバウンドした弾まない球に対応した打球をおこなうのであるが、これは、その逆サイドに向けて、ネットに平行気味に越えていくやや速めの低いショットが打てなければならない。(これは、もうボレーではない)
現代テニスではネットダッシュで有効なドロップショットが打てないなら、ネットダッシュはリスクが大きいプレーになっている事を認識しておかなければ勝利は望めない。これが出来ないなら、完全に浮き球が返ってくると感じる出球が打てた場合以外はネットダッシュしないことである。
3.あとがき;
本日(10/29)から始まった2018マスターズ1000パリ大会で錦織選手は再びアンダーソン選手と3回戦(1回戦はふたりともBYE)で対戦することになりそうである。リベンジに成功して欲しいものである。
『諸君の健闘を祈る』
目賀見勝利より第二の錦織圭たちへ
2018年10月29日