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魑魅の潮  作者: 茄子野郎
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スダマノシオ 怪奇!猟奇死体と風変わり二人 編

初めまして、茄子野郎と申します。

初投稿でおじゃまさせていただきます。

おじさんと美人が組んでるのが好きなので、作品にしてしまいました。

若者もこれから増やす予定なので、長らくお付き合い頂ければ幸いです。

「まぁた同じヨォな死体かァ?」

「へぇ、そうなんでございますよ」


時は戦国、所を櫻の國。周囲を山、森、海に囲まれる小さな國である。

昨年の大霜で果物や野菜が甘く実ったことから今年を神霜の年と呼び、本日をもって百と30日を経過している。

無精髭をはやした白髪の男がしゃがみこみ、手を合わせてから、かぶせられている古布を捲った。

ふん、とため息を鼻でつきながら具合を見る。

この所、何故か同じ死に様の死体が多く通報される。喉に一閃、腹を一突き、そして腹が窪んでいる。恐らく内蔵がなくなっているのだ。

そんな猟奇的なことをよくもまぁ、と気持ち悪がるのは、都より警察組織の中枢部長であり、この國で組織の長を勤めている、此処崎八月という男である。不躾な身なりをしていて歳が老いて見えるのが最近の悩みだ。

「うへぇ……よく見れますね、こんな死体……所長は平気なんですかい?さっきなんか新人は吐いちまって……」

「だろーな。これはちーっとばかし若ぇのには苦しいだろ。まぁ俺もそこまで歳食ってるわけじゃねぇが……慣れだ。」

布をかぶせ直すと立ち上がり、いつものように調書を取り、埋葬しろと指示を出した。

さて自分はというと、嫌悪感をものともせずに行きつけの飯屋へと足を運んだ。

腹が減っては吐くものも無いのだ。




その体躯の何処へ消えていくのか、と思わず問いたくなった。

飯屋の暖簾をくぐってみれば、濡れたように黒い長髪の、男とも女ともつかない細身の奴が飯とおかずを器用に腹へ収めている最中だった。看板娘が正面に座り、しきりに「そんなにおいしいかい?」「嬉しいねぇ、そんなに食べてもらえて」とにこにこと笑顔を絶やさないでいるのだ。

「あら、八月さんじゃないかい!いらっしゃい、いつものでいいのかい」

「ああ、まぁ、そうなんだが……なんだこいつは」

怪訝な顔で指を指されたことに気づいたのか、本人が振り返った。箸を持ったままで口元に米粒が付いているが、満月のような瞳がひどく似合いな随分と美しい顔をしている。忙しなくもごもごと口を動かし飲み込むと、汁物に入ったエンドウを頬張った。

「人の顔を見たまんま飯を食うんじゃねぇ」

「む……それはすまない」

からりと鶯のような声で謝られた。

なんだこいつは。謎という言葉がここまで似合うような奴はいまい。

「はぁいお待ち、いつもの混ぜ飯と蕎麦ね!」

「おう、ありがとよ」

「変な食べ合わせだ、趣味が露呈している」

「人の飯に文句出すんじゃねぇ!本当に誰だお前!」

一刻ほど経ち、運ばれてきた食事をのぞき込んできた男(口調からそうではないかと考える)がじろっと指図を出してくる。イラッとするので叱りを入れる。随分と図々しい奴である。

「紹介が遅れた。私は汐と言う」

「汐ね、へいへい……俺ぁここらの奴らを締めてる此処崎だ。」

「ココサキ……変な名前だ」

「余計なお世話だ、お前も変わりモンだよ」

あぐ、と口を開けて混ぜ飯をカツカツとかきこんだ。


まぐまぐと咀嚼していると、細められた目で睨まれる。気を悪くするようなことをした覚えは無い。だが、ずぞぞぞと大口で蕎麦を啜る時にヒクリとこめかみを動かされては、こちらも腹が立ってくる。本当になんだ、この汐とかいう奴は。俺の行きつけに突然現れ、飯を指摘し、名前を変だと言い、人が飯を食うところをなぜか睨んでいる。ここ最近で妙な死体と挨拶ばかり指せられているのも相まって、妙に苛付きが競り上がってきた。

「んだよテメェさっきからジロジロ見てきやがって……文句でもあんのかァ……?」

「……汚い……」

丼と箸を盆に置き、大きい背で見下すように睨み下げる。黒目の三白眼でこうすると大抵のやつはビビるもの、と経験が告げているが、肝の座った汐にはそうはいかなかったようだ。ぼそりとひとこと呟くと、こちらも椀と橋を置いてこちらに向き直った。

「あ?」

「汚い……汚いと言ったんだ……不潔だ、不潔だ……!」

顔を伏せ、拳を握りしめてわなわなと震えている。そして、ぱっと顔を上げると、ずびしっと指を突き付けて、

「そのバサバサとした乱雑に結っただけの髪!!伸ばし放題でろくに整えもしない不精なヒゲ!そして食べ方、食べ合わせ!!自身の健康を考えないのか貴様は!!不潔、不潔不潔!!不潔極まりないッ!汚い男だお前は!!!」

「初対面でそんッなこと言うかお前!!!」


割と正論だったせいで、ショックを大々的に受けることになってしまった。


「そうよぉ!汐くんったらほんとに綺麗でかわいいんだから!八月さんも見習ってよ!こんどウチでフケなんか落としていったら承知しないんだから!」

「な、こ、この辺のやつらはみんな同じようなもんだろ!風呂にはいんねぇやつだって居るだろ!」

「いぃーえ!!八月さんは飛び出て汚いのよ!お仕事終わってつかれたからって湯殿にも行ってないんでしょ!剃刀だって買えるお金はあるでしょうが!お酒とおつまみばっかり買わないで、たまには野菜も食べなさいよ!それにお仕事関係だって不潔だったらうまく行かないのよ!こんど都へ報告に行くのいつなのよ!!着物だけ綺麗にしたってだめなのよ!?だいたい、八月さんはいつもいつも……!!」

「おめぇは俺の母親かよ!!?」

なぜか娘にも叱られてしまった。いや、風呂に入ったのは先月だし、二月に1度ぐらいで丁度いいだろう。金だって飯や酒に当てたい。そして休日は寝てたい。新人より汚いのはわかっているがそこまででは無い、と信じ込んでいた壁が1人の男によって決壊してしまった。

恨むように発端の男を見ると、ざまのないやつだと言うように弧を描く瞳とにやりとした笑みを向けられた。

クソ、クソ、クソ!俺はこいつとは反りが合わねぇ!!


多機能フォームどう使えばいいかわからないのでなんにもいじってみませんでした。

文字化け等なにかございましたらお気軽にどうぞ。批評、感想、お待ちしております。

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