初めてのパート練
「侑芽ちゃん、パート練なんだけど、」
「は、はい!」
ぼーっとしていて、いきなりの桃子の言葉に驚いてしまった。
「月、水、金、日曜日はオーボエファゴットパート、火、木、土曜日はフルートオーボエパートとして活動します。あ、私たちがフルートパートと練習しているときは萌はサックスパートにいるから」
「は、はい」
今日は火曜日だ。今日はフルートパートと一緒に練習するのだろう。
「じゃあ、今日はフルートと一緒にやるから! とりあえずパート部屋に行こー!」
と、侑芽は桃子と共に3の1に向かった。
--------
ガラッ。
「あ、来たよ!」
と、陽菜が声を上げ、フルートと呼ばれる細長い楽器をもった人が振り向いた。
「えーっと、侑芽ちゃん、フルートパートのメンバーを紹介します! 私はフルートパートリーダーの浅野 奈々実! ちなみに言うと、クラの2年の祥子の姉じゃないからねー」
と、笑って見せた。
「はいはーい! 私、佐野宮 陽菜!さっき喋ったよね! フルートと、あとピッコロも担当しています! 双子の姉の絵留はホルンやってます!よろしくお願いします!」
と、ニコッと笑った。
『陽菜先輩、双子だったんだ』
と、ぼんやりと考えた。
「フルート2年の、村瀬 綾羽です。よろしくお願いします」
「同じく2年の、後藤千春です! わからないこととかあったらなんでも聞いてください!」
2年生の綾羽と千春では、随分と雰囲気が違うようだった。
さらさらにとかした黒髪を綺麗に下ろしていて、大人っぽい綾羽、元気なポニーテールで明るく振る舞う千春。
なんだか凸凹なコンビだ。
「フルート1年、向坂 夏美です。よろしくお願いします」
なんだか、今彼女に睨まれた気がした。たぶん気のせいだろう。
「フルート1年の藤本 梓です! 1stをすることが多いので、よろしくお願いします!」
「同じくフルート1年の大塚 詩織でーす! よろしくお願いしまっす!」
『……あれ?』
とても優しい笑顔の梓と元気で明るい詩織。
なんだかわざと夏実と席を離しているようだ。
「じゃあ、音出ししよっか!」
「「はい!」」
奈々実の言葉に、全員が動き出し、侑芽も慌てて動き出した。