ホルンパート
「ごめんね、待たせちゃって」
「いえ、大丈夫です」
「次はホルン」
と、教室の扉を開ける。
「失礼しまーす。紹介するね、オーボエの佐伯侑芽ちゃんです」
「よろしくお願いします」
顔を上げると、陽菜にそっくりの人物がいた。
だが、陽菜とは違い、にこりともしないようで、侑芽をじっと見つめた。
「3年生の佐野宮 絵留。陽菜の双子の姉だよー。あんまり似てないけどね」
ぷぷっと莉奈が笑うと、絵留は顔を赤くして
「ちょっ、莉奈。笑わないでよ」
と言った。意外な表情を出すが、侑芽と目が合うとすっともとに戻って目をそらす。
「あはは、絵留は人見知り激しいから。で、もう1人3年生───あれ、あーちゃんは今日休み?」
「うん」
「もう1人3年生に、あーちゃんって言ってね、風原天音って子がいるの」
「そうなんですか」
「侑芽ちゃん、あたし矢口百合。2年生だよ」
よろしくお願いしますと会釈する。
「1年生はわかるよね。前田亜衣子と、奥村希美」
「はい」
「そんなところかな。次行こうか」
「お邪魔しました」
教室を出た後、侑芽はチラリと莉奈の方を見た。
莉奈の顔は青白かった。貧血なのだろうか。
「莉奈先輩、あの───」
「侑芽ちゃん。絵留、あんな感じだけど、結構喜んでたんだよ。侑芽ちゃんが入部してくれたの」
「え?」
「あの子、むすっとしてるけど素は優しいからね」
と、笑って前を向いていた。




