サックス・ファゴットパート
「次は理科室で練習してる、サックスファゴットパートね」
と、莉奈が扉を開ける。
「みんな、オーボエの佐伯侑芽ちゃんです」
「よろしくお願いします」
先ほどと同じように挨拶をする。
亜紀と萌が手を振り、ぺこりとお辞儀をする。
サックスパートは、2、3人に分かれて3組ほどいた。クラリネットのように、大きさが違うようだ。
「じゃあ、パートごとに紹介するね」
と、パートの者が集まってきた。
「アルトサックス3年、パートリーダーの高崎亜紀。みんなにはタカサキって言われてる。で、2年生のみるふぃーこと浜野みるか。で、1年生のりこぴん、辻本莉子」
よろしくね、と優しく笑う先輩2人と違って、ムスっとした莉子が、こちらを睨んできた。
びっくりした侑芽は、慌てて頭を下げた。
それをみた亜紀は目を細める。
「で、テナーサックスの東条美乃梨。みのりん。で、3年生、部長の山下瑞樹。ふぃーちょね」
瑞樹の意外なあだ名に驚く。
「ふぃーちょ……やっぱおかしいよねー」
と、瑞樹は笑う。
「なんでふぃーちょになったんだっけ?」
「小3の話でしょ? 覚えてるわけないよ」
と、莉奈と瑞樹が話し始めた。
「はいはい、りなてぃー次」
大きな楽器を持つ3年生が突っ込む。
「あ、はいはい、」
どうやら莉奈はりなてぃーと呼ばれているようだ。
「バリトンサックス3年生の西村沙希。さっきって呼ばれてる。目つき悪いし、喧嘩っ早いけど頼れる先輩だからね。あと、1年生のあいみらこと相磯 美羅」
美羅は、莉子と違ってあせあせと手を振った。
と、譜面台を踏んで転びそうになっていた。
忙しい少女だ。
「もー」
と、先輩はクスクスと笑い、顔を真っ赤にして
「す、すみません」
と謝った。
「で、最後にファゴットの萌ね。うっちー」
はいはーい、と元気に手を振った。
「以上8人ね。次行こっか」
「は、はい! お邪魔しました」
と、深く頭を下げた。
次に顔を上げると、また莉子に睨まれた気がした。




