フルートパートの事情
基礎練習。桃子の音を頼りに、なんとか皆と一緒に練習できた。
「じゃあ、基礎練終わりまーす。個人練習初めてね。曲配るから。侑芽ちゃん、わからないところは桃子に聞いてね」
「……」
「返事」
こそっと侑芽に呟いたのは、梓だった。
「あ、はい!」
「うん。じゃあ、フルートだけどピッコロは詩織、1st梓、2nd夏美で」
「「はい」」
「じゃあ、1年生は練習しといて! ちょっと2、3年で行ってくるから!」
「「はい!」」
先輩たちが教室を後にすると、4人の間に沈黙が流れた。
侑芽は、もしかしたら自分がいるからかもしれない。そう思い、少し悲しくなりながらも楽器を持って教室を出た。
音楽室へ向かう。
「どうすんの……」
音楽室へ向かう途中、中庭の木の陰から声が聞こえた。
フルート、オーボエの2、3年生たちだ。
「や、とにかく夏美と詩織別々にさせないとヤバいよ。あの2人、めっちゃ仲悪いもん」
『夏美と詩織……?って、フルートの2人のことだよね』
「侑芽ちゃんと夏美一緒に練習させます……?あーでも、夏美けっこうキツイですよね……」
「え、」
自分の名前が出てきて、思わず声が出てしまった。
彼女たちは侑芽がいることに気が付いた。
「あ、ご、ごめんなさい、全然聞く気なんてなかったんです。てか、その、練習してなくて……。ごめんなさい!」
おどおどとする侑芽を見て、
「練習もどろっかー」
と、動き出した。




