思い出
「おい、あれってどうやるの?」
アタシはこの声に1番びっくりしたね。だって、かずの声だもん。
「知らねぇー!自分で考えろっ♪」
いっつも、こんな感じ。かずと優花が楽しそうに話してる。
なんで?アタシの時は無視するくせに・・・優花の事好きなの?
「美樹、すごい被害妄想・・・」
『妄想してない!』
「よく考えてみ?かずがあんな短期間で人を好きになると思う?」
『・・・・思わない』
「積極的に話しかけてみたら?」
―給食
「なんかさぁ、これヤバイ!」
「ヤバイヤバイ!涙出るし!」
楽しそう・・・あの会話の中には入れないよね?
「原田!笑いすぎ!」
「頭いてぇー!」
「原田やばすぎ!」
「ふ・・・腹筋がぁ!」
いつもなら笑ってしまう様な会話。何故か笑えない。
―掃除
「原田!ちゃんと掃除しろっ!」
「してますよーだ!」
してないくせに・・・アタシが言ったら完璧無視だね。
いいなぁ、優花はかっこいいもん!男子と話しやすいし・・・
なんか、優花も一緒にかずとふざけ始めたし・・・どうすりゃぁいいの?
「美樹!」
『ふぇっ!亜谷女・・・』
「いいの?あのままで」
『しょうがないじゃん・・・無理だよ』
「美樹!」
『あ、優花』
「今日うちが廊下掃除でいい?今日の当番美樹でしょ?」
『いいよ!助かる♪』
「ありがとー!さすが、美樹!じゃぁ、行って来るね♪」
おぉ!予想的中!優花って女子同士でも話しやすい♪あんな友達1人ぐらいいなきゃね♪
『亜谷女!アタシがこの列やるから、亜谷女は向こうやっててね』
「うん。任せて!すぐに終わらせるから!」
『了解♪』
それにしても、今代理で亜谷女が掃除してくれてるけど聖園どうしたんだろ?保健室って聞いた気が・・・・ ゴンッッ!!!
「あぁ・・・」
なにこの鈍い音!声はかずって分かるけど・・・
「痛っ!原田!」
「ごめんなさーい」
「わざとでしょ?」
「いやいや!違うよ!」
「今の絶対わざとだ!」
かずと優花の会話。
「今、何があったの?」
『さ・・・さぁ?』
「優花!どうしたの?」
「うん?戻ってきたら、原田が押してきて机に当たった・・・痛い・・・」
『大丈夫?保健室行く?着いてってあげるから・・・』
「平気だよ!こんくらい!ほらっ!早く整列しなきゃねっ」
優花が羨ましい。
1年の1学期、優花のこの立場はアタシだったのに・・・
それから、かずと優花の仲はみんなが羨む程仲良くなっていた。かずは、優花の事好きかもしれない。
でも、優花は他の人が好きなのに・・・・最近、かずはアタシの存在すら忘れるようになっていった。
さすがにこうなって来ると、腹が立ってくる。
―次の日
「美樹!おは・・・・」
『亜谷女おはよっ!どうしたの?』
「どうしたじゃないよ!メイクは?」
『あぁ、メイクやめたよ!』
アタシはかずとの思い出を消すために、これからノーメイクでいる。
アタシが今まで目がつって見えたのは、アイカラーとビューラーのせいだろう・・・
「あれ?美樹!久しぶり!」
『あっ香夏子ちゃん!』
「ノーメイク?」
『うん!』
「なんか雰囲気変わったぁ!」
『本当?よかったー』
「でもなんか迫力がない・・・」
『え?どんな?』
「・・・なんでもない!」