出会い
初めての制服。
ほとんどの人が同じ中学校なので卒業式、感動と言うものが全くなかった。
『行って来ます!!』
ダサくて今にも改造したくなる制服なのに、胸をドキドキさせながら目的地の学校まで走っていった。
校門の前でクラスわけのプリントを受け取った。
自分の名前と小学校の時から仲のいい川口美未の名前を探した。
美未とは同じクラスだ。
初めての学校で迷子になりながらも、やっと自分のクラスC組についた。
初めて見る子やもう小学校の時から見慣れた子がいてにぎやかだった。そんな見慣れた友達からあいさつされた。
「美樹、おっはーーー!!!」
『おっはーーー!!!』
アタシの名前は平野美樹
それはどうでもいいとして、自分の席を確かめた。
『うわっ・・・最悪・・・』
運悪く、1番前の席
「お!前じゃーん!」
からかうかのように美未が言う。
『ここやだ!授業中眠れないじゃん!』
「でも、3日間だけだって!」
『なにが?』
「3日たったらすぐに席替えするんだって!」
『やったじゃん♪』
こんなアホらしい会話していると隣からいすの音が聞こえた。
アタシの隣の子は佐田亜谷女と言う女の子。
見た感じ暗くて、小学校の時いじめられてたらしい。
前髪が顔にかかってて、目をよく見る事ができない。
とにかく、友達になりたくないタイプだ。
「おはよ・・・」
いきなり佐田亜谷女にあいさつされて目が驚いてるまま、
『おはよ!』
声が裏変っちゃった・・・
「入学式があるので廊下に並んでーーーー!」
先生ナイスタイミング!
廊下に並び、美未が先生の目を盗んで話しかけてきた。
「担任の先生、おもしろそうだね♪」
『でも、女の人じゃん』
「女の先生でもいいの!あ、もしかして期待してたの?」
『はいはい。ありえないからね』
「A組とB組みの先生はどんな人かな?」
『あぁ、さっき見たらオバサン先生とオジサン先生だったよ』
「なーんだ、中年コンビか!」
いや、美未の方が期待してたと思うよ!
落ち込んでる美未をみながらため息を深くついた。
さっきから佐田亜谷女に見られてる気がする。
なぜなのかは分からない。
佐田亜谷女とは初対面のはず・・・・
長い入学式が終わり、先生が教室から居なくなった途端おしゃべりタイムスタート!
「美樹次の時間は何するんだっけ?
『分からない。プリント出すのもめんどくさいしな・・・』
アタシはチョーめんどくさがりや。
「つ・・・次は作文だって!」
佐田亜谷女が話しかけてきてアタシたちは驚いた。
多分クラスの皆がこっちに注目してる気がする。
そんな空気は破るかのように美未が問いかける。
「佐田さんだよね?あだ名とかある?なんて呼べばいいかな?」
「亜谷女でいいですよ。」
「佐田亜谷女?可愛い名前だね!」
嘘つき!最初から知ってたくせに!
美未の褒め言葉に佐田亜谷女は顔を赤らめた。
「私は川口美未!そのまんま美未って呼んでね!」
「あ、はい」
「で、この子は平野美樹。みんな美樹って呼んでるよ」
は?え?へ?美未のバカ!
それって遠まわしに友達になれって言ってる事じゃん!やだし!
「よろしくお願いします。」
『あ、亜谷女とアタシたち同い年だしタメでいいよ。』
美未が口をポカンと開いてた。そしてその口を動かし、
「え!いきなり亜谷女?みんちゃんの図々しさにびっくり!」
コロス
『うるさい!』
隣では亜谷女が笑ってた。・・・結構可愛い。
「あの・・・美樹・・・」
『は〜〜い?』
「これから友達ってことでいい?」
本当は気がのらないけど
『いいよ!友達×2〜♪』
ここである異変に気がついた。
美未が紹介したのに亜谷女は美未と友達になろうとしない。
亜谷女は美未のにかに気づいたみたい・・・・。
2年間ともに過ごしたアタシでさえ美未の秘密が分からないのに、たった30分美未といた亜谷女が気づいた。
この女ただ者ではない。
下校時、亜谷女と帰ることにした。
好きな人の話とか・・・・メアドを交換したり。
とても明るく、いい子だったのですぐに仲良くなれた。
「じゃ、アタシの家はここだから!」
『え!近いね!あとでメールちょうだいね』
「うん!美樹バイバイ!」
『バイバイ!』
なんだ、明るいじゃん!とてもいじめられたりは見えない。
この席でしゃべる最後の会話。いつもより会話がはずむ。
「美樹は好きな人いないの?」
『いないよー!亜谷女は・・・他校の子だよね?』
「うん・・・///」
亜谷女は他校に好きな人がいるらしい。今のところ片想い。
『そろそろ席替えだね・・・』
「うん」
最初は最悪だった席が今になるとこの席が最高に思える。また亜谷女と近くがいいな・・・。
この日、1時間以上おしゃべりを続けた。