プロローグ
「『明日死ぬなら何をする?』って質問あんじゃん?」急に聞いてきた質問に俺は戸惑いながらも返事をする。
「うん、それがどうしたの?」
「いやどうするのか気になってね。それでどうするの」
「そうだね、俺なら…」
「ん?なんて言ったの。聞こえなかった」
回線が悪いのだろうか。愛梨には聞こえていなかったようだ。いや聞こえないようにしたのだ。
「ごめん、回線が悪いみたいだ。続きはまた今度な」
「え〜分かったよ。また今度ね」
俺は会話を終わらせ逃げるように通話を切った。
「はぁー。言えるわけないよ。お前に告白するなんて」
俺春樹悟高校2年生は何年も前から広瀬愛梨に片思いをしている。愛梨とは幼い頃からの付き合いで幼馴染というやつだ。歳も同じで小中高とクラスさえ離れたことがないくらい、変に縁のある環境で共に成長してきた。たまに変なことを言うやつだか、一緒にいると楽しくてどんな話題でも笑いあってお互い秘密なんてないくらい分かりあってきたつもりだ。でも、俺には誰にも言えない秘密があって、それが原因で俺は幼い頃からの初恋を叶えられずに、愛梨に好意を伝えられていない。
「いつかは伝えられたら…なんてな」