コスモスってる!?
「なー、コスモスってね?あのコ」
放課後の街角。
隣を歩くコータが言った。
なに言ってんだコイツ?
「清楚っていうか?よくね?」
目線を追う。
ある店の前に佇んでいる他校の女子。
誰かを待っているのか時計を気にしている。
美人だ。で・・
「コスモスと何の関係があるんだ?」
オレは聞いた。
コータは見た目チャラっとしている。校則で禁止のピアスまでしている。
地味な少年でござ~いのオレとはつり合いがとれない。
しかし意外なことで仲良くなる。
クラスに馴染めず浮いているヤツがいた。
当然イジメの対象となる。
そして、ついかばってしまったのがこのオレ。
クラスの凍った視線が突き刺さる。
~あ~オレも孤立するな~
まぁいい。退屈な学校生活。
今バイトいってるラーメン屋で世話になるのも悪くない。
そんなことをぼんやりと考えていると・・
「おい!みっともねぇことすんな!」
割り込んできたのがコータだった。
意外。
強面のせいもあってか浮いていたヤツ。
いじめていた奴らに睨みをきかせ追い払った。
以来、よくつるむようになる。
あとで分かったんだが、休み時間オレが”星新一”を読んでいたのを気にしていたらしい。奴も大ファンなのだ。
「あれ、知らねえの?花言葉。”調和””謙虚”んで”乙女の純潔”みたいな?あの子見た目そんな感じしねぇ?超ヤバいって」
知らんそんなもん。
「素直に清楚で可愛いでいいだろ?無駄に教養気持ちわりぃ」
「あと”秋桜”と書いて”コスモス”だぜ?知ってる?さだまさし?」
「山口百恵だろ?ジジくさい・・」
「ちげぇよ、作詞作曲がさだまさしで・・」
などとバカな会話をしているとそのコスモスちゃんに異変が。
他校の明らかに三人の悪ガキどもに囲まれている。
見た目はコータと変わらんが・・
コータはコスモスちゃんに向かって間髪入れず駆けていく。
やれやれ。
あー見えて正義感は強いからな。オレも追従する。
「よー待たせてゴメン!だれコイツラ?トモダチ~?」
知り合いを装う。
睨みを効かせてあっという間に蹴散らした。
「あ・・ありがとうございました。困ってたんです。この街初めてで友達と待ち合わせだったんです」
彼女は頭を下げた。物腰といい声といい。確かに乙女だ。
「いいって!じゃ気を付けてな!」
去ろうとするコータにその女子が引き止めるように声をかけた。
「あ、あの、私、秋野桜っていいます。あなたの名前教えて!」
オレたちは思わず目を合わせる。
「ホントだ!コスモスってる!」
読んでいただいてありがとうございました。
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他にも短編掲載してますのでぜひ読んでみてください!