喧嘩おやじと元殺人鬼の大闘技大会
司会者の掛け声で出場者が全員コロシアムに入る。
「596名の戦士たちが集まったぞ!」
と言う司会者のセリフで観客が沸く。
その沸きで地震が起こったかのようにコロシアムが揺れた。
「今回集まった戦士は596名。まずはその中から一気に16人に絞りたいと思います!! この大きな円型の台の所に596名全員が立ってもらいます。そしてそこに10頭の闘牛を放ちます。闘牛を殺してはいけません。戦士たちよ、抗え! 戦え! 見せろ! 最高のパフォーマンスを!」
また、コロシアムが沸く。
闘牛が放たれた途端多くの出場者が舞台から落ちていく。
闘牛も戦おうとした人も一瞬で突進される。
「ひー! やめてくれぇ……!」
「頼む! もう無理だ! 俺をおろしてくれぇ……!」
とビビり始めた人たちもいたが、そんなのは無駄。
闘牛に落とされるか、突進されるかのどちらかだ。
「数が少なくなってきたな」
と言っていると俺の方に闘牛が向かってきた。
突進を避けて、抗っていると、実況の声が響く。
「おっと……一人! 闘牛を乗りこなしている人がいる! あれは……現在大会3連覇中のミカド・パンチエ!」
そのアナウンスに驚いた俺は周りを見渡すと、パンチエさんが、闘牛の上で闘牛を操作しているかのように乗りこなしていた。
「パンチエさん! さすがっすね!」
「おい! ミレイ! お前もやってみろ!?」
「できるわけ……」
「お前ならできる!」
闘牛に乗りながら俺に言うパンチエさんを見て、俺もやろうと思った。
別にこの大会に深い想いがある訳でもないんだ。
やってやる。
俺は闘牛の突進の受身に入り、闘牛の顔を掴んで、体を捻り、背中に乗った。
「第2のパンチエ、ミレイ様のお通りだ!」
と厨二病臭いセリフを吐き、見事闘牛乗りを成功させた。
「すごいぞ! すごい!」
実況の人すらも言葉にできていない。
そして俺とパンチエさんは闘牛の暴走に耐え切り最後の16人に残った。
控室に戻ると、パンチエさんがいた。
「やるなぁ、ミレイ」
「ありがとうございます」
パンチエさんは俺を褒めて、飲み物をくれた。
「みなさん、これよりトーナメントを発表いたします」
と16人のトーナメントを司会をしていた人が発表した。
俺は6人目、パンチエさんは14人目だったので、決勝でしか当たれなかった。
ここからのトーナメントはパンチエさんが説明した通り、相手を動けなくしたら勝ちだ。
俺の番になり、俺は相手をひたすら殴り蹴りで攻めた。
相手は投げタイプで相性が良く、勝てた。
パンチエさんも残る。
その後俺もパンチエさんも順調に勝ち進み、ベスト4となった。
俺の対戦相手はアラン・ディック。
前回の大会でパンチエさんと決勝で当たったらしい。
「俺はパンチエともう1度やって、次こそ優勝する」
とディックは言った。
俺は咄嗟に、
「パンチエさんとやるのは俺だ」
と答えた。