喧嘩おやじに憧れた人々
「俺とアンタじゃ、どっちが強い?」
俺がディックさんに煽るようにして聞いた。
「間違いなく、俺だ。これまでの戦いを見ていれば分かった。お前は強い。でも……俺はパンチエとやる。そして勝ちの価値を証明する」
とディックが答えたのに俺は疑問を持った。
「勝ちの価値ってなんだ? 勝ちってなんなんだ?」
「勝つことは……全てだ」
俺とディックの戦闘が始まった。
俺は殴ったり蹴ったりを繰り返す。
そしてディックは俺の隙を見て、腕を掴み投げ技に入る。
「お前……パンチエさんの投げ技を受けてればお前なんで序の口だぜ」
と言って受身を取って、ディックの腕を掴み、投げ技を仕掛けた。
「俺が投げ技をしてこなかった理由……俺はパンチエさんに勝つ気まんまんだからよ……パンチエさんにも隠したかったんだよ、俺は空手も得意だが一番得意だったのは……柔道だ!」
と言って、ディックを投げて、ディックは倒れた。
そして俺の勝利に終わった。
「アンタに負けるとはな……まだまだだな。来年また来るよ、絶対お前らに勝つ」
とディックが言った。
「ああ楽しみにしている」
そして決勝、俺とパンチエさんの戦いだ。
試合前、握手を20秒した。
「ミレイ……よくここまで来てくれた。おそらくこれが最後の大会になると思う。最後にお前に会えて良かったよ」
「歳ですか? まぁ最後だからと言って優勝はさせませんよ?」
俺はこう答えた。
その時パンチエさんはニコッと無邪気に笑う。
が、パンチエさんの言う「最後」は大会のことを言っているのではないと思った。
悪い予感がした。
パンチエさんの言葉に何か深い意味を感じた。
今はパンチエさんに全力で答えようと思う。
「ミレイ! かかってこい!」
最初から投げ技で行こうと急接近した。
間の距離は1メートルもない。
ただ目と目を睨み合う。
パンチエさんの腕を掴む。
「ミレイ! お前じゃ俺を投げれなかったはずだ!」
「いや! 投げれる!」
ぐっ!と力を入れてパンチエさんの体が宙に浮く。
「パンチエさん! 俺が優勝だ」
しかし「スッ」と避けて俺を抱えたパンチエさんは俺を投げた。
俺はパンチエさんを殴った。
パンチエさんは避けた。
そしてパンチエさんが俺の顔面に綺麗な飛び蹴りを喰らわす。
勝者はパンチエさんだ。
飛び蹴りは……急すぎるよ……
「パンチエさん! 4連覇おめでとうございます」
「ミレイ、ありがとう。お前が実質優勝だな」
「何言ってんすか」
司会の人が言う。
「ミカド・パンチエさん! 4連覇です! 何か皆さまに届けたい言葉はありますか?」
パンチエさんは口を開いた。