観光 1
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003
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「準備できたぁー?もう行っちゃうよ?」
「ちょっと、待てよ!」
「えぇー!遅い~!!」
これでも、超ハイスピードなんですけど。
ライルは、せっせと、観光をするにあたって必要な物をカバンに詰める。それも、かなりなスピードで。
「えー!?それで、早くしてるとか言わないでね!?スーロー再生にしか見えない…ククク…」
「あー、ハイハイ。準備できたから、行くよ。お先に。」
「え!?あ!待って!お兄ちゃん!!」
お前が待ってくれたのかもしんないが、俺は、待たん。
お前みたいに、ハイテンションで、旅行気分を味わいたい訳じゃないんだ。他の町に行っても、浮かれていられないんだ。
そう、思ったものの、楽しみなことは無いわけではなかった。
何か、こうして過ごしていて、平和すぎて暇なんだよなぁ。何か、趣味みたいなのを見つけたい…かも…
深鈴を置いて、部屋を出たライルは、つい、顔を緩めてしまった。
「おぉ!ライル。お前、旅行する気満々だな!その格好は…南国にでも行くのか?」
俺が今着ているのは、半パンにTシャツ。この半パンTシャツは特注品!じゃなくて、、、
夏の普段着と言えばこれだろう?と言いたいんだが、この世界には、冬がない。冬の方が、俺は好きなのに。
この国では大体、夏らしき暑さの時に、袖が短めになる。
暑かったら、別に着ても良いよなぁ?法律があるわけじゃああるまいし。
「これが動きやすいんだよ!この国のやつらの価値観は理解できん!!」
「まるで、この世界にいなかったみたいな事を言うよな。たまに。」
いなかったのは事実だけど、この国に生まれて育ったんだから、そうとも言えないんだよ。
「海に行くか。と言いたいんだが、この近くに海はない。」
「あぁ、それなら、俺が連れていけるけど。」
って言うか、転移で行けるけど。
「いや、ありがたいんだが、必要ない。今日は、王都でも有名な、観光地に行くからな。海はまた今度だ。」
「観光地って、どこ?王都って、そんなに広かったっけ?」
「それは知らなきゃまずいだろ、ライル。俺らは、今お前の家の前にいるが、ここも、王都なんだぞ?」
え、ここも王都なの?知らなかった。俺って、意外と常識知らないのか?あー、恥ずかしい。この年にして、それも知らないとか。
ま、まぁ?俺が、その辺知らないのは、学校いってないからだし。
すると、ようやく深鈴が家から出てきた。
「お兄ちゃん!!せっかく、お小遣い貰ったのに、置いていってどうすんのよ‼」
「あ!ごめん!忘れてた。」
「全く。」
そんな光景を見ていた、ラルギルはふと、疑問を抱いた。
「お前らってさ、本当に兄妹だったんだな。良いなぁ。俺も深鈴さんの兄に……じゃなくて。」
どこか、様子がおかしいような気がしたライルと深鈴。が、二人して、そこはスルー。
「あ、あぁ。兄妹だが…どした?急に。」
「いや、あの襲撃の時に深鈴さんは言ってたんだが、また後で説明するとか。言ってただろ?」
「そうだね。言っていたような…」
そう言えば、そんなこと言ってたな。それで、何の話かわかんなかったから、無視して、俺は狼をどうにかするって言って…
「説明したかったのは、私たちの関係のこと。私は、黒髪で、お兄ちゃんは金髪でしょ?だから、本当の兄妹ですってだけのこと。ごめんね。ずっと、聞きたかったかな?」
「ま、まぁ。そうだな。気になってはいた。」
「そうか、じゃあ───」
うわぁ、話に入りたくない。俺は、向こうにいよう。ラルギル…お前、深鈴のこと好きだろ。バレバレ何だが…10は年離れてるよな?この国はそういう結婚がありなのか?俺は、興味ないから知らないが…いや、常識すら知らないから、そんなこと知らないけど。
「あれ?そう言えば、ミクレは?」