表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

白鳥カレンとソフィア=アマテラス

「ふはははは我こそは古代魔法少女に封印されし悪の大魔王ダイアーク63世である」


「わた・・・」

「みんな行くよ!」

「私達魔法少女フルーツパフェ!フレッシュフルーツアターク」


「オマエタチタオスワレコソハ ビックバイン」


「わた・・・」

「貴様の好きにはさせん」

「我ら魔法少女騎士ロイヤルナイツ!!つるぎのサビにしてやる」


「おれたち・・・」

「わた・・・」

「悪即ブッ殺すおれたち荒くれ魔法少女!夜露死苦」


「わたしが活躍できなーい!!!」

蝶野一の事件から数日。彼から解放された魔法少女達のうち、現代の魔法少女たちはそれぞれの町に帰っていったが、それ以外の魔法少女達は落ち着き先が決まるまで、この町で暮らすことになった。恩人達に報いようとそれぞれの魔法少女がはりきりにはりきり、ご覧の有様である。

「さきさーん」「さきサマー」「さきの姉御」

「もう、うんざりだー」

特に救出の立役者となったさきちゃんは、姫さまのような扱いだった。ラブレターも何通も受け取っている。いまも気だるげに手を振ってるのだった。

若葉さんのことは残念だったけど、さきちゃんは明るく日々を過ごしてるようだった。


「んで、ソフィア、大事な話ってなんだ」

「・・・実は」

蝶野に捕まっていた時に、見た光景。カウンターズの中にカレンがいた。

しかし、

「私実家に帰ることにしたんだ」

口止めをされていた。このことをほのかたちに伝えたら、すぐに全員抹殺すると。

カウンターズの零華については、魔法国出身のソフィアにとっては恐怖の対象でしかなかった。優れた魔法の使い手であるカウンターズは魔法国において尊敬の対象であったが、畏怖もされていた。運命を変えてしまう四葉、膨大な魔力をもつ三千代、優れた魔法剣術の使い手裂九羅。特に零華はカウンターズの代々の隊長につけられる通り名だが、殺しに長けた魔法を使うことで有名だ。

なにより、向けられた殺気にうごけなくなってしまった。今の私は確実にほのかたちに迷惑をかけてしまう。それに

「調べたいこともあってね」

魔法国の王子である兄がカウンターズによって襲われた理由が謎だった。ほのかの謹慎処分が取り下げられたのも気になる。この場で役に立たない以上別の方法で役に立ちたい。


「さ・て・と」

杖を取り出す

「門ゲート、接続コネクト、追跡トレース、鍵キー」

魔法陣を書き上げていく。通常世界を渡る魔法は、超難度だが、私の場合は追跡によって、何度も飛べる。が今回は、念には念を入れないと。

「妨害ジャミング、二重移動ダブルジャンプ、囮デコイ」

このあたりがほのかお姉ちゃんとは頭の出来が違うのよ。あとは

「警告アラーム、拠点ポイント、帰還者リターナー」

常に魔力を消費してしまうけど。

警告なんかは危険を察知したら鳴り始めて、近くの魔法少女に知らせてくれる。これでよし、お土産を持って魔法国マジランドへ







扉をくぐったあと、けたたましい音で警告アラームが鳴る。

「警告アラームか、一足遅かったか。」

黒いローブが三人。魔法を砕く。

「双葉の姐さんに連絡をとれ」

「ばっか、おまえ魂を抜かれるぞ」

「早く魔法を解析しろ」

二人を小突き。まほうを唱える。ローブを外すと、羊の顔が出てきた。

「お嬢様を怒らせるな」


「なるほど、わかりました。」

スマホを操作するのは、カレンの魔法生物マジカルセバスチャンだ。

「転送追跡を行いなさい。行き先にマーキングを、付近を捜索し、さらなる転送追跡を行いなさい。」

ため息をつき、主人に報告する。

「お嬢様、逃げられました。」

「そう、出して」

「・・・群シープ」

現れたのは執事服を着た羊人。が、すぐに爆ぜる。杖を向けたのは、カレン。

「次」

「・・・群シープ」

「次」

「・・・群シープ」

「次」

「・・・群シープ」

「魔法国にいるカウンターズに連絡。私を転送する準備を、魔法国女王にコンタクト。こちらにダミーを。すぐ手配を」

杖の一振りで血のついた服を着替える。

「そうだ、増えた魔法少女。あれ間引いといて」

「御意に」

羊の魔法生物は闇に消えた


崩れかけた建物の中で2人は対峙していた。

「何なのだこの魔法は!なんなのだこいつは!」

妙齢の女性が着ているのは通常なら、扇情的な衣装。だが、見るも耐えないボロボロな魔法服。山高帽子はズレ落ち、片腕はだらりとさがり、その腕を血が伝う。肩で息をしている。

「・・・」

向き合うのは一人の金髪の少女。白いワンピースにはほこりひとつ付いてない。手持ち無沙汰に杖をくるくる回している。

背後には山積みになっている兵士が積み重なっていた。血だまりがひろがり、赤いカーペットが敷かれているようだった。

「私は魔法国カウンターズの零華様だぞ!こんな!こんな!!」

杖を自身にむける

「使いたくなかったが、金属化メタル、倍加ダブル、倍加ダブル、倍加ダブル、倍加ダブル、倍加ダブル、倍加ダブル、、、!!!」

ずくずくと膨れ上がる女を静かに見上げる。その目はいたずらっぽく歪む。

「デブダルマ」

「殺す!!!!」

巨大な金属の拳を振り下ろす。少女は躱すためにひらりと下がる。逃すまいと金属を変形させる。

「はぁ、創造クリエイト」

スケートボードを作り出し枝のように広がる追撃を躱す。

「想像イマジン」

杖が黒く染まる。空気が重くのしかかる。少女をまとう雰囲気が冷たく変わる。

「なんだ、この、プレッシャーは?」

「黒穴ブラックホール」

空間が黒く塗りつぶされる。ぞりっ

ぽっかりと空間が消え、金属の女は体の半分以上を丸くえぐられ、その場で崩れた。

「私は零華、最強の、魔法使、」

「邪魔」

杖の一振りで足のみを残して全てが飲みこまれていった。

パチパチパチパチ

乾いた拍手が天井のなくなった建物で響く。

少女はその方向に杖をむける。

「悪魔のような才能ですね。齢10ほどでしょうか」

執事服をきた羊の被り物をした男が入ってくる。

「黒穴」

「と、危ない。たとえ悪魔のような強さがあったとしても、」

「黒穴」

ぞりっと身体が斜めにくり抜かれる。

「あったとしても」

窓があった箇所から先ほどの男が入ってくる。

「悪魔にはかなわない。今はな」

「悪魔ね〜。目的は何?」

「ふははは、飲み込みが早くて助かる。俺は『零華』を守ることを契約としている。」

「じゃあ、なんで、あの女を見殺しにした」

「デブダルマが契約者なのは嫌だろう」

「はははははは、いいね、気に入った!」

悪魔と悪魔が手を結んだ瞬間だった


ゲートが閉まる前に、背中でアラームが鳴り響いたのが聞こえた。誰が侵入してきたのだろうか。分からないが、おそらくカウンターズ。飛んだ先ですぐに対策をしないと。

ゲートの先は森の中、魔法国に戻ってきた、魔力が溢れているのを感じる。この国では、全員が魔力を持ち、魔法を使って暮らしている。生き物も魔力を持つため、用心はしないといけないが、人里に近いここは比較的安全だ。

アラームが鳴って、すぐに鳴り止んだ。わかることは二つ。アラームの大きさから敵は2人〜3人、すぐに鳴り止んだことを見ると私より格上が少なくとも1人いる。すぐに飛ばな・・・

「あれ?」

膝から崩れる。目の前がぐるぐると回る。これは魔力酔い。向こうの世界に長くいすぎたか。いつもだったら、身体を休めるが今はマズイ。くそっ時空移動の魔力を感じる。奴らがここにくる。

飛べ!飛べ!!飛べ!!!

中途半端に魔力を使ったせいで余計に目の前が回る。くそっ

「お姉ちゃんこっち!」

小さな手が私を引っ張った。


少女に連れてこられたのは、森の中の小さな家。二階建て、家の周りには柵があり、動物よけの術式が杭に刻まれている。

小さな畑とニワトリ小屋、自給自足でもしてるのだろうか。少女にひかれるがままに家の中に、小綺麗な部屋の中には、使い古されたソファがあり、そこに寝かされる。パタパタと奥の部屋に入ったかと思うと、濡れタオルと洗面器を持ってくる。身長は私とほぼ変わらない。くしゃくしゃとした黒髪ではじめは目元が見えなかった。ただタオルを額に乗せるときに、見えた瞳の色は金色穏やかな優しい瞳だった。

取り出したのは杖、魔法国の住人なら珍しくはない。だが、

「黒い、」

漆黒の杖は見たことがない。そこだけ空間が歪んでいるようだった。

宙に魔法を描いていく。杖先から光を散らしていく、その小さな光ひとつひとつに魔法が込められている。

「きれい」

夜空に輝く星のような魔法だった。

「古代魔法エンシャントマジック治癒強化キュアエンジン」

それとと、少女の目つきが変わる

「記憶メモリー」

完全にふいを突かれてしまった。


「何を?」

少女に杖をむける。雰囲気が違う。

「ごめんなさい。私は人が怖いの。信用できないの。だから、前に出ることはほとんどない。悪いけど記憶を読ませてもらったの、記憶は嘘をつかないから」

「人嫌いならなんで私を助けたの」

「人ではないから」

少女は静かに続けた。髪の合間で銀色の目がこちらをじっとみつめていた。先ほどと色が違う。

「私のこの眼は、相手を見分けられる。君は混血。魔法少女と魔法生物のハーフ」

「・・・」

「殺すか生かすかどっちにするか迷ったけど、あなた面白い人生を歩んでるわね」

黒い杖をふるう。

「古代魔法エンシャントマジック時空切断ジ・アックス譲渡コネクト」

熱い何かが体の中に入ってきた。

「その魔法は愛する人のために使いなさい。一回しか使えないけど、私みたいにならないようにね」

そう言って、自分の頭を撫でた。

「私に何をした」

「さあ?私たちには悪いことだけどあなたにとってはいいことよ」


彼女の杖の色が黒から茶色に戻っていった。

「お姉ちゃん?お姉ちゃん?大丈夫??」

心配そうに覗きこんだ、年相応の顔つきだった。

「零華お姉ちゃんに教えてもらったんだ。この治癒魔法」

身体が軽い。魔力はあふれ出るようだった。だが、

「零・華?」

「私五葉!カウンターズ?のナンバー5!だよ?」


五葉と名乗った少女はにっこり笑った。

「お姉ちゃんの名前は?」

一瞬迷ったが

「ソフィアだよ」

「すごーい王女様と同じ名前だ」

そうなるか。おそらく銀の瞳の人格と記憶は共有してないのだろう。王女その人なんだが。

「お姉ちゃんはカウンターズって知ってる?」

「あぁ。大魔法使いたちだろ。国の宝さ」

加えて言いたい、そいつらに絶賛追われ中なんだ。

「そうっ!私もカウンターズに将来入れるように頑張るんだ。名前に5って入ってるし」

どうやらさきほどのナンバー5は子どものごっこ遊びの延長らしい。

安心した。

「お姉ちゃんはカウンターズは好き?」

「う〜ん、さくらさんだけは好きだよ。」

昔の私だったら迷わずさちよさんをあげていただろう。あの圧倒的な唯我独尊感。私の目指す女王像そのままだったから。

「わたしもわたしも!でもやっぱり零華お姉ちゃんが一番好き」

「わたしも五葉のことだーーい好き」

白鳥カレンがおともなくその場に現れた。


「お姉ちゃん帰ってくるときは連絡してっていってるじゃない。ご飯は?」

「お〜食べまス!食べまス!五葉の料理は美味しいですからネ」

ニコッと微笑んでぱたぱたと台所の方へ向かった。奥に行ったことを確認したカレンは杖をとりだして魔術を使う。

「空間指定チェック、隠サイレント、時間停止スロー」

外の景色がゆっくりと動く。結界の中に入れられたようだ。

「カレン。」

「まさかこんなところにくるとはね、ソフィア。てっきり王都に向かったと思ってたよ。差し向けた刺客が無駄足を踏んでしまったようだ」

どうやら囮はうまく発動したようだ。

「まぁわたしの用事は終わったし。王宮は大混乱だね」

「っ何をした」

「ふふふだーいすきなお兄さんについてね。お母様とお話をしてきたんだよ。でも、あなたには関係ないよね」

心底楽しそうに笑う

「愛なき養子だもの」

「カレン!!」

胸ぐらを掴む。カレンはその手を気だるげに見下ろした。

「立ち去りなさい、今からディナーなの。招かれざる客にはおかえりいただきたい。これは恩情よ。家の中を汚されたくないもの、解除リリース」

時間が動き出した。

「ソフィアお姉ちゃんも食べてく?」

「ソフィアさんは大事な用事があるみたいナノ。すぐに行かなくてはいけないみたい残念で〜す。」

小屋を後にした。王都へ急ぐ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ