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自己中心主義勇者 egoistic hero  作者: バード・ポー
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マリ


カズマが『Highpressuregun』を完成させた頃、サンライト城の王室にはAシェルターからの早馬が来ていた。


使者:「Bシェルターからモンスターが攻め入り、我がシェルターはもう・・・」


Aシェルターからの使者は肩を負傷していた。

息も絶え絶えで、サンライト城の守衛にもう片方の肩を抱えられている。

サンライト城の帝王の娘マリは険しい顔でAシェルターからの報告を受け、使者を労った。


マリ:「ご苦労だった。今はもう治療に専念してくれ。」


役目を果たした使者は守衛に抱えられて医務室へと運ばれていった。

ハーと深いため息をついた後マリは他の守衛達を呼び、全員に非常事態を告げた。


守衛A:「モンスターか・・・そんな奴とどう戦えってんだ・・・」

守衛B:「大体何で他のコミュニティーを襲うんだよ。迷惑な話だ。」


兵士達の間でどよめきが起こり、動揺がおさまらない。


マリ:「Aシェルターが陥落したということはこの城にもいずれモンスターが押し寄せる。何か対抗手段を考えねば我々も同じ末路をたどる。まずは城壁をより堅固にせよ!そしてAシェルターの生存者は我が城で受け入れる。」

守衛A:「わかりましたマリ様」


マリの指令でひとまずその場は落ち着いたが、守衛達の表情から不安は消えなかった。

守衛達が城壁を固めに出ていく中、守衛隊長のドグマはマリの下へ近づき声をひそめた。


ドグマ:「マリ様、私はAシェルターの難民受け入れには反対です。」

マリ:「なぜだ?」

ドグマ:「Aシェルターの人間を受け入れる程我々も豊かではありません。食料や住居などが不足してしまいます。我が民からもいずれ不満の声があがるでしょう。」

マリ:「我々の状況はわかっている。貴様の言う通り避難民を受け入れるのは厳しいだろう。だがもし我々がAシェルターの立場だったらどうだ?そう考えると放ってはおけないのだ。我が民には私から説明する。この状況を乗り越える為にも皆の力を貸してくれ。」

ドグマ:「わかりましたマリ様。」


そういうとドグマは一礼をしてその場を退出した。

マリは鎧を手に取り自らも武装する。

前帝王が亡くなり、その職責の全てをマリが抱えることとなった。

元々男性性の強い性格だったマリは王女として暮らす事よりも武道をたしなみ、日々鍛錬していた。

褐色の肌は女性独特の艶があったが、しなやかな筋肉が発達しており、野生の豹を連想させた。

ぼさぼさの髪をまとめ、刀を腰におさめる。


マリ:「女など捨てたはずなのにまだ・・・」


そうつぶやくマリの口元はゆがんだ。


#報告#


タッタッタッタッタ・・・

マナはサンライト城の階段を駆け上がっていた。

勇者の到来を王女に伝えるべく走るマナ。

普段と違い生き生きとしているマナを見かけた城の民達が声をかける。


民A:「マナちゃん、どうしたの?なんかいい事あった?」

民B:「新種の薬草でも見つけた?」


皆の問いに答えずマナは「カズマ様・・・カズマ様・・・」とつぶやき走っていく。

そこへマリが目の前に急に現れ、マナはよけきれずにぶつかった。


マナ:「キャッ・・・」


マナは尻もちをついてイタタタと肩をさする。

臨戦態勢でピリピリしているマリはマナを睨みつけた。


マリ:「マナ!城内を走るな!」


マナはその迫力に押されビクッと体を震わせた。


マナ:「申し訳ありませんでした、マリ様・・・」


今にも消え入りそうな声で謝るマナを見てフッとマリの表情が和らいだ。


マリ:「こちらこそすまなかった。だがここは武装している者もいる。ぶつかってケガをするのはオマエだ。そうならないようにお互い気をつけよう。大丈夫か?」

マナ:「はい、マリ様。私は大丈夫です。」

マリ:「そうか。ところで何か緊急事態か?」

マナ:「あ!そうでした!カズマ様なんです!」


マリの頭に?マークが浮かぶ。


マリ:「なんだそのカズマ様とは。」

マナ:「あ、えーとつまりですね。『予言の書』なんです。勇者様なんです。」


しばしの沈黙が二人を包む。

ニコニコしているマナを見つめるマリ。


『カズマ様・・・予言の書・・・勇者様・・・』


三つのキーワードからマリはマナの言わんとする事を予測した。


マリ:「つまり『予言の書』にある勇者様が現れそいつはカズマという名前なのだな?」

マナ:「そうです!マリ様!これで世界は救われます!」


マリは半ば強引な推測が的中している事に驚いた。


マリ:「まさか本当にそうなのか?」

マナ:「はい。カズマ様は『予言の書』に書かれているとおりに光と共に現れました。その様子は私が全て見ていました。間違いありません。」

マリ:「信じられん・・・夢ではないのか?」

マナ:「いいえマリ様。確かに勇者様が現れたのです。」


マリはマナの真剣な表情にやや驚いた。

マナのこんなに真剣な表情を見るのは初めてだった。


マリ:「マナ、勇者は今どこにいる?案内せよ。」

マナ:「はい。勇者様は今『開かずの間』にいらっしゃいます。なんだかジョーホーシューシューをするとか・・・」

マリ:「何?あそこに入る事ができたのか?」

マナ:「はい!なんかピカピカまぶしい部屋で誰かと話をしていました。おそらく神様だと思います。」


マリの表情が曇る。


マリ:「おのれ・・・忌々しき過去の遺物が・・・」

マナ:「マリ様・・・どうかしましたか?」


マナは怯えながらマリの様子を伺っている。


マリ:「いや、気にするな。『開かずの間』だな?」

マナ:「はい」


『勇者だと?本当に勇者なら・・・殺す気で試してやる』


足早に『開かずの間』へと向かうマリを追いかけてまたマナは走り出した。


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