kazuma
カズマは帝都理工大学院の2年生。
大学院にはほとんど通わずに遊びほうけていた。
『人生を楽してチョロく生きる』
それがカズマのモットー。
15歳の時にネットワークビジネスを始め、年商4億を稼ぐ事業家となった。
しかし決して表舞台には立たず、黒幕として暗躍していた。
頭脳明晰、運動神経は抜群。
ただ自分の得にならない事はしない自己中心的な考え方なので、彼を嫌う者も多い。
今日もカズマは高級クラブで彼の取り巻きを交えて酒を飲んでいた。
カズマ:「最近つまらないな・・・なんかこう血が沸くっつうか燃えるっていうか」
取り巻きA:「全くカズマさんの言う通りです!」
取り巻きの一人がおべんちゃらで相槌をうつが、カズマもそれは承知していた。
ホステスA:「あら?カズマさんまだお若いのにもう燃え尽きちゃったの?」
ホステスの一人が軽くひやかすとカズマは嬉しそうに笑った。
カズマ:「ガハハ、ねぇちゃんはっきり言うねぇ。俺そういうの好きだよ。なんか世の中思い通りにいきすぎちゃってさ。こんな風におねえちゃん達と酒飲んでバカ話してるのが今一番楽しいよ。」
取り巻きA:「全くカズマさんの言う通りです!」
ホステスB:「カズマちゃんお話もいいけどたまにはお小遣いちょうだい。」
カズマ:「うるさいんだよオマエは。なんで何の特にもなんねぇことしなきゃねぇんだよ。」
ホステスB:「ケチ~」
取り巻きA:「全くカズマさんの言う通りです!」
カズマ:「アンタにお小遣いあげて俺にメリットはあるんですかぁ?」
ホステスB:「そりゃぁたっぷりサービスするわよ?」
カズマ:「ウヒヒヒヒ、やめとけよ。俺は早いから稼げねぇぞ」
取り巻きA:「全くカズマさんの言う通り・・・」
そこでカズマは相槌をうちかけた取り巻きの一人の胸ぐらを掴みにらみつけた。
シーン・・・とクラブの空気が鎮まる。
カズマ:「オマエそれしかしゃべれんのか?さっきから同じ事しか言ってねぇよな。」
取り巻きA:「うぐぐ・・・スミマセン・・・」
カズマに胸ぐらをつかまれた男は苦しそうに答えた。
カズマ:「おべんちゃら言うのはかまわねぇが人の話はちゃんと聞けや。今度適当な事言ったら張り倒すからな。」
カズマはそう言うと男を解放した。
男はゴホゴホとせきこみながらカズマに謝っている。
カズマは無表情のまま男に背を向けて店の出口へと向かった。
ホステスA:「カズマちゃんどこ行くの?」
店のホステスがあわててカズマを呼び止める。
カズマ:「帰る。なんか白けた。」
カズマはそう言うとスタスタと外へ出て行った。
店長やホステス達がそれを止めようとカズマを追いかけた。
ホステスA:「カズマちゃんあんなの気にしないでよ~」
ホステスB:「そうだよ、楽しい話もっとしましょうよ。」
ホステスC:「お願いだから機嫌直してね?ね?ね?」
皆がカズマを引き止めようとするが、カズマはおかまいなしに歩いていく。
懐に手を入れるとそこから札束を取り出し、無造作に店のカウンターに置く。
カズマ:「100万ある。今夜はごちそうさん。もう来ないから。アディオス。」
カズマはそう言い残し、店を出た。
待機していたリムジンに乗り、冷めた表情で運転手に帰宅するよう指示をする。
リムジンの外ではクラブの店長やホステス、取り巻きの者達らがまとわりついていた。
リムジンがクラクションを鳴らすとまとわりついていた亡者の群れは離れる。
カズマ:「結局金がほしいだけだろうがよ・・・」
カズマは寂しそうに呟いた。