表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/68

決闘!アランVSエディ!私のためにあらそわないで!?

「よし、決闘の時間だっ」


 アランは目にクマを作ったまま叫んだ。


「アラン王子、おやめになってください」

「レイラ、下がってて。君は審判だ」

「らしくないですアラン王子!」


 ムキになるアランには、レイラも違和感を感じたらしい。

 それでもアランは食い下がらない。


「大丈夫。勝負はただのかけっこだよ。ケガも何もしないさ」

「アラン王子、走るの早いんですっけ?」

「そうだよ、自信がある」


(エディは……? エディはどれぐらい走れるの?)


 鈍足とも速いとも聞いたことがない。すごく不安。

 ……仕方がない、あの手を使おう。

 私は決意を固めた。

 そして、決闘が始まった。スタート位置にふたりはならぶ。


「エディ、大丈夫?」

「オレは……勝たないとだから」

「リリアナ、僕にも大丈夫をちょうだい」

「アラン、もうあきらめてよ……こんないじわる、らしくないのに」

「だって、僕のリリアナだもんっ」


(アランは結構、独占欲が強いのよねー)


 ゲームでもそうだった。普段は押しが弱いおっとり系なのに、レイラを取り巻く周りにはすぐやきもちを焼いていた。

 それが、可愛いと思うんだけど……まさかこんな事になるとは。


「いくよ! レイラ、スタートを!」

「はい……スタートです!」


 レイラの掛け声に、ゴールで私はふたりを待つ。

 足の速さは、明らかにアランのほうが勝っていた。

 アランも満足げに笑っている、その時だ。私が魔法を使ったのは。


(風よ! アランの足を止めて!)


 そう念じた瞬間、風がブワッと巻き上がり……私のスカートがまくれ上がった。


「!?」


 びっくりして立ち止まり、挙句アランは転んだ。エディも固まる。

 私は慌ててスカートを抑える。絶対見られた! 私は顔を熱くしてしゃがみこんだ。

 緊張で風の具合が狂ったらしい。


「リリアナ様! アラン王子! エディ様!」


 レイラがあたふたしている。迷った結果、私のほうへ駆けてきた。


「大丈夫ですか? リリアナ様……」

「だ、大丈夫よ。ただの風だもの」

「ドロワーズをそろそろ下に履くようにしたほうがいいですね」

「それは何?」

「下着の上に履くものです、フカフカしてかわいらしいのですよ」

 なるほど。スパッツみたいなものかな?

 そして、鼻血を流した状態のふたりが私のほうへ歩み寄ってきた。正直怖い。

「勝負はもう一度やる」

「アラン」


 そんな時、エディがポロポロと大きな涙を流し始めた。

 ぎょっとして、冷静になった様子のアラン。


「エディ?」


 私があわてて寄っていくと、エディはわんわん泣き出した。


「オレ、アラン兄さんと仲良くしたい……ひとりっこだから、お兄ちゃんできたみたいで嬉しかったのに、歓迎されないのはつらい……」

「……エディ……」


 アランが罪悪感に満ちた顔をする。

 ようやく嫉妬心からの暴走は収まったらしい。


「……悪かったよ、僕が……大人げなかった」

「アラン!」

「だって……リリアナ取られると思ったんだもん……」


 アランまで泣きだす事態に、私は混乱する。

 ふたりの男の子が子供丸出しで泣き出す状況に、レイラと私はウロウロするしかなかった。よく考えれば、まだふたりとも子供なんだから、泣くぐらい普通なんだけど。

 さすがにその状況では、何があったのかとほかの使用人まで飛んできた。


「アラン王子! 大丈夫ですか!」

「大丈夫……なんでもないから……」

「ですが」

「使用人は戻ってて」

「……はい」


 差し出されたハンカチで顔をふくアラン。そしてもう一枚のハンカチで、エディの顔を拭いてあげていた。すごく、アランらしいと思う。


「ごめんね、エディ……僕……」

「大丈夫だよ、オレ、怒ってない」

「本当に反省してる」


 王子様に深々と頭を下げられて、動揺するエディ。無理もないと思う。

 私とレイラはにこにことそれを見て拍手をしていた。

 やっぱり、仲良しが一番だ。

 そこで、私のお腹が鳴った。そろそろお昼であるから、当然だ。


「あーおなか減った。みんなでご飯を食べよう? レイラも!」

「ええっわたくしもですか」

「僕が許可する」

「レイラ、この国の王子の命令が聞けないの?」

「そ、そんなわけじゃあ……」


 レイラの目がぐるぐるしだす。そして、笑いだす私達。

 そこでだ、アランが急に真顔になってエディに聞いた。


「エディ、まさかリリアナの下着は見てないよね?」

「え、見た、白だった」

「……やっぱもっかい決闘しようか?」


 ニッコリ笑顔でふふふと笑うアランは、すごく怖かった。

            


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ