番外編 レイラとリリアナの出会いの過去回想
……あの日あたしは不安でいっぱいだった。
ずっとあたしは孤児で。
あちらこちらを渡り歩いてきたから。
どうせまた、いらない子として扱われてどこかに行くのだと思っていた。
(そういう運命なんだ、あたしは)
あきらめていた。あたしは幸せにはなれないって。
そのうちレイラと言う名前すら、変わるんじゃないかって。
あたしって、生きている意味あるのかな。
もう、すねるような勢いであきらめていた。
そんな時だった。おじさまが、あたしを見つけてくれたのは。
「大丈夫だよ、レイラ、おじさんがいるからね」
そう、まだあった事ないリリアナという女の子のお父さんが言う。
だけどやっぱりあたしは不安で。
どこにでもいるみすぼらしい孤児のあたしと、お嬢様なリリアナが釣り合うはずもない。
そう、思っていたから。
今ここに、リリアナ様があたしの目の前で笑っていることが、夢のようで。
「レイラ、疲れてない? お水いる?」
掃除中にリリアナ様はあたしの顔を覗き込んでいった。
そりゃ、慣れないお屋敷だから疲れてはいるけれど……仕事だし。
「あの、お水は使用人のあたしが……」
「掃除いっぱいして疲れてる人に、お水ぐらいいいじゃないの」
(なんて優しい方だろう)
「どうせ、これから一杯私のお世話してもらうんだから」
「はいっ、喜んでっ」
(この人になら、ついていきたい)
リリアナ様が持ってきたお水からは、ほんのりとレモン果汁の味がして。
ほんのり甘みもあって、すごく幸せな気持ちになったのだった。




