表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/69

後夜祭は酔っ払い祭り!?

 私達の世界のお酒の合法は、十五歳からである。

 けれど、お酒は高価なため、なかなか十五歳でお酒は飲まない。

 アランぐらいかな? 飲める立場なのは。でもアランがお酒を私達の前で飲んだのを見たことがない。どうも、あまり好きじゃないみたい。

 で、後夜祭ではお酒がふるまわれるのだ。メルはさすがにお留守番。ごねてたけれど、お菓子をあげたら黙った。やっぱり子供ねー。


「ただいまから、後夜祭を始めます」


 司会の言葉にみんなが盛り上がる。

 この世界って結婚も十三歳から男女ともにできるし、色々変わってるのよね。

 つまりは、学生の中にも夫婦とかが普通にいたりするのだ。

 フォークダンスを皆で踊る。レイラの踊りも様になってきた。

 アランが躍りたがるので、私はアランとペアを組んだ。


「リリアナ、文化祭楽しかったね」

「そうね、また来年が楽しみね」

「バイオレット先輩はいないけれど……」

「たしかにそれは残念ね、アラン」


 しゃべりながらくるくる回る私達。

 エディやバイオレット先輩とも踊る。着飾った皆は、すごくかっこよかった。

 きれいな音楽をバックに、踊りまくる。

 そうしているうちにフォークダンスは終わる。

 そして、テーブルの前に飲み物が置かれる。ジュースとお酒数本と、コップだ。

 当然のように私達は五人で固まっていた。


「お疲れさまでした! 皆」


 私の声に、皆が拍手。ごちそうも運ばれてきた。あのチキン、おいしそうー。

 わくわくしながら、私はジュースを飲みながらごちそうをつまむ。 

 皆にはお酒を注いで、テンションを上げていく。


「リリアナ、僕お酒は」

「いいからいいからっ。私が介抱するし」

「え……」

「皆もジャンジャン飲んじゃって!」


 私、お酒って飲んだことないから怖いんだよね。

 でも私、皆の酔った姿見てみたーい! 好奇心がうずくのだ。

 まず先に酔っぱらったのはエディだった。


「あははははは、酒うまいな」

「エディは笑い上戸っと」


 なんかエディらしいや、すごい楽しそうにお酒をエディは飲み続けている。


「なんだかすっげー楽しいんだ」

「それはよかった」

「僕はとても悲しいよおおお」


 わんわんと泣き出すアラン。大粒の涙を流してぐずる。


「アランは泣き上戸!?」


 号泣して抱き着いてくるアランを私はあやす。


「あはは、アラン兄さん子供みたいだなー」

「うわあああん、どうせ僕はお子様王子だー」


 なんだこれ、カオスだ。レイラはお酒は飲まないつもりらしく、ちまちまジュースを飲んで苦笑いを浮かべている。

 果たして、バイオレットはどうなんだろう? と思うと彼は黙々とお酒飲み続けていた。お酒強いのかな? 不思議に思っていると、のっそりアランに彼は近づき、キスをした。


「!?」


 驚いて声も出ない私。放心するアラン。

 なんだか黄色い悲鳴がレイラから上がったような?

 あの、思ってたんだけどレイラって……。

 ほかの女子も大はしゃぎでその様子を見ている。


「さあ、皆わたしとキスをしようか」

「あははは、男同士でキス!」

「うわあああん、男にキスを奪われたあああ」


(騒がしいなあ)


「エディ君も、キスしよう?」

「あははは、いやです!」


 エディは笑いながらバイオレットを拒絶する。

 なんだかんだで、エディは腕力が強いのだ。


「じゃあ、そこの君! キスしよう!」


 バイオレットがそこにいた女子生徒の手をつかむ。

 女子生徒は感激で呆然としてから叫んだ。


「きゃあああああ、バイオレット様とキスですってぇえええ」


 なんだか大騒ぎになってきた。バイオレットを止められる人は、いない様子だ。

 これ、思い出したら死にたくなるよね。


「さあ、皆わたしとキスをするのだ!」

「うわあああん、リリアナ、うわあああん」

「あははは、なんかいろんな人がいるー。超楽しいー」

「皆さん酔っぱらいすぎじゃないですか」

「まあ、そう言う場所だからいいんじゃないかな。先生も見張ってるし」

「バイオレット先輩のキスに犠牲に、先生方も喜んでなってますけどね……」


 レイラが若干おびえてる気がするけれど、無理もない。

 なぜか私を見てヒヤヒヤしてる様子を感じるけど、気のせいだろう。

 私、食べて飲んでるだけだし。

 バイオレットがキスを振りまいている中、レイラは恐る恐る私に寄ってきた。


「リリアナ様、大丈夫ですか?」

「何が?」

「たくさん飲まれて……」

「ああ、ジュースね。お酒って怖いんだなあって思ったよ、今回で。お酒は飲まないほうがいいんだねー。あー、ジュースおいしいー」

「あの、言いにくいんですが……その」

「ん? どうしたの、レイラ」


 そう言いながら私はまたジュースをお代わりする。

 うーん、おいしい。体がぽかぽかするね!


「リリアナ様、ずっと飲まれてるそれ、お酒ですよ? 五本も瓶をあけられていますが……リリアナ様は酒豪なのですね」

「えっ」


 私はコップを落とした。当然、ガラスが割れる。


「これ、ジュースじゃないの?」


 見た目も鮮やかな紫色だし、お酒臭くもないんだけど……。


「お酒です、わかってるものだと最初は思っていたんですが……」


 がーん、知らなかった。衝撃の事実に頭を抱える私。

 結局私は次の日も二日酔いに悩まされず、何もなかったように過ごした。皆の記憶がなかったのは、正直幸いなことである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ