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恋占いは何パーセント

再度題名変更しました。

とある放課後の出来事。


「私とレイラの相性はゼロ%……なんて、この占い本ありえないっ」

「まあまあ、リリアナ様」

「私とレイラの相性は百%よっ」


 まあ、正ヒロインと悪役令嬢じゃそうなるのも仕方がないんだろうけど……わたしとレイラは親友のはずなんだから! 古い学校の図書館で私は叫ぶ。

 でも、私達以外は図書館にいないから、広い図書館の中で声はただ響くだけだ。

 学校の図書館なわりには、娯楽本もたくさんある図書館は、今や学校の空気になっていた。


「うるさいよリリアナ」

「アラン。アランと私もゼロ%なんだよ!?」

「そんな馬鹿な!?」

「アラン王子も叫んでるじゃないですか」


 レイラが頭を抱える。その通りである。

 アランは絶望したように壁に頭を打ち付ける。


「この占い本は偽物だ」

「アラン……落ち着いてよ」

「破り捨ててやる」

「荒ぶりすぎ。まあ、ショックだけど」

「大丈夫、僕とリリアナは運命の恋人だから」

「あはは……」


 アランに強引に両手を握られて笑う私。

 そこに、おなじみの三人がやってきた。

 バイオレットは追加の占い本を何冊か持っている。


「ほかのでも試してみようよ、リリアナさん」

「そうだよー、一冊じゃわからないよーリリアナお姉ちゃん」

「オレはあんまり興味ないけど」


 そう言いながら、ちらちら占い本見てない? エディ。


「エディ、あんたともゼロ%よ」

「ああ!? んなわけねぇだろ!?」


 普段穏やかなエディの顔色が変わった。


「……エディあんた声でかすぎる」


 思わず耳を抑える私。どんだけ肺活量あるの。

 バイオレットに至っては、苦笑い。


「まあ、占いだからね」

「バイオレットもゼロ……」

「デマだから、大丈夫」


 さすがにバイオレット叫ばないか。大人だなあ。

 メルに至っては、一生懸命占い本をめくり続けている。


「何してるの、メル?」

「リリアナお姉ちゃんとボクの結果がいいやつを探してるの」


 メルの声は涙声だ。子供にとっては、占いは死活問題なのだろう。


「あった?」

「ない……」


 べそをかくようにメルは言った。

 まあ、仕方がないよね。この世界で私と皆のフラグは存在しない。

 レイラとの占いは、全部百%なんだけど、その事についてはみんな触れようとしない。

 メルは泣きそうな顔をして占い本を閉じた。


「わたし達で、占い本を作ればいいじゃないかな?」

「バイオレット先輩、何言ってるの」


 そんなのめちゃくちゃじゃない!?


「アラン王子の権力でなら本は軽く出版できる」

「だろうけどさあ……」


 それっと占いって言うの?


「いいよ僕、出すよ」

「アラン!?」


 ちょっと、やりすぎじゃない? それ。

 頭を抱えるエディに、同調する私。


「エディ……頭を抱えたくなる気持ちはわかるわ」

「占いなんか信じたければ信じればいい……オレはオレ、占いは占い」


 エディの視線もうつろだけど……というか、自分に言い聞かせてるように聞こえるけど。


「そうだよ、私達は占いなんかなくても繋がってるじゃん?」


 運命なんかじゃないけれど、私達は友達なんだよ。

 ライバルのはずのレイラだって、皆含めて仲良しなんだよ。

 占いは、当たるも八卦外れるも八卦! 楽しむ程度でいいと思う。


「占いは違っても現実はこうなんだから、いいじゃん。もう」

「そうだね、リリアナ。僕の運命の糸はリリアナを指してるしね」


 アラン、肩を抱かないで。耳元で囁かないで。


「アラン王子も、どんどん発言が過激になってきましたよね。子供の頃を知ってるとなんか不思議な感じです」


 その気持ち、よくわかるよレイラ。でもアランの場合、見た目がいいから違和感ないんだよなあ。ビジュアルがいいって、やっぱ甘いセリフを吐くときは大事だよね。


「それに、正直わたくしよりリリアナ様のほうが皆様と運命の人に見えますし」

「そうかなあ」


 気のせいだと思うよ、レイラ。だって、私は悪役令嬢だし。

 レイラみたいに清楚可憐じゃないし、可愛くないし……。


「それに、わたくしの運命の人はリリアナ様です!」

「ふぁっ!?」


 何を言い出すの、レイラってば。

 エディは噴き出した。

 レイラは大胆なぐらいに、私に抱き着く。


「リリアナ様は、私の大切な人なんです! 誰にも渡しません!」

「レイラ……」

「リリアナ様、大好きですー」


 子猫のように甘えてくるレイラは、すごく可愛い。

 髪の毛も柔らかいし、いい匂いするし。女の子って感じ。

 胸も大きくてふわふわするし……うう、女子力負けてるっ。


「私もっ」

「……女の子同士の友情には割って入れないね」


 バイオレットが腕を組んでいった。頷く男子一同。


「皆も大好きだよー! 愛してるー!」


 私は酔っ払いのように叫ぶ。図書館に他に誰もいないのをいいことにしている。


「まあ、占いは所詮占いって事だよ」


 バイオレットの言葉に、皆が頷く。

 そう、占いは占いだ。


「一番は、本人の気持ちだねー」


 メルが言う。うんうん、とみんな頷く。

 私達は、占い本を放置して外へ出かけた。


「今私達は仲良しなんだから、それで十分! ずっとそれが続くといいなあ」


 私は笑顔で叫ぶ。あったかい風がとても気持ちいい。

 爽やかな外の空気は、すごくおいしかった。




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数年ぶりに新作書きました。作風は若干違いますが年下男子からの溺愛系地元ごはんものです。金沢絵描きごはん 応援よろしくお願いします!(何度でもいう)
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