表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/68

レッツゴー!新入生歓迎パーティ!

 新入生歓迎の宴が始まる。紫のカクテルドレスを着た私は、白いショールを肩に巻いていた。それに対してレイラは、ピンクのシンプルなドレスを着て、大ぶりのイミテーションパールのネックレスをつけている。まさにヒロイン、な装いだ。


 それにしても私の悪役っぽいセンスはどうにかならないのかしら、お母様が選んでくれたものなのだけど……。でも、鏡を見れば、すごく似合っているのよね……。

 お母様のセンス自体は、間違ってなくて断れないというか……。


「リリアナ様、わたくし、やっぱりダンスなんか……」

「大丈夫よ、レイラはキレイよ」

「そんな事は、リリアナ様のほうが美女って感じです! ……アラン王子達も、絵になってますし、相変わらずゴージャスですね、アラン王子の衣装。金の糸とかふんだんに使ったのが、定番だなんて」

「キラキラしてるわね」


 アランは白地に金をベースにした、いかにもな王子様ルックでたたずんでいる。

 エディは質素な深緑色の服を着ているけれど……。


「紫でお揃いだね、リリアナさん」

「バイオレット先輩」

「メル君は?」

「さすがに今回は来ないみたい。学生オンリーのイベントだしね」


 すごく行きたいと駄々こねてたけれどね。

 あの子は、踊れるのかしら? 器用そうな印象はあるけれど……。

 緊張しているレイラを励ましながら、音楽の前のあいさつを聞く。

 音楽が鳴り出すと、踊りだす私達。私、ダンスは得意じゃないけれど、数をこなしたから人並み程度にはこなせるようになったの。まあ、たどたどしいけれどね……。


「きゃあ」


 レイラの悲鳴があちらこちらで聞こえる。

 よく見ると、相手の足を踏んでしまっている。そこそこの貴族の子供もいるからか、かなりレイラはおびえた様子だ。


(頑張って、レイラ……)


「いてぇ」

「すみませんすみません」

「これだからメイドは……」


 そんな会話が聞こえる。いたたまれない、と思ったけれど……そこに


「そこ、初心者をエスコートするのも紳士のたしなみじゃないのかな?」

「アラン王子!」

「わたしもそう思うね」

「生徒会長!」



 学園の権力者ふたりに言われて、レイラの相手役は顔を青くする。

 そしてその後は静かにダンスを皆が踊っていた。

 これで丸く収まったと思ったのだけれど……。


**********


「ダンスが終わったわね。レイラは?」

「そういえば見かけないけど……」

「お友達に呼ばれていたけれど?」

「バイオレット先輩、レイラに友達はいないはず……」


 しまった、油断していた。レイラは今、何をされているのだろうか。


「多分上の階から見渡せば、外ならわかるはずだよ」

「ありがとうバイオレット先輩! 私最上階の五階に上がってみる」

「僕も行く」


 慌てて走り出す私達。そして、校庭の片隅に、女の子の集団を見つけた。


「いたっ、いたわよっ」

「急いで戻ろう、リリアナ」

「ええ、アラン!」


 またマッハで走っていく私達。たどり着くと私は風で女の子の達のスカートをめくった。

 その途端、レイラのスカートめくれ上がりそうになり、焦る。

 すぐに私だって察してくれて、スカートを押さえてくれたけれど。


「私達のレイラをいじめるなんて許せないわ!」

「あ……リリアナ様に、アラン王子……」


 ガタガタ震えるいじめっ子達に、ため息をつくレイラ。


「リリアナ様。わたくしは大丈夫ですから、落ち着いて。こういうのは、勉学の実力でどうにかするのがいいと思うんです」

「なるほど、さすが優等生レイラ」


 私は思わず感心する。そうね、ケンカするよりはよっぽどいいわね。

 アラン達もフムフムと言った様子だ


「特に魔法は、わたくし自信ありますし」

「レイラ・ローズ……見てらっしゃい! あたし達も勉強じゃ負けないわ! そしてあんたのこのポジションを……」

「ええ、お互い頑張って成績をあげましょうね」

「ぐぬぬ……」


 満面の笑顔のレイラは、やっぱり頭がいい。

 そうすることで学校中の学力があっていくし、いいことだらけだ。

 ハッ!? バカな私にとっては全然よくないんじゃ……。

 顔色をころころ変えている私を見て、レイラは笑った。


「大丈夫ですよ、リリアナ様。わたくしはリリアナ様の家庭教師もやりますから。なんのために、メイドなのに学校についてきたと思います? 貴女のためですよ」

「えっ、そうなの!?」

「じゃなきゃ、学費を出していただいてまで就学するのは申し訳ないですから」


 知らなかった……たしかに、アランは魔法は使えないし、授業のサポートは無理だもんね。

 魔法を使えるレイラと同じクラスってだけで、課題はほぼ同じ。

 一緒に勉強すれば、卒業も容易だろう。


「では、ごきげんよう」

「レイラ・ローズめっ、うう、悔しい」


 いじめっ子達はハンカチを噛んで私達を見て泣いた。 

 そういえば、ここはゲームではアランのイベントだったんだわ……まあ、いいや。

 レイラは上機嫌だし、ほかのメンバーも満足そうだしね。


「でも、嬉しかったですよ。皆さんの気持ち」

「レイラ……」

「そばにいて恥ずかしくないように、これから魔法の勉強をしようと思います。リリアナ様もどうですか?」

「いいわね! 私もやるわ。アラン達は別室にいてちょうだい。魔法に巻き込んだら嫌だから」

「そう、それなら……僕は魔法が終わった時に食べるお菓子を買いに行こう」

「オレもついていくよ、アラン兄さん」

「わたしは、ドリルでも作っておきますかね、リリアナ様が辞めてしまえば、アラン王子もきっと学校を去るでしょうから」

「ありがとう! 皆!」

「リリアナのためなら……ねえ?」


 そう尋ねるアランに、皆が頷く。ああ、なんて優しい友人達。

 私は上機嫌に鼻歌を歌いながら空き教室に、レイラと向かった。

 何もない、殺風景な教室を見つけてウキウキしながら入る。

 そして私達は構えあう、


「さあ、魔法の特訓の始まりよ! 行くわよレイラ!」

「はい、リリアナ様! ではっ……水!」

「風よ……」


 全力で勢いをつけて魔法を使う私達……そこら中からバキバキと言う音が聞こえて冷静になった。魔法の特訓は外でやるべきだったのだと。

 当然のように先生たちが駆けてつけてくる。


「おい!? 何事だっ」

「うわああああ、すみません先生! 魔法の特訓をしていました!」

「外でやれ! 大迷惑だ! 学校が揺れてるんだぞ!?」

「申し訳ございません、悪いのはわたくしですっ」


 私達はこっぴどく叱られ、逃げるように外に出て行ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ