第四話 遭遇と決意
主人公の名前がようやく明かされます。
神の領域とは我ながらよく言ったものだ。・・・と僕は心の中でつぶやく。そこは、天井や床は全て白で統一され、無限に広がっていそうな位の広さはあるであろう白いドームの中に存在を許されている物といえば、中央にある白色の円卓とそれを挟むようにして向き合っている二つの椅子だけである。そしてその片方に鎮座するのは聡明そうな目でこちらを観察している金髪の少年であった。
「迷い込んだかと思えば、自分から我に会いに来る人間がここまで早く来るとは。あと数百年は来ないと思っていたんじゃが、さすがに神の我も予想外じゃった。」
口火を切った〝神”と名乗る幼い姿からは想像も出来ない程の落ち着いた声で語る少年は呼びかけながら楽しそうに手招きをする。
「まあこっちに来て座れ。話はそれからじゃ。」
「ええ、そうですね。」
僕は神の招待に預かる事にした。
「まずは暗号解読おめでとう。桜田 碧(さくらだ あおい)君。」
そう、僕の名前は桜田 碧 現在高校一年生。いじめられる原因はこの女っぽい名前にもあった。
「なんで誘拐紛いの事までして暗号を作ったんですか?理由は何ですか?」
「んーーーーー、暇だったから。」
そう答える少年の目には真剣さの欠片も見え無い。
「いくら神様だからといって百何十人もそんな理由で誘拐しないでください。子供っぽいですよ。」
「我はまだ見てのとおり子供じゃが・・・・・・。」
「神様に子供も大人もありません。」
「・・・・・・ごめんなさい。」
と、まるで大人が子供をしかるような会話をした後、神は急に目を見開いていった。
「さて、ご褒美タイムに移るとするかの。三つ願いを叶えてやろう。その前に質問じゃ。桜田 碧、汝は元の世界に戻りたいか?」
急な問いかけに思わず返答に戸惑ってしまう。だが、以前からずっと思ってきた本心は・・・・・
「NO・・・・・じゃろ。」
そのとおりだ。もう僕は戻りたくは無い。迷いこそあったが紛れも無い本心だった。僕は無意識のうちに唇をかみ締めていた。
「そこでじゃ。我を見つけた褒美として汝を我が管理しているもう一つの世界に招きいれようと思う。悪い話ではないと思うが・・・・・のるか?」
神と名乗った少年のこちらを見つめる眼差しは会ってから一番真剣だった。たった数分前顔を合わせたばかりなのに、少年の目には彼がもうこれからもう二度と見せることの無さそうな真剣さがはっきりと見えた。僕の答えは・・・・・・・
「ああ、行こうじゃないか。」
僕は少年の眼差しに決意の言葉で返答をした。
神出て来ました。主人公の名前は碧と書いて あおい です。間違えないでください。決して みどり ではありません。
誤字脱字等ありましたら教えてください。