第十五話 弾幕テスト(2)
今回からサイドを使います。
左後方から接近する光属性の魔弾を感知した時には既に体は動いていた。魔弾がスローモーションが掛かったように見える。
(コード1魔法成樹)
その心内語と同時に銀色に輝く槍の先端が無数に割れ魔弾が飛んできた方向に一斉に延びる。その内の一本が魔弾を貫いた。光属性の魔弾は相殺されて消えるのではなく木の枝になった実のごとく金色の輝きを保っている。無数に飛来する弾丸も桜木碧の前にあるものは同じ末路を辿っていた。
(コード2茨の籠)
銀色に輝きながらすさまじい速度で進む槍の一端達は魔弾の射手を囲いこむ。魔弾がフルオートでばらまかれるが展開されている固有魔法派生系の前では意味をなさない。全てが絡めとられるように静止する。だが消えることはない。
その機械は人間を忠実に再現するため目の位置や思考も人間に似ている。だから気付くことが出来なかった。
動揺したことにより上からの飛来物に。闇色の球体は機械に触れた直後爆発し機械は跡形もなく消え去った。
過ぎ去った時間は試験開始から十一秒。弾幕テスト一位更新。
side和田 鞘佳
演習場に映し出されている映像を見て私は絶句していた。試験開始と同時に彼の右手に槍が忽然と現れたことには驚きはしたがそこまでだった。私は今まで数々の固有魔法の正体を見抜いてきた。だが現実に起こったことを改めて確認しても彼の固有魔法の正体が分からない。
彼は魔具を使わなかった。それは事前に桜木君本人に確認してある。魔具を使う時は使用する魔法を魔具に認識させるため音声認識を行う。その時ある程度ワードから魔法の正体を想像することは出来るが今回はそうは行かなかった。彼を見ていると面白いことになりそうだ。
和田 鞘佳はそう確信した。
side遠藤 浩助
桜木 碧は強い。確かにそう思った。だが何故だろうか。最後に何故固有魔法で機械を壊さなかったのか。
念のためだが調べておくに越したことは無い。
「アイ・ノウ」
腕時計の形をした魔具に音声を認識させる。危険度は17。クラスにいるほとんどの固有魔法より少ない危険数値に少しばかり驚く。
さて、明日から大変だな。
遠藤先生の固有魔法が若干予測できる・・・かな?




