第十四話 弾幕テスト(1)
しばらく更新できてませんでした。申し訳ない。
時刻は午後4時本来は部活動に勤しんでいるクラスメイト達に周りを囲まれて僕は押し寄せる質問の嵐から身を守るのが精一杯な状況であった。
「桜木君。」
その途中で話しかけてきたのは隣にいた和田 鞘佳(わだ さやか)と自己紹介をしてくれた大人びた風貌を持つクラスメイトだ。
「魔具を持っていないみたいだけど大丈夫?」
「はい。魔具無しでも結構早く出せますから。怪我しない程度に頑張りますよ。」
魔具とは個人で違っている魔法素粒子の波長に合わせて魔法を最速、最大威力、最適に行使しやすくするオーダーメイドの機械である。
オーダーメイドという特徴から個人にとって馴染みのある物で作られている物が多い。魔具を使わないと魔法を使えないという波長が特殊な人や波長が弱い人もざらにいる。
その性能故に魔法を使う物の中では魔具を使うことが当たり前だ。そのようなメリットがあるにもかかわらず魔具を持たない桜木 碧に彼女は疑問を抱いたのだろう。だが桜木 碧にとっては魔法素粒子の波長を読み取ることで(・・・・・・・)最適化する魔具は彼が持つ固有魔法にとって行使の邪魔にしかならない。
それ故彼は基本属性の闇を使う時も魔具を使わないのだ。
この世界にたった一つしか存在しない魔法のために。
「おぅ来たか。早速だが魔弾の種類はどうする?」
「特に決めてないのでどれでもいいですよ。」
「おいおい、大丈夫か?弾幕テストは難易度4のハイランクだぞ。」
第一演習場に先に来ていた遠藤先生がそういいながら怪訝そうな表情を浮かべる。それもそのはずだ。
正式名称、魔弾機関銃士撃墜テスト。そのテストの内容から弾幕テストと呼ばれるこのテストは属性を持つ魔法弾を機関銃の速度で撃ってくる機械仕掛けの魔弾機関銃士の攻撃に当たらないようにしながら機械を破壊することがこのテストの成功条件だ。ランキングはクリアした秒数が短い者程上位となり、次に機関銃士にどれくらい接近できたかという順番である。機関銃並の速度で襲ってくる魔弾を避けることはほぼ不可能といってもいいだろう。故に魔法同士で相殺しながら進まなければならない。
ここで魔法の相殺について話しておこう。現実に水は火を消すように、水属性の魔法は火属性の魔法を消しやすい。反対に火属性の魔法が水属性の魔法を消すには相当な魔法素粒子の量と魔法の質が要求される。桜木 碧の持つ基本属性の「闇」は、「光」に対して魔法素粒子の量が1.2倍要求される。
「それなら桜木も自信があるみたいだし魔弾の属性は光にする。使う魔法の種類は?」
「闇と固有魔法を使おうと思っています。」
「わかった。そこの扉から室内に入って10秒後にテストが始まる。開始2秒後に初弾がばら撒かれるからな。もうはじめるか?」
「はい、お願いします。」
僕はゆっくりと扉を開けて室内に入る。中はジャングルのように木がうっそうと生えていた。
必死に高ぶる心を抑える。
この世界に来て
『彼ら』に会って
意識を取り戻し
活動に参加してから
2日も魔法を使わなかったことなんて
あっただろうか。
無い。
無機質な声で『試験開始』が告げられる。
自分の中にある無限の魔法素粒子の一部を手に創り出す。
僕が願うのは槍。
素粒子だけで創られた槍は「光」属性ではなく僕の固有魔法の色である銀色に輝いて
左からやってくる魔弾。
--------さぁ
「貫けっっっ!」
間違いがありそうで怖い。
次回桜木 碧の固有魔法が明らかに。




