第十一話 命を落とす危険性について
一通り案内が終わったようで、鎌宮生徒会長と僕は校長室に戻ってきた。ゆっくりと鎌宮生徒会長が扉を開ける。
「ふぉふ、ふぁひゅひゃひゃ。」
・・・とんでもない脱力感です。
「校長先生、何を食べてるんですかぁ?」
校長さーん。鎌宮生徒会長青筋浮かべてますよーーー!気付いてーーーー!
瞬間、校長さんがくわえていたドーナツが消し炭になったのは言うまでもない。
さっきの出来事から十分ほどたつ。校長さんは床に座らされながら鎌宮生徒会長にしかられている。こうしてはたから見ていると、年の離れた姉が妹を叱り付けている様にしか見えない。でも、校長さんと僕を入れ替えてもその構図が成り立ちそうなのは気のせいだろうか。ゾッとしない。そんなこんなで説教はまだ続く。
それからさらに一時間後。現在は六時五十七分。そろそろおなかが減ってきました。説教は最終段階に入っています。校長さんが泣き出しています。いつもこんな肝心なのだろうか。鎌宮生徒会長ってもしかして最強?なんて想像しながら校長室にある本を読む。恋愛物らしいがこの容姿なのでよく分からない。それでも暇なので読み続ける。あ・・・説教終わった。
「校長さーん、食堂って・・・・。」
「白化したわね。いい気味。」
ほんとに漫画のように白くなった校長さんの遺体がそこに転がっていました。・・・・あーあ。
鎌宮生徒会長は校長さんの行動原理をよーーーーーく分かっているようで、ポッケットから飴を取り出して校長さんの口元に近づけると校長さんが色を取り戻して飛び起きた。・・・校長さんふっつかーつ。で、結局校長室で朝ご飯を食べることになりました。丸い机を取り囲んで黙々と食べている三人。僕と校長さんの背丈は同じで鎌宮生徒会長は平均より高いだろう。・・・もう母親と娘達に見える位シュールでした。
「あーそうだ。桜木さん。」
突然話しかけられ驚く。そういえばいつの間にか桜木『さん』になっていた。不満だが悪気はなさそうなので気にしないことにしておこう。
「二年Z組には気をつけてね。」
「何にですか?」
「さっき話した無頼 霧也君にも要注意だけど私の妹の方が桜木さんにとっては危険かも。」
「危険」、「とっては」という言葉に引っ掛かるものがある。
「私の妹は無類のかわいい物好きでね。大人しくいうこと聞くものにはものっすごい愛情注ぐんだけど、拒否すると切り殺されるから。具体例はお隣の人からどうぞ。」
「あぁ、私も幾度と無く命の危険を感じたよ。なんとか『影』で打ち落としていたけど。」
・・・ものっすごいやばくないですか?それ。特に、校長さんとか僕とか校長さんとか僕とか。
「ほんと何度も言ってはいるんですけどね。」
「アレは直らないんじゃないか?」
どうやらこの学園では命を落とす危険があるらしい。
ちなみに作者は伏線張ったら即回収したくなる人です。




