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さて、私自身の自己紹介をしよう。
私の名前は田川カナ。
年はいくつになったか、よく覚えていない。
あるいくつかの理由により、この世界樹図書館で手伝いをしている。
説明するのもためらわれるので、その内おいおい語っていこうと思う。
そもそもこの図書館に、単に掃除等の雑用で雇われたはずだったのだが…。
膨大な量の、書架にさえ納められぬまま積み重ねられた本を棚に戻すのは、掃除という仕事の範疇にあると勝手に判断したのが間違いだったのだ。
思えば、アレが原因だったのだろうと思う。
いつの間にか、書架の整理や、本の貸し出し、本の修復まで、雇い主である館長殿より、仕事内容に追加されていた。
しまいには、鍵の本数が多すぎて、見た目が金属マリモ状態の鍵の束まで預けられ、実質的には副館長状態の、司書見習いという身分を与えられることになった。
ありがたいことだとは思う。
司書の制服を来たミイラや骨など物言わぬ骸と化した先輩方を見つけたり、精神的に物凄く怖い目にあったり、時たま本当に生死の境をさまようような、そんな出来事が毎日1度以上、起きることさえなければ、大好きな本に囲まれて、大好きな本の為のお仕事だし、お給料もすごく良い、理想の職場なのかもしれない。
ああ、呼び出しベルが鳴っている。
行かなくちゃ。