2話:怖がりな俺。
「ウォッ!!」
どこか高い所から、落ちる夢を見て目が覚めた。
「暗い‥‥。」
窓から見える空が、寝る前に見たギラギラ照りつける太陽から、神秘的な光を放つ、月になっていた。
携帯の時計を見ると八時十七分だった。
「‥‥夜じゃん。‥‥!!えっっ!!なんで!?だれかしら起こしてくれんだろぉーぅ!!」
とりあえず文句を言っといた。
「仕方ないから、とっとと帰ろう。」
と思い鞄を持ち、席を立った。すると‥‥。
「カッカッ」
と足音が聞こえてきた。
「ヤベー‥‥。見回りの先公だ。指導室に入れられる‥‥。隠れなきゃ!!」
隠れられる場所は、ないかとキョロキョロしてる間にも足音は大きくなっている。
ヤケクソになり、机のしたに隠れた。そして、足音を聞いていた。
「カッカッカッ」
足音がさらに近くなっている‥‥。
ここで彰はおかしいことに気が付いた。
「見回りにしてはおかしくないか?」
それというのも足音は、一階の職員室の方から聞こえたが、二階の一年の教室へ向かわずに、真っすぐに三階‥‥俺たち二年の教室に向かっているのだ。
これには、少しびびってしまった。
この前見た、ホラー映画を思い出してしまったからだ。
内容は、生徒が数人校舎に閉じ込められ、一人ずつ消えていくというものだ。
その中のワンシーン。
机のしたに、隠れた男子生徒が幽霊に見つかり、断末魔と共に消えた。というものだった
そんなことを、考え怯えていると足音がすぐそこまで近づいていた。
そして、教室の前まで来た。
「ガラッ」
という、ドアを開ける音。そして一呼吸置いて、教室の明かりが付いた。
急に電気が付き、びびって
「ガタッ」
という音をたててしまった。すると、
「だれっ‥‥!?」
と女の声が聞こえた。
恐る恐る、顔あげて声の方を見てみると、俺の高校、『東高校』の女子制服を着た、ショートカットの女の子が立っていた。
「クラスの女の子かな?」
と思った。確信はない。
この高校はクラス替えがなく、当然、同じクラスの奴なら二年間、付き合っていたことになる。
しかし、最初の一ヵ月をのぞいて全く喋っていない。
なので顔も、名前も覚えてないのだ。
しかし、こちらから
「この、クラスの人?」
と聞いてしまっては、確実に相手を傷つけることになる。
そんなこと考えてると、彼女が口を開いた。
「‥‥同じクラスのなんとか君だよね?」
なんとか君ってなんだよ。と心の中でツッコミをして
「あぁ、そうだよ。ちなみに金井だよ。」
「あぁ‥‥。そうなんだ。ごめんね!!‥‥というよりなんで金井くん、こんな夜中にいるの?」
「大丈夫!!俺も忘れてるから!!〈現在進行形〉」
‥‥とは言えないので、言葉を探す。
「ち‥‥ちょっと、ね、ね寝過ごして‥‥。」
チッ、女と話すのなんか久ぶりだから、あがっちまってる。すると彼女が
「あぁ〜〜!!そういえば、ずっと寝てたねっ!!アハハ!!私は、携帯忘れちゃってさぁ、取りにきたんだ!!」
と言った。勝手に話し進めやがって、ヴォケ!!と心の中でつぶやき帰ろうと思うと。
「怖いから、一緒に帰ろうよ。」
と言ってきた。
俺は、窓から飛び降りた。
自殺じゃないし、もちろん三階だって知っている。
ただ、飛び降りずにはいられなかった。
自分でも信じられないぐらいうまく着地できた。足を痛めたが‥‥関係ない。
「女と帰れるかっ!!」
と言葉を吐き捨て、スリッパのまま自転車を、力一杯こいだ。
空には、星達が無数に散らばっていた。