梅の愛と小鳥の愛【詩の中の小さな物語1】
冬を追い出せば
君はずっと
私の隣に
いてくれる?
冬が無くなれば
君はずっと
私のそばに
いてくれる?
冬があるから
君はこんなに
綺麗な花を
咲かせるんじゃないか
梅の愛と小鳥の愛 (写真詩から詩を抜粋)
冬の間、梅の木は愛しい小鳥に会うことができません。その小鳥は寒さに弱いので、春になるまでやって来ないからです。どうしても鳥に会いたい梅の木は、なんとかして冬を無くそうと考えます。しかし梅の木に季節をどうにかする力なんてありません。
梅の木は考えました。まだ寒くても、花を咲かせて、暖かい春が来たと振る舞えばいい。そうすれば、風に乗った花の香りを嗅いで、小鳥はいつもよりも早く来てくれる。梅の木はまだ万全に蓄えていないエネルギーを使って、薄紅色の花を咲かせました。寒さで花びらが震えます。冷たい風が梅の木を突き刺し花を落としてしまう度に、梅の木は根を踏ん張らせて新しい花を咲かせます。それなのに、小鳥はなかなかやってきません。
寒さに体を揺すり、花びらをひらりひらりと落としながら待つ梅の木の枝に、ようやく小鳥がやってきたのは春が来る少し前でした。梅の木はすっかり痩せていました。小鳥は口を固く結び、遠くを見るように梅の木を見つめます。梅の木は声を絞り出しました。
「冬なんて無くなれば、君はずっとそばに居てくれる? そうだよね?」
梅の木はふるふると泣いて、また花びらが落ちていきます。小さくて可愛らしい鳥は優しく答えました。
「冬に外へ出るのは私には難しい。でも春になれば君がこうして綺麗におめかしして出迎えてくれる。寒いから君は休んで、力を蓄える。そうすると花は香り良く、そして君は美しくここに立ち続けてくれる。お陰で私はどこにいても君の元へ帰って来られる。少しでも長く、君といるために必要なことなんだ」
小鳥は木のように何年も生きることができません。だから1年でも長く梅の木と過ごせるように、小鳥も寒い冬の間、体を休めていたのです。
「さぁ泣かないで。綺麗な花が落ちてしまう。君がいなくなってしまったら私は悲しいんだよ」
小鳥は梅の木の枝のあちこちを花を落とさないように飛び回り、美しく鳴いて梅の木を慰めます。2人の春は、始まったばかりなのです。
終
詩に込められた小さな物語。写真詩として公開していた詩から物語を紡ぎました。
愛の示し方は命の数だけ。自分を犠牲にする愛、相手の為を思う愛、自分の気持ちを真っ直ぐに伝える愛。あなたの愛は、どんな愛でしょうか?




