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ようこそ。

訓練区画は重たい空気で満ちたままだった


複数の視線が、真也に突き刺さっている

敵意ではない。

だが、歓迎とも言い切れない


「…ふうん」


最初に口を開いたのは細身の男だった

ツバキと同じ型のコートを羽織り真也を見下すほどの身長だった


「思ったより普通だね。もっと死人の目をしてるかと思ったよ」


「少年に失礼だじゃないか、アオイ」


ツバキが呆れたように言う


「新入りに対する第一声がそれ?」


「だってさ隊長。最速で訓練生を卒業して、

 どんな化け物が出てくるのか楽しみにしてたんだ」


アオイと呼ばれた男は、肩をすくめながら一歩前に出た

その足取りは軽く、

けれどその奥には底の見えない実力が眠っているようにも感じられる


「ま、安心して今日は自己紹介だから」


――パチリ


そういって、指先を軽く鳴らす


それだけの動作だった

だが次の瞬間、真也の視界の端で何かが光った


一つ、二つ……いや、数えきれない

空気中に散った微細な光点が、不規則に漂っている


「……?」


「これ全部ドローンだよ」


アオイは楽しそうに言った


「全部が俺の”目”みたいなもの」


背筋が強張る。

数えきれない程のドローンは一切の音を立てず

気配だけが、じわじわと真也を囲む


「へぇ……」


ドローンの気を取られていると

今度は別の声がした。


アオイの後ろから、ふわりと現れたのは、

頭に獣の耳を生やした女だった。

いかにも獣人というべき見た目だった


彼女は何も言わずに真也の周りを一周する

距離が近い

あんまりにも近すぎる


鼻先が、くんと動いた


「…この子」


ぽつりと呟く


「死の匂いを纏ってる」


真也は少し動揺する


「でも、嫌いな匂いじゃない」


女はそう言ってニコっと笑う


「生きたい匂いもちゃんとする」


「ハルもやめな」


ツバキが溜息をつく


「いきなり人の匂いを嗅ぐのはダメ」


「だって気になるもの」


ハルは悪びれもせず肩をすくめた


「この子、面白いよ」


再び視線を感じる


そのどれもが重たく感じる

が、逃げ出したいなんてことは思わなかった


真也は、ゆっくりと息を吸い込む


感覚で真也はすべてを察したここが真也の目的地

たどり着くべき場所。

今までとはもっと違う。

ここからは本当に一方通行帰ることは出来ない


それでも。


千恵に会いたい、もう一度。

次は目を見て伝えたい”愛してる”と

今はその気持ちが心を支えてくれている


ツバキが一歩前へ出た


「改めて言うよ少年」


その声は、いつもより少し低かった


「もう君は知らない側には戻れない」


一瞬、間を置いて


「私たちと同じ、戦い守る側だ」


その言葉に、誰も口出しをしなかった

アオイは小さく口角を上げ、

ハルは尻尾を大きく振った。


「ふーん」


別の方向から、気の抜けた声がした


「隊長の話にしては短いですね」


壁際に寄りかかっていたのは、

長い髪を無造作に束ねた女性だった

銃のような、楽器のような、よくわからない装置を肩から下げている


「紹介まだ終わってないんですけど」


「自分でしてくれないかな」


ツバキは真也に向き直る


「少年、彼女は――」


「水瀬。最前線の戦闘員だよ」


女性はひらひらと手を振った


「宜しくね。新人君死ににくそうで安心した」


「酷いですね。水瀬さん」


今度は低い位置から声がする


床に座り込んでいた、小柄な影が立ち上がった

フードを深くかぶり込んでおり、

その奥から覗く目は妙に落ち着きがある


「僕はカグラ。主に捜索と回収を担当してる」


そう言って真也を指さす


「多分、同い年」


真也はどう反応すべきか戸惑い

愛想笑いだけ返した


――次の瞬間


訓練区画にいた全員の端末が鳴った


急いでツバキが確認すると皆に告げた


「早速初任務だね」


「え、もう?」


アオイが楽しそうに言う


「早すぎじゃ」


リオがこちらに視線を向ける


「大丈夫、危険度の低い任務だよ」


「ペット探しか。。。」


アオイは残念そうに言う


「十分事件だよ。宇宙人のペットが地球の住居区に入ったんだ」


カグラはローブをはたく

ハルが目を輝かせた


「匂いで追う?」


「ドローン撒いて終わりでしょ」


「都市部だと面倒だね」


各々が好き勝手に話し始める中

小宮が真也に言う


「君の感覚頼りにしてるから」

第七話読んでいただきありがとうございます

これからも定期的に更新していけるよう頑張っていきます

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