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【完結】お飾りの婚約者としての価値しかない令嬢ですが、少し変わった王子様に気に入られて溺愛され始めました  作者: ゆうき


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第七話 不思議な場所

 屋敷を出てから数時間後、無事に馬車は目的地である、雪山のふもとにやってきた。


 外は猛吹雪で、預かってきた防寒具がなければ、簡単に凍死してもおかしくないくらい、過酷な環境だ。


 そんな中、馬車は突然止まり、動かなくなってしまった。


「どうされたのですか?」


「わかりません。確認しますので、少々お待ちを」


 言われた通りに待っているが、中々続報を伝えに来ない。それにしびれを切らして外に出ると、車輪辺りをチェックしていた。


「ああ、シャーロット様。ご覧ください。車輪がやはり破損しています。なので、私はここで修理をしますので、先に向かってください」


「先にって、何かの冗談でしょう? この吹雪の中を、一人で行けと申すのですか?」


「はい。その防寒具には、多少の防寒魔法がかけられているので、問題ありませんよ。まあ、別に帰ってくださっても結構ですよ。その際に、どうなるかは保証できかねますが……」


 この人、もしかしてわざと車輪を故障させたんじゃないでしょうね? あくまでこれは私の見立てなのだけど、凄くこの人が怪しく見える。


 ……まあ仕方がないわね。手ぶらで帰ったら、それこそ酷い目に合わされそうだし、進むしかない。


「それじゃあ、行ってきます」


「はい、お気をつけて~」


 何とも間が抜けているというか、自分のことじゃないからどうでも良い感が満載な言葉を背に受けながら、山登りを始める。


 なにかあった時のために、いつものように杖を出しながら、一歩ずつ進んでいく。防寒具のおかげで、寒さはある程度防いでくれているが、完全ではない。実際に、すぐに体が冷え始めていた。


「適度に休憩をした方が良いですわね……」


 すでにガクガク震える体に活を入れて、なんとか燃えそうな木を探すと、ちょうど近くにあった洞窟の中に逃げ込んだ。


「この洞窟の中も寒いけど、外にいるよりかはいいですわね」


 独り言をつぶやきながら、私は持ってきた木を積み重ね、それに向かって魔法を放つが……当然うまくいかず、間抜けな音が出るだけだった。


「火がつかないと、凍えてしまいますのに……お願いします、成功してくださいませ!」


 もう一度詠唱をするが、願いも虚しく成功しない。三度目、四度目、五度目……全て駄目だ。


 次やっても駄目なら、この木を布団や毛布代わりにして、少し暖を取らせてもらおう。普段から劣悪な環境なのだから、これくらい問題ないはずだ。


「う~っ……たぁ!!」


 魔法陣は赤くなり、ついに成功かと思いきや、魔法陣は小規模な爆発が起こした。


「いたた……あっ、火がついてる!」


 爆発の勢いで尻餅をついていると、バラバラになった木の中で、火がついているものがあった。それを急いで集めて、火を燃え広がせて……立派な焚火が出来た。


「これで暖が取れますわね。あとはお天気を見ながら、進める時に……」


 気のせいだろうか。さっきから、地鳴りのようなものが響いているのだけど……いえ、気のせいじゃない! この音って……!


「あっ……!」


 気づいた時には、もう遅かった。洞窟の入口がどんどんと雪が流れ込んできて、完璧な壁を作り上げてしまった。おそらく、今の爆発の衝撃で、小規模な雪崩が起こったのだろう。


「これでは出られないわ……どうしましょう……こんな密室で焚火を続けていたら、遠くないうちに私は……」


 焚火の煙は、吸い過ぎると体に害で、そのまま死んでしまうことがあると聞いたことがある。暖を取れなくなるのはつらいが、放っておくことはできない。


「……あら?」


 よく見たら、この洞窟はまだ奥に行けそうだ。もしかしたら、別の出口に出るかもしれない……行ってみましょう。


「足元に気をつけなきゃ……」


 焚火に使っていた、太くて大きな木を松明代わりにして、奥へと進んでいくと、そこにあったのは大きな地底湖だった。


 どうしてかはわからないが、洞窟の中なのに地底湖一帯は明るい。なにか特別な石か、魔法関係のものによるものだろう。


「出口がないか探してみましょう」


 杖と松明を力強く握りながら地底湖のところに到着すると、何か不思議な気配を感じた。人の気配でも、魔法の気配でもない……。


「なんでしょう、この気配。この近くに……これ?」


 不思議な気配が一番強く感じるところの前に立ってみるが、目の前にあるのは、何の変哲もない岩壁だ。これに一体何が?


「……えっ……?」


 どうしたものかと思案していると、杖が突然光りだした。その光は、岩壁に縦に一本の線を引くような形になり、それ以上動かなくなった。


「杖が、何かを私に伝えようとしている? もしかして、お母様……?」


 私は、少しだけ後ろに下がると、先程の光の線に沿うように杖を振り下ろした。すると、まるで空間が裂けているかのような、とんでもない現象が起こってしまった。


「な、何が起こったの?」


 いくら考えてもわからない。この先に何が待ち受けているのか、安全か危険か……しかし、このままここにいても仕方がない。


 だから、私は意を決して裂け目の中に入ると、すぐに景色が変わった。


 そこに広がっていた景色は……森の近くに静かに佇む小さな湖と、傍に立っている小屋が特徴的な、とても暖かい場所だった。


「ここは一体……?」


 不思議と、ここにいると心が安らぐ感じがする。それに、ここには沢山の不思議な気配……そう、精霊と呼ばれる不思議な存在の気配を沢山感じる。


 とはいっても、あくまで気配を感じるだけで、その姿が見えるわけではない。


「おや、まさか空間の裂け目を自力で開いて来る人がいるなんて、驚きだね」


 声のした方を見ると、一人の男性が小屋から出てきた。スラッとした体とシュッとした青い目、銀に輝く長い髪を、動きやすいように縛っているのが特徴的だ。


「って、君は確か……そうだ、シャーロット嬢ではないか! それに、その杖は……」


「あなたは……ルーク様!? お、お久しぶりでございます。息災そうでなによりですわ」


 まさか、こんなところでこの人にお会いするだなんて、予想しろという方が無理な話だ。


「おかげさまでね。それよりも、そんなに震えて……服もあちこち凍って! 大変だ! ほら、入って暖まるといいよ!」


 私は、彼の暖かい手に優しく引っ張られて、小屋の中に連れていかれた。


 この優しい彼の名は、ルーク・クレマン様。この国の、第一王子だ――

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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