第六十六話 怪しい来訪者
結果発表を聞いた後、私達は家に帰る前に、謁見の間にいらっしゃると思われる、国王陛下にご挨拶に伺った。
以前約束した勝利の報告もそうだが、なによりも改めて結婚を許しをもらうため……そして、私が襲われたことについての報告もするためだ。
「失礼します、父上」
「失礼いたします。ご機嫌麗しゅうございます、国王陛下」
国王様がいる玉座の間に行くと、苦しそうに咳き込んでいる国王様に出迎えられた。
「ごほっ! ごほっ、ごほっ……うむ。今日は何用かね?」
「改めまして、無事に合格できたことと、結婚のお許しをいただきたく、馳せ参じた次第ですわ」
「うむ。まさか、本当にやってのけるとは驚いた。余は有言実行をする人間を好む。約束通り、二人の結婚を許そう。近いうちに、盛大に結婚式と披露宴も開かせてもらう」
ついに、本格的に私達が結婚できるところまでやってきた。私はそれが嬉しくて、ルーク様に抱きつき、やったやった! と、子供のようにはしゃいだ。
「はっ……た、大変失礼いたしました! 嬉しくてつい……!」
「よい。すぐに用意するが、色々と準備は必要だ。それに、汝達の服や指輪の準備もいるだろう。ゆえに、汝達にも協力してもらうぞ」
「当然です、父上」
「お任せくださいませ」
「良い返事……ごほっ……! ごほっごほっ! がはっ……ぜぇ……ぜぇ……」
最後まで言い切る前に、国王様は口元を抑えながら、苦しそうな咳をする。
自分のことではないはずなのに、聞いているだけで私も苦しくなるような、とてもつらそうな咳だった。
「あの……だ、大丈夫ですか……?」
「なに、これくらい何の問題もない。他に用がなければ、今日は下がりたまえ」
「実は、もう一つ報告がございます」
「ほう。その様子だと、随分と深刻そうであるな。申してみよ」
「はい。我ら王家が古くから封印している禁術ですが……何者かによって封印を解かれ、使用されました」
「なんだと!? 一体誰がそんなことを!? どこかの賊か!?」
いつも冷静な国王陛下が、血相を変えながら立ち上がる。それほど、今回のことは重要で危険なことなのだろう。
「確証はありませんが、ハリーかマーガレットかと。あの二人は親密な関係ですし、なによりもその魔法で襲われたのは、シャーロットなのです。二人はシャーロットを目の敵にしていた……状況証拠としては、問題無いかと」
「むむむ……禁術は、封印しておかなければいけないというのに……わかった。急ぎ状況を調べる。その間、シャーロットは安全な場所に移動するように」
そうね、ここにいるよりかは、家の方がきっと安心……だと思う。でも、なんだろう……凄く嫌な予感がするのはなぜ……?
「そうと決まれば、早く帰るとしよう。では父上、失礼いたします」
「ごきげんよう、国王陛下。お大事にしてくださってください」
急いで謁見の間を後にし、ルーク様の部屋にある裂け目を通って小屋に帰るが、特に変わらない風景だった。あの嫌な予感は、ただの思い過ごしだったのかしら……。
『おかえり』
『ただいま、絶賛不機嫌パラダイス~!』
私達を出迎えてくれた二人の精霊の機嫌は、まさに対局と言っていいほどのものだった。
「ただいま戻りました……あら、彼女はどうしたのですか? もしかして、またイタズラをして怒らせたのですか?」
『違うよ~! この森に、数人の人間が来たんだよ。すぐに帰ったけどね。それで、急に来るなんて非常識だって、不機嫌になってるって感じ』
こんなところに人間が? 一体何が目的だったのだろうか?
「ルーク様、精霊様が、この近くに人が来ていたと仰っております。すぐに帰ったようですが……」
「人間? こんな辺境の地にか? 帰ったのならいいが……用心しておいた方がいいね」
『本当に失礼な人間達だったわ。そうだ、結果はどうだったのかしら?』
「はい、無事に合格できましたわ!」
私は、大きな縁と、とんがっているのが特徴的な、魔女が被るような帽子を精霊に見せてあげると、精霊の二人はパァっと顔を明るくした。
『やったね! おめでとう! 頑張った甲斐があったね!』
『まあ、この僕が見ていたのだから、当然の結果さ……って、何もやってないって思っただろう!?』
「思ってませんよ。見守ってくれましたし、何かあった時に対処できる人がいて、心強かったですもの」
『そ、そうか? あははぁ~! さすがは僕だね!』
若干ナルシストっぽい男の子の精霊は、偉そうに胸を張る。実際に、私の力になってくれたのだから、感謝しかない。
『シャーロット、合格、聞こえた!』
「ええ。みんなの応援のおかげで、合格出来たわ」
『っ!!』
話を聞いて出てきたホウキ達は、大きくジャンプをして驚いてから、すぐに突然一列に並びはじめる。
ホウキ達は、一体何をするつもりなのだろう? そう思った瞬間。ホウキ達は、息ピッタリのダンスを始めた。
「ははっ、みんなの祝福のダンスだね。僕達も参加しようか!」
「え、えぇ!?」
『私達も飛び入りよ!』
『おっ、面白そうじゃん! そ~れ、クルクル~!』
その場の流れに全くついていけないまま、ルーク様に手を引っ張られて踊り始める。
社交界の時のような、ゆったりとしたものではなく、メチャクチャな踊りではあったが……とても楽しくて素敵な時間を過ごすことが出来た。
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