表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】お飾りの婚約者としての価値しかない令嬢ですが、少し変わった王子様に気に入られて溺愛され始めました  作者: ゆうき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/82

第三十二話 美しい国と民のために

「……今のは……?」


 こんな場所で、私達以外の声が聞こえたことに驚いて、辺りを見渡す。当然ではあるが、その声の主と思われる存在など、どこにもない。


「どうかしたのかい?」


「誰かが、私達のことを見ながら笑っていたんです」


「誰か? こんなところに?」


「そうですよね……普通の人が、いるはずないですわよね」


 きっと私の聞き間違いだろう。そう思っていると、ルーク様は真剣な表情を私に向けた。


「もしかしたら、精霊かもしれないよ」


「精霊? そんなことは……」


 私は、お母様が亡くなってから、精霊の声が聞こえなくなってしまった。そんな私に、精霊の声が聞こえるだなんて、考えられない。


「ここには僕ら以外誰もいない。そもそも、普通は空を飛ぶなんてできないからね。でも、精霊なら人間に出来ないことなんて簡単にできるだろうし、見えないことにも納得がいく」


「それは……確かにそうですわ。ですが、どうして私に声が聞こえたのでしょう……?」


「それは僕にもさっぱり……精霊の声が聞こえるってだけでも、僕からしたら凄すぎることだからね」


 いくら色々と知っているルーク様といえど、知らないことだってある。ルーク様に頼りっきりになるんじゃなくて、自分で考えないと。


「もし本当に精霊の声が聞こえるようになってきているのなら、とても喜ばしいことだね」


「どうしてですか?」


「君の魔法が使えない原因は、精霊の妨害だって話しただろう? もし彼らと話せるなら、どうして妨害するか聞けるかもしれないじゃないか」


「あっ……!」


 声の主が精霊というのもそうだけど、どうして私は、自分のことなのに自分で気づけないのだろう。自分の間抜けさが嫌になる。


「楽観視出来るわけではありませんが、魔法が使えるようになるために、一歩前進したかもってことですのね」


「その通りだ。ははっ、僕達が結婚出来るのも、そう遠くない未来かもしれないね」


 だ、だから急に恥ずかしいことを言わないでほしい。恥ずかしくてムズムズしてしまう。


「どうしたんだい、急に背中に顔をうずめて。もしかして、照れているのかな?」


「そ、そんなことはありませんわ。ただ、風が少し冷たいから、隠れただけです」


「ふふっ、そういうことにしておこうか」


 今日のルーク様は、少々意地悪かもしれない。でも、そんなルーク様も良いと思っている自分がいる。


「照れてる可愛いシャーロットと、もう少し空中デートを楽しみたいところだけど、そろそろ僕の魔力が限界みたいだ。このまま城に戻って、裂け目を通って帰宅でも良いかな?」


「は、はい。どこかで降りて歩いても大丈夫ですわよ?」


「シャーロットは優しいね。でも、もう少しくらいなら大丈夫だよ。それに、こんなに合法的にシャーロットに沢山触れられる機会を逃すなんて、僕はしたくないなぁ」


「る、ルーク様っ!」


「あははははっ! ごめんよ、もうからかわないから!」


 やっぱり今日のルーク様は意地悪だわ! もうっ!


「あー……こんなに笑ったのは久しぶりだ。これもシャーロットに、この素敵な国と民を紹介したおかげかな」


「ルーク様……」


「ここは本当に良い国で、民も素敵な人ばかりだ。君もその目で見て、実感したのではないかい?」


 ルーク様の問いに、私は小さく頷いて見せる。


 今日の視察兼デートの間に、私は多くの民達が楽しそうに笑ったり、遊んでいたり、お店を切り盛りしたり……多くのことを見た。


 それは、ひとえにこの国が豊かで素晴らしく、民も良い人ばかりということの証明に思えた。


「僕はそんな国も彼らも愛している。だからこそ、僕はこの国と民を幸せに導き、誰も不幸にさせない王になりたいんだ」


「はい、あなたならきっと……いえ、必ず目指す王になれますわ」


「シャーロット……ありがとう。君にそう言ってもらえると、とても心強いよ」


 満天の星空の明かりでほんのりと見えるルーク様の表情は、その輝きなんて足元にも及ばないほど、キラキラと輝いていた。


 その表情を見て、胸の高鳴りを覚えると同時に……私は理解した。


 ああ、私はこの人に、人生で初めての恋をしているのだと。



 ****



 無事に城まで戻ってきた後、何事もなく裂け目を通って小屋に戻ってきた私達は、ホウキ達に出迎えられた。


『おかえり!おかえり!』


『たのしかった?』


「ああ、最高だったよ。シャーロットは今日のデート、どうだったかな?」


「すっっっっごく良かったですわ!! こんな素敵な体験、生まれて初めてです!!」


 この感動を少しでもルーク様に伝えたくて、溜めに溜めて感想を伝えると、ルーク様は満足げに表情を緩ませた。


「それは何よりだよ。僕も民の普段を生活を改めて見られたし、君と楽しく過ごせて本当に良かった!」


『大成功!』


「それで、あの……次はいつかなぁ……なんて……」


 今終わったばかりなのに、もう次のことを気にしているなんて、何ともせっかちというか……それくらい、次にデートや視察が楽しみだ。


「残念ながら、直近ではないかな」


「そうですか……」


「でも、かわりになんとかできる日を探しておくよ」


「いいのですか? ありがとうございます! それで、ルーク様はこの後どうされるのですか? 研究をされるなら、杖をお貸ししますが」


「さすがに寝るよ。あれだけ魔法を使った後だしね」


 体を伸ばすルーク様の表情は、確かに疲れているように見える。私をおんぶしたり、お姫様抱っこをしながらの魔法……疲れるのも当然だ


「今日はどちらでお休みで?」


「小屋の方で寝るよ。こっちの方が、起きてすぐに研究しやすいしね」


「では、私はお城で休ませてもらいますわ」


 本当は一緒にいたいところだけど、これ以上のワガママはよろしくないのはわかっている。

 だから、裂け目で城に帰ろうとしたら、ルーク様が私の肩に手を乗せた。


「どうしましたか?」


 ルーク様は、私の問いには答えず、その小さな唇を、私の頬にそっと押し当てた。


 やられた方は顔が真っ赤なのに、仕掛けた本人はけろっとした顔をしている。


「さあ、今日は帰って休むと良い」


 そのまま時空の裂け目に押し込まれ、一人で城に戻ってきた私は、そのまま自室のベッドに頭からダイブした。


「…………」


 急に頬にキスだなんて、ビックリしない方が無理だ。思い出すだけでも、顔から火が出そうだ。


「ああ……うぅ~……無理……むりぃ……!今日は絶対に眠れませんわ……!」

ここまで読んでいただきありがとうございました。


読んでいただいた方々に、お願いがございます。5秒もかからないので、ぜひ⭐︎による評価、ブックマークをよろしくお願いします!!!!


ブックマークは下側の【ブックマークに追加】から、評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタッチすることで出来ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ