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【完結】お飾りの婚約者としての価値しかない令嬢ですが、少し変わった王子様に気に入られて溺愛され始めました  作者: ゆうき


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第二十三話 いつの間にか……

■ルーク視点■


「さすがに……あれはやり過ぎただろうか……」


 シャーロットは家に帰り、ホウキ達が忙しなく家の掃除をする中、僕は持っていた魔導書を机に置いてから、深く溜息を漏らした。


『ご主人、溜息! 元気ない?』


『わかった! ご主人、おなかぺこぺこ!』


「あはは、お腹はすいてないから大丈夫だよ」


 ホウキ達の前では笑顔だが、心の中は穏やかではない。


 なにせ、眠っていたシャーロットの顔があまりにも美しくて、愛らしくて……愛おしくて……その柔らかい頬に、口づけをしてしまったのだから。


「本人には気づかれていなさそうだが……急に飛び起きた時は、心臓が止まるかと思ったな……」


 起きる前の予兆などは一切無く、触れた瞬間に飛び起きるだなんて、さすがに予想できなかった。


 あんな芸当が出来るのなんて、野生の中で暮らす動物くらいだと思っていたが、改めて冷静に考えると、シャーロットもとても過酷な環境で生きていたのだから、自衛のために過敏になるのも、当然なのかもしれない。


「もしそうなら、悪いことをしてしまったな……」


 元々、僕からお願いしたことを、シャーロットは快く引き受けてくれて、僕の志を認めてくれた上に支えたいと言ってくれて、婚約も受けてくれて……そんな世界一優しくて素敵な女性を、僕はあんなに驚かせてしまった。


「本当に僕は愚かだ。自分の気持ちを抑えきれないで、婚前の女性の頬に口づけだなんて……!」


 わかってる。僕のしたことは、とても紳士がするようなことじゃないと。


 でも、僕はそれが我慢できないほど、シャーロットに心を奪われてしまったんだ。


 彼女とここで出会って、一緒に過ごすようになって……気づいたら、彼女のことばかり考えていた。少しでも笑ってくれたら嬉しくて、悲しんでいたら胸が痛んだ。


 そんな状態で、幸せそうに眠っている姿を見たら、自分を抑えきれなくなっていたんだ。こんな気持ちは初めてだ。


「これが恋というものか……王家に生まれた者として、恋愛結婚は出来ないと思っていたが……何事も無ければ、僕はシャーロットと……」


 ……ちょっとまて。勝手に僕が話を進めているが、僕達の結婚は、あくまで互いの目標と、互いを支えるという体だ。


 そんな状態で、愛の告白なんてしたら……嫌がられてしまうかもしれない。そうしたら、僕は立ち直れない自信しかない!!


「くそっ……僕はどうすれば……あぁ、シャーロット……」


『ご主人、研究、してない?』


『サボり! サボり!』


『シャーロットのこと、考えてる! ラブラブ!』


 ら、ラブラブって……一体どこからそんな言葉を学んできたんだ? 彼らを作る時の術式には、そんな言葉は組み込んでいないはずだが……。


「みんな、僕がシャーロットのことが好きなのは、喋らないようにね」


『どうして? ラブラブ、幸せ!』


「僕が伝えたいと思えるタイミングが、いつか来るからね。だから、この話に関係することは、シャーロットに話しちゃ駄目だよ。彼女がいる時に、僕に話題として出すのも駄目。わかったかい?」


『わかった! みんな、お口、ぎゅ~!』


『ぎゅ~ぎゅぎゅ~!』


 ホウキには口がないのに、どうやってぎゅ~ってするのか疑問だが、想像したら可愛すぎてにやけてしまった。


 自分で作ったものをではあるが、この子達は本当に愛嬌がある。心の清涼剤というべきか……見ていて本当に和むんだよ。


『ご主人、質問!』


「お、なんだい?」


『なんで、ほっぺ? キス、しない?』


「んぐっ……」


 あまりにもストレートすぎる質問に、喉から自分の声とは思えないような声が漏れ出た。


「だから、そういった話は……」


『ダメ、シャーロット! ダメじゃない、ご主人!』


 ああ……しまったな。さっきの会話では、僕はシャーロット本人や、彼女がいるところでは駄目と言ってたけど、僕に関しては何も言っていなかったな。


「キスは、ちゃんと互いが好きとわかった時にするものだからね」


『そっか! 賢くなった!』


 今ので賢くなったのか……変な知識を身につけていなければいいが……なんて思いながら、僕はベッドに頭からダイブする。


「ほのかに、シャーロットの甘い香りが……駄目だ駄目だ、これでは変態じゃないか……でも、もうすこし……はぁ、シャーロット……また早く会いたいよ」


 枕に顔をうずめながら思いを吐露していると、何か嫌な感じがして立ち上がった。


 外に出ても、これといって何も変化はない。しかし、僕のこういう感はよく当たるんだ……念の為、警戒しておこう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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