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【完結】お飾りの婚約者としての価値しかない令嬢ですが、少し変わった王子様に気に入られて溺愛され始めました  作者: ゆうき


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第十九話 お城へ挨拶

 一度自分の部屋に戻って来たはいいが、ルーク様の迎えはまだやってこない。

 その間に出来ることは……魔法の練習? いや、辞めたって言ったばかりだし……素直にのんびりしていよう。


「そういえば、最近杖を磨いてなかったわね」


 私は、使い古されたハンカチを使って、形見の杖を丁寧に、丁寧に手入れをする。


「ごめんなさい、お母様。最近手入れをサボっちゃってたわ」


 話しかけても、なにも返ってこない。これが普通だったのに、ルーク様という相手がいるのを経験しちゃったから、一人でいるのがすごく寂しく感じる。


「……あら? なんだか、外が騒がしいわね」


 何事かと思って外に出ると、マーガレットと父上がちょうどこっちにやってくるところだった。


「どうされましたか?」


「王家から、シャーロットの迎えに来たと言う男がいてな。貴様、なにをしたんだ?」


「いえ、なにも」


「ふん……まあいい。王家に直々に呼び出されるのだから、相当なミスをしてしまったのだろう。死刑になっても文句は言えんな」


「死刑だなんて、お姉様……かわいそう!」


 勝手に盛り上がってるところに悪いけど、そういう不幸とは真逆のことなのよね。

 でも、勘違いしている家族が面白いから、このまま話を合わせておこう。


「そんな……死にたくない……でも、もう逃げられない……」


「最後の仕事だ。潔く死んでこい」


 一応実の父親に、死なないようにするのではなく、死ぬように扱われているのが異常なはずなのに、これが日常だから気にならない私は、十分異常なのかもしれない。


「とはいえ、さすがにその格好で行かせるわけにはいかん。我が家の品位を問われてしまうからな。屋敷の二階にある部屋に、服と使用人を用意してやったから、そこで準備をしてこい」


「わかりました」


 言われた通りの部屋に行き、最低限の身だしなみを整えてもらった私は、そのままお城の人が準備した馬車に乗り込んだ。


「では、行ってまいります。これが最後の別れにならないことを祈っております」


「いや、祈らなくてもいいし。杖だけあればいいから」


 最後の最後まで酷い扱いを受けたまま、馬車に乗ってお城へとやってきた。


 お城に来るのは初めてだから、緊張する。近くにある、王家が所有しているパーティー会場には行ったことがあるけど……。


 そんなことを思いながら、馬車を降りようとしたところで、ルーク様が出迎えてくれた。


「おはよう、シャーロット殿。今日は一段と美しいね」


「おはようございます、ルーク様。お褒めに預かり、光栄でございます……って、どうして馬車に乗るのですか?」


 てっきり私を降ろすエスコートをしてくださるのかと思ったら、逆に馬車に乗り込んできたのは驚いた。


「なんだか緊張しているように見えてね。城に行く前に、少し話をと思ってさ」


「そうですね、緊張はしております」


「大丈夫、僕が傍にいるから。ところで、今日の格好は自分で?」


「いえ、珍しく家の者に用意してもらいました」


「なるほどね。シャーロット殿自身が、元から素敵な人とはいえ、その服は少し違う気がするな。せっかくだから、今日も僕が準備しても構わないかな?」


「ええ、構いませんわ。ルーク様が用意してくださるお召し物、大好きなんですの」


「それは光栄だな! って、にやけてる暇はないね。それっ!」


 いつものようにパチンっと指を鳴らすと、私の体の周りを飛ぶように光が現れ、私の体を包み込む。それから間もなく、私の服は全くの別物に変化した。


「どうだい?」


「す、すごい……とっても素敵ですわ!」


 ルーク様に差し出された手鏡を使って、自分の姿を確認すると、まるで自分じゃ思えないような姿が映しだされていた。


「ふふっ、そうだろう? ドレスとか化粧とか、そういうのに詳しい女性達に、色々とアドバイスをもらいながら、魔法の調整をしたんだ。まあ僕の好みも入ってはいるけど……素敵な仕上がりになったはずさ」


 ルーク様には、最初の服を皮切りに、小屋に行くたびに、可愛い服を用意してもらったのだが、このドレスは一段と可愛くて、上品さもあるし、肌触りも最高だ。


 ちなみに、魔法の服は一日で消えちゃうから、このドレスは今日だけしか楽しめない。お化粧や髪のセットも戻ってしまうから、時間には気をつけないといけないと、前にルーク様から聞いたわ。


「ありがとうございま」


「どういたしまして。さあ、行こうか。父は玉座の間でお待ちだよ」


「はい」


 私は、ルーク様にエスコートされながら馬車を降りると、そのままの形で城の中へと連れて行ってくれた。


 その道中では、見張りをしている兵士の方々や、仕えている使用人の方々とすれ違い、驚かれたり、事情を知っているのか、ルーク様を祝福したりしてくれた。


 しかし、中には私の評判を知っている人もいたようで……あまりいい顔をされなかったり、どこからか陰口を叩く声が聞こえていた。


「まったく、シャーロット殿の良さがわからないだなんて、可哀想な人達だ。僕が小一時間ほど説明してあげようかな」


「今は他にすべきことがございますわ」


「わかってる、冗談さ。本当は、今すぐに解雇して、路頭に迷わせようと思っているよ」


「もっと駄目ですわよね、それ……」


「あははははっ! まさか、するわけないじゃないか。なんでも真に受けちゃうシャーロット殿も可愛いね」


「か、からかわないでください」


 良いように遊ばれて、ちょっとだけムッとしたけど、おかげで緊張感は解れた。

 もしかして、普段言わないような冗談は、これのために?


「……ありがとうございます、ルーク様。少し緊張が解れましたわ」


「それはなによりだ。もう着くよ」


 城の最上階にある、大きな扉を通った先には、大きな玉座に深々と腰を降ろす男性と、その両脇を守るように立つ二人の男性の姿があった。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


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