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Magical Science  作者: 天網 慶
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最終話 平和

ワットは目が覚めた。周りを見渡すと、残りの5人もワットと同じような体験をしたような顔をしていた。すると、レオが話しかけてきた。レオはワットの魔法から解放されていた。

「歴史の真実を知ったようだな。どうだ?HUOのメンバーとして、私に協力してくれるか?」

 全員、すぐに否定することはできなかった。これは「どちらの立場が正義か」と簡単に判断できるものではない。

「それでも、この世界は間違っている。みんなを監視することは間違っている。」ワットがそう言った。キャシーとコーネリウスはワットに同調した。しかし、シーザーとゼイラ、ノヴァはHUOの考えに同調する。今まで仲間だった者たちが、支持する立場の違いによって溝が生まれる。あたりの空気がピリつき始めた。沈黙がしばらく続く。――

 沈黙を破ったのはレオだった。レオが『デストロイ』を繰り出す。ワットとキャシー、コーネリウスはすんでのところで避ける。

「待て!話し合いで解決すべきだ。」シーザーがレオを制止するが、レオは止まらない。ワットたち3人は、上階へ逃げた。ワットたちが3階に到着したところ、レオは警備に連絡して、3階の出入口を塞ぐよう指示した。ワットたちは閉じ込められてしまった。レオがワットたちに追いつく。そこでワットたちは近くにあった部屋に入って、机の後ろに隠れた。

 レオ、シーザー、ノヴァがその部屋に入ってくる。

「隠れても無駄だ。できれば歴史の真実を知った仲間を殺したくはない。出てきてくれ。」レオが叫ぶ。

「これをあなたの能力で具現化してください。」ワットがコーネリウスに小声で話しかける。

コーネリウスは、特殊魔法:クリエイションを使える。クリエイションは、物質の構造・素性物質を知っていれば、当該物質を創造できるというものだ。ワットはコーネリウスに、「電気」について書かれた紙を手渡した。ワットは、その中の一部分を指さし、そこには様々な銃について書かれていた。

コーネリウスはすぐにピストルを生成し、ワットに手渡した。ワットはタイミングを見計らってレオに向かって銃を撃った。レオは咄嗟にデストロイを放ったが、これは生身の人間にしか効果がない。無機物であるピストルの弾は、デストロイを貫通し、レオの胸を貫いた。レオはその場に倒れこむ。出血が止まらない。

「ここまでか…。これからの魔法社会をお前たちに託す…。」そう言ってレオは息を引き取った。シーザーとノヴァは降参した。するとすぐにレオの部下たちが部屋を蹴破ってくる。シーザーは闘いは終わったと主張するが、血気盛んな彼らは聞く耳をもたない。彼らは一斉に攻撃魔法を放った。

 ワットたち6人はそれぞれ机の裏に隠れて、魔法を防ぐ。防御魔法を展開する暇さえ与えてくれなかった。敵は30人を超えている。人数で叶わない以上、魔法勝負では勝ち目がない。ワットがコーネリウスの目をみて合図をし、コーネリウスは「電気」の紙を読み始めた。そしてフルオートマシンガンを6丁生成、残る5人で配った。

 6人は、体を机から出しても身を守れるように防御魔法を展開した。そして防御魔法の中に銃口を出す小さな穴をつくり、そこからマシンガンを構えた。そして6人は一斉に銃を発射した。防御魔法は、魔法は防げるが、無機物による攻撃は防げない。ワットたちは敵の攻撃を防ぐことはできるが、敵はマシンガンの弾を防ぐことができないので、敵は次々と倒れていった。敵はどんどん部屋に入ってくるが、ワットたちは次々にマシンガンを打って返り討ちにした。

 敵はもう部屋に入ってこなくなった。あたりに血の海が広がる。魔法による攻撃では、敵から血が出ることはないため、その生々しい光景に6人は口を開くことができなかった。

「魔法は確かに便利だが、科学の力には勝てない…。」ワットが口を開いた。誰も返事をすることはなかった。

 残った中央局の人たちはワットたちに反抗することはなかった。彼らは6人に忠誠を誓った。6人は会議室に入り、これからの社会について話し合った。今の社会に蔓延る主な問題は「自由の制限」と「貧富の格差」だった。前者は事の発端となる人物を倒したので、もう解決している。後者を解決するためには、社会の制度を刷新するしかなかった。魔法を使って力づくで解決することもできるが、科学を研究すれば、人々に負荷をかけることなく解決できると結論づけた。


 6人は魔法と科学を融合させた「魔法科学文明」築いていくことにした。その1歩として、A区からD区の区分分けを廃止し、人々に居住・移転の自由を与えた。そして人々に「科学」「電気」の存在を明かした。特に興味を持った人たちは、研究者としてこれらの研究をし始めた。「核兵器」に関しては、6人の心内だけに留めておくことにした。この存在を世間に知られてはならない。その理念の下、6人は「新リベレイションズ」という秘密結社を作り、核兵器に関する情報統制を行った。

 また500年以前のすべての歴史も教育の一環として教えることにした。過去の過ちを繰り返さないために、真実を教えることにしたのだ。ただ、核兵器に関しては、「爆弾」として言葉を濁すことにした。

 こうしてワットたち6人は後に「最初の6人」と呼ばれることとなり、新たな文明が始まった。以前までの魔法文明に比べたら、魔法科学文明は小さな争いは格段に増えたが、戦争規模の大きな争いは決して起こることはなかった。どちらが平和なのか、どちらが良いのかは誰にも分からない。


 平和についての価値観は人によって違う。またその時の為政者によっても変わってくる。大事なのは、平和について「考察」し、自分ができることを「行動」することなのではないか。新たな時代を切り開いた、ロバート・ワトソンのように。

 最後まで読んでくださりありがとうございます。ここまで話を追ってくれたあなたには、本当に感謝しかありません。拙い文章だったとは思うますが、これからも何卒宜しくお願い致します。

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