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episode.13

高宮さんからもらった小さな箱はテーブルの上に置いたままになっている。一度は私との未来を見てくれていた証…高宮さんとのことでこれまで臆病になっていた自分を呪う。この先、もしかしたら開けることは…もう無いのかもしれない。


仕事から帰宅してすぐ部屋のチャイムが鳴った。こんな時間に誰だろう…まさか!? 上着をソファに放ると、急いで玄関まで行き外を確認する間もなく勢いよくドアを開けた。


思わずつまづき倒れそうになったところを、尋ねてきた人に抱き止められた。



「大丈夫ですか?」


ふと顔をあげると、そこにいたのは先日会った東堂さんだった。


「す、すみません!」


慌てて離れると、東堂さんは心配そうに私を支えてくれた。


「律じゃなくてすみません。こちらこそ、いきなり伺って…連絡なかなか頂けなかったので、心配になって会いに来ました」


「いや、その…私こそすみません…あの…」


東堂さんは優しく微笑むと私に小さな紙袋を手渡した。


「なんか、美味しいチョコらしいです。よかったら食べてください」


紙袋には有名なショコラティエが経営するお店のロゴが入っていた。



「ありがとう…ございます…」


紙袋を私に手渡すと、東堂さんはすぐに帰ろうとした。


「あ、あの…よかったらお茶でもどうですか? 高宮さんのこと気になるので…」


「では…少しだけお邪魔します」


東堂さんをリビングに通すと、私は2人分のコーヒーを用意して先程もらったチョコを小皿に取り分ける。勢いで部屋にあげてしまったが、今更、何を聞いたらいいのか…。


「高宮さん、お仕事大丈夫そうですか?」


「はい、元気とはいきませんが支障なく勤務していますよ」


「…よかったです。安心しました…」


それ以上聞くこともなくなり、東堂さんが持ってきてくれたチョコを一ついただいた。口の中で溶けて甘さが広がると、すぐになくなってしまった。


「結衣さんは…大丈夫ですか?」


「…すみません…気にかけていただいて…でも大丈夫なので、心配しないでください」


「いえ、俺がしたくてしていることなので…迷惑でしたか?」


「そんなこと! でも、東堂さんには関わりがないことなのに…ここまでしてもらう理由がありません」


申し訳なさがいっぱいで、私は唇を噛みしめる。東堂さんは立ち上がって、向かいに座る私のほほに触れると悲しそうな表情になる。


「あなたは何も悪くない。これ以上、自分を責めることはやめなさい。今は難しくても、いつか時間が解決してくれるのだから」


それって…もう高宮さんは私のところには帰って来ないってこと? 覚悟はしていたけれど…東堂さんの優しくも残酷な言葉に、涙が溢れそうなのを必死に我慢する。東堂さんは私の頭を何度か撫でると「…長居をしてしまいました」と言って部屋を後にした。


扉が閉じると同時に、次から次へと涙が床へ落ちた。

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