episode.7
旅行から帰ると、年末に一度会えないかと高宮さんからメッセージが届いていた。手帳を開き、都合のつきそうな日にちを送る。するとすぐに返信が返ってきて明日仕事終わりに会うことになった。
「お疲れ様でした」
前髪を整えてリップを塗ると、高宮さんと待ち合わせをしている図書館近くの公園駐車場に向かう。昼過ぎから降り出した雪が辺りを白く染めていた。駐車場に着くと、車の近くで傘をさしてたたずむ高宮さんを見つけた。
「高宮さん! お待たせしました!」
嬉しくなって彼に駆け寄ると、地面の雪に足を取られ転びそうになった。気をつけてと私を優しく抱きしめてくれる。久しぶりの高宮さんの匂いに胸がいっぱいになった。
助手席のドアを開けてエスコートしてくれる辺り、大人の男性って感じでいつもかっこいいなぁと思っている。
高宮さんも運転席に乗り込むとエンジンをかけた。かじかんだ手を合わせながら少しでも温かくなるように擦り合わせる。
「雪積もってきましたね。」
5時を過ぎて駐車場内は街灯の灯りだけで薄暗く感じる。私のほほを撫でると「冷えてるね」と呟いた。そのまま高宮さんの指先が私の唇をなぞる。恥ずかしくなってうつむこうとするも、高宮さんがそれを許してくれなかった。
「…会いたかった」
そう言うと柔らかな唇が重なった。ゆっくりと啄むように何度も唇が重なると、次第に気持ち良くなり力が抜けていくのがわかる。高宮さんの右手がするすると下がり、私の腰を抱いて引き寄せる。距離がぐっと近くなり心臓の音が高宮さんに聞こえるのではないかと心配になる。
「た、高宮さん!」
いよいよおかしな気分になりそうで、必死に高宮さんを止める。
「もう…少し」
高宮さんが珍しく引かなかった。唇からほほ、耳、首筋へとキスが激しくなるのを感じる。少しだけ怖くなって高宮さんの胸を押した。
「高宮さん! 待って」
「…ごめん…嫌だった…?」
高宮さんは私の腕をつかむと、俯いてしまい表情を伺うことが出来なかった。嫌じゃないけど…少しびっくりしたことを伝えると、高宮さんがため息をつき顔をあげた。暗くてよくわからなかったけど、少し困ったような顔をしている。
奈々ちゃんが言っていた『5か月お預け状態』の意味が少しわかった気がする。高宮さんはわたしのことを大切にしてくれてると莉子が教えてくれた。私も高宮さんに会うたび、もう少し一緒にいたいと思う気持ちが強くなってきていた。
「ごめん、結衣さんを傷つけるようなことだけはしたくないから、嫌なときは我慢しないでちゃんと言ってね」
「嫌とかじゃ! ほんとに…」
思った以上に声が出ているのに驚いた。言葉だけじゃ伝わらない気がして、高宮さんの服の胸元を引っ張ると自分から唇を重ねる。唇が離れると、高宮さんが私のほほを優しく撫でて微笑みかけてくれた。
「結衣さん…今夜は雪だし、今から俺の家来ない?」
私もいい歳した大人だし、高宮さんの言っている意味がわかる。高宮さんとなら…きっと後悔しない。
「……はい…」




