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第九話

挿絵(By みてみん)


個人の潜在意識は集合意識の潜在意識領域を通じて他者の潜在意識や無意識と繋がっている。


なので潜在意識に対して質問するのは

ネットの質問コーナーに質問を書き込む事と似ている。


しかし「回答」は

ネットの質問コーナーでの返信とは違う形で現れる。


潜在意識からの「回答」は

「抽象的、または象徴的な偶然の一致」

という形で返ってくる事が多いのだ。



そうーー


ホテルの部屋に戻ってテレビを点けると『落ち穂拾い』の絵が映っていた。


コメンテーターが好き勝手な事を言った後CMが入り、次はニュースが始まった。


芸能人の麻薬使用疑惑が取り沙汰されている。


その芸能人と麻薬密売に関わる反社会的組織との癒着を仄めかすような報道がなされた。


(あー、こいつ切られたな。蜥蜴の尻尾だな、またしても)


こうした「切られた蜥蜴の尻尾」に対して、「正義感」を振りかざしてガス抜き代わりに叩く人達は多い。

それに対して

「袋叩きは可哀想」

「日本人は非寛容」

だのと言い出す連中も湧いてくる。


それらの言論に惑わされると

悪党に切り捨てられた小悪党は

突然自分に冷たくなった社会を逆恨みする、反省もせずに自己憐憫に浸る。

という心理へと誘導されるのである。


「自分を切り捨てた凶悪な悪党を恨まずに、社会を逆恨みする」

それは

「逆らう者を嬲り殺しにするような残虐な暴力団には切り捨てられても尻尾を振る」

「口で批判はするものの決して怖くはない世間には逆恨みして牙を剥く」

という奇妙な心理状態なのだが


悪党に追従する小悪党は

多くの者がこうした状態に嵌る。


(それにしてもさっきの『落ち穂拾い』、余りにもタイミングが良すぎるな。『ルツ記』のページを拾ったことと関連があるのなら、そのすぐ後に報道された麻薬密売組織が「ルーシーの日本人夫」の殺しを請け負った組織と同一か繋がりがある、って事になるよな?)


真行寺の連想や関連付けは

或る意味では妄想的だとも言える。


しかし不思議な事に『潜在意識との良好な関係』を保持している人間の場合には

こうした「抽象的、または象徴的な偶然の一致」を受け入れた推理が高い的中率へと繋がるのである。


警察(主に御手洗)からの捜査協力依頼で現場に赴いて犯人像をプロファイルする場合にも

残留思念を読む他に、こうした潜在意識を活用した「偶然の一致」を取り入れた推理が入り込む。


そして高い的中率を誇る。


同じ事を『潜在意識との良好な関係を築けていない者』が真似をすると

妄想を拗らせて精神に異常をきたす可能性が高いだろう。


「的中率の高い推理」

「的中率の高いプロファイル」

それらが『潜在意識との良好な関係』と深く関連している事を、真行寺は他人に教えようとは思わない。


教えたからといって真似できるものではない。

素養が無ければ単に狂うだけだからだ。



(取り敢えず、絵里と御手洗には知らせておくか。急を要することもないし、メールで良いだろう)

真行寺はメールを打った。


「芸能人の○○○○と繋がりがある麻薬密売組織は、拳銃密売の他、保険金殺人の殺しを請け負ってる組織と関連がある可能性がある。調べてみてくれ。あとO市××町の三丁目四番地のビルの所有者についても調べてくれ」


こうしたメールは絵里と御手洗にとって何度も役に立ってきた。

おそらく今回も何かしらの成果に繋がるだろう。


だが肝心の「送りつけられてきたDVD」の方の事件に関しては未だ手掛かりは掴めない。

(まさか今回の組織と関連があるのか?そんな偶然があって堪るか…)



真行寺はホテルに戻ってルツ記のページを拾った辺りに立ち

空きビルで拾ったタバコの吸殻を手に持ってみた。


(このタバコを吸った男のことをもっと深く探れないか?)

と思ったのである。


(当の男がこのタバコを吸った時のように人心地ついて何処かで一服しているなら、もしかしたら、また別のものが見れる知れない)


なにせタバコには唾液が付着している。


血液や唾液などの体液(精液含む)は

何故か本体と離れていても

「本体から離れた時の状態」と同じ状態が本体の方で再現されている時に

「本体との繋がり」を取り戻すかのようにも見えるのである。


具体的には性犯罪者が犯行現場に精液を残している場合に

その犯人が何処かで性行為をしている

或いは犯行時のことを思い返して射精している時に

犯人の残した精液と犯人とが「共鳴関係によって繋がりを取り戻す」といった具合に。


だがこちらがその瞬間を待ち構えている時に

丁度そういった「繋がり」が起こる事は殆ど無い。


人間は雑多な生き物であり

一日の中でも様々な行為を行い

様々な心境を体験して

様々な事を考えるものだ。



しばらくの間立ち尽くして

新しいビジョンなり印象なりが脳裏をよぎるのを待ったが

やはり何も起こらなかった。


(この場所での捜査はここまでか…)

真行寺は大人しく引き揚げることにしたのだった…。


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