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最強組織の異世界旅行  作者: キサラギ
第一章 『物語は始まった』
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第一章3  『始まった異世界と初めての出会い』

前回と少し書き方を変えてみました。どちらが良いか教えていもらえるとありがたいです。

 翌日の午後2時、俺たちはこの世界から消えた。


 転移魔術発動後、流れるように視界が移り変わり次の瞬間、辺りは無機質な部屋から光の差し込む森の中へと様変わりした。

 敵対生物が居る可能性を考え、俺とユイ はすぐさま周囲を警戒する。

 その後軽く周囲の探索をする事になった。

 このメンバーで対応できないことはほとんど無いが、異世界だし何か有ればすぐに集合し、報告するようにと伝えておいた。


 1時間後


 ユキノ が面白いものを見つけたと、インカム(無線通信機)から連絡が入ったので初期地へと戻った。


「これ」


 そう言って取り出したのは一粒の、宝石のように透き通った石だった。


「これは?」


「検査してみたら、植物と似通った塩基配列を持ってた......つまり何かの種子。」


 普段無口であまり表情を出さないユキノの目がキラキラしている。


「......種子があるなら本体もありそうだから一応許可を取りに来た。」


「なるほど、ではあとで全員で探してみるか。他に何か見つけた事はあるか?」


「周辺に一応道と思われる物がありました。整備されてはいなかったのですが...」


「街に繋がっているかもな。そっちも見に行こう。」


「あたしは特に何も無かったわよ。しいて言うなら何か角が生えた兎を仕留めたくらいかしら。」


 全員の視線がユイへ向かう。


「...それで何も無かったは無理があると思う...」


「そう?まあ異世界初戦闘はあたしが貰ったという事ね!」


「ユイは異世界なんですから慎重という物を考えてください...」 


「わ、わかったわよ...」


 ユイがスズネに説教されて項垂れている。


「初戦闘か、いいなぁ...」


 そう呟いた瞬間、スズネからジロリと睨まれた。


「アキト様も慎重に動くようにしてくださいね?」


「はいっ!了解しました!」


 種子のあった場所へ向かった。

 が、他に種子はない。


「本当にここで合ってるのか?」


「あってる...はず。...通った時は、地面に落ちてた...」


 しかしいくら探しても見つからない


「一つだけだったのでは?」


「...そうかもしれない...ごめん...」


「いやいや、何かあったら報告しろって伝えたのは俺だから謝る必要はない。」


「...ん...ありがと」


「ではユイが見つけた道を見に行って見ましょうか。」


 諦め、移動しようとしたその時、


「ねえアキト、あれって何?」


 ユイが見上げた先を見上げると、木々の上に大きな球体のように蔦が絡まっている物があった。


「あれは...何だ?」


「もしかして......」


 そう呟くと、ユイはスルスルと巨木を登っていった。


「おい!危ないぞ!」


 それから少したってユイが、


「あったよー」


 と言って巨木から飛び降りた。

 慌てて身体強化を発動させ、キャッチする。


「おい、怪我したらどうするん...」


 言い終わる前にユイが手に持った物を見せてきた。


「じゃじゃーん!」


 その手にはバスケットボール程の大きさの、宝石?の様な球体の結晶が乗っていた。


「なんだ?それ。」


「あの蔦の中にいっぱい生ってたわよ!」


「食べられるのか?それ。」


「食べられるんじゃない?」


「...ユイは...異世界なんだから...もう少し警戒するべき...」


「スズネ、どうだ?」


「はい、名前はエメラルドメロン、どうやら地球でいうウリ科のようですね。一応《鑑定》しましたが、毒性は無い様です。」


「だがここは異世界だ...《鑑定》が必ずしも正しいとは限らん。」


「アキト!これすっごく美味しいわよ!」


「え、...」


 横を見るとユイが、切ったエメラルドメロンを頬張っていた。

 ユキノもその横で少しずつ食べている。


 スズネがユイの後ろにたつと


「あなたたちは何をしているんですか?」



 数分後


 とりあえずスズネが見つけたという道へと向かう。

 先頭はスズネ、その後ろに俺、少し離れてユイとその見張りのユキノという並びになった。


 道に出て、どちらに行けば良いか迷っていると、

 遠くで爆発音がした。


 とくに何も考えずそちらに向かうと、バスほどの大きさのイノシシが豪華な馬車を襲っていた。

 周辺には鎧を着た兵士が馬車を守るように5、6人戦っていた。


「ほえー騎士とかいるんですねー。ということは馬車の中にはお姫様とかが乗ってたり!?」


「いや、そこじゃなくてあのイノシシに注意向けろよ...」


「…このままだと…負ける…よ?」


「アキト様、どうされますか?」


「とりあえず近づいてみよう。」


 近づいてみるとなかなかにヤバそうな状況で、騎士のうち3人は頭と腿から血を流し、明らかに満身創痍だった。


 そうして近づいていくと、

 騎士の一人が俺たちに気づいた。


「そこの青年達っ!危ないから直ぐに逃げなさい!」


 たが、すでに遅く、イノシシはこちらの方が弱そうに見えたのか、こちらへ全速力で向かってくる。


「あの騎士は、自分よりも他人を心配できる良い人格者ですね。」


「向かって来てるけど、どのくらいで止める?」


「ユキノがカウント。ユイは《身体強化》5%もあれば十分だろう。」


「...3...2...1...今」


 そのカウントに合わせて、ユイが掌を突き出す。


 ーー《支援魔術・対象指定・即時発動》身体強化・5%ーー


 イノシシはそのまま突っ込み、


 ズンッ


 と音を立ててユイに止められた。


 少女の掌で抑え込まれる巨大イノシシってなかなかの絵面だな。


「アキト、これどうしたらいいの?」


 困ったようにこちらを眺めているユイを見ていると、騎士達が駆け寄ってきた。


 ユイとイノシシを見て、呆然と立ち尽くしているので、


「おーい、このイノシシは討伐していいのか?」


「あ、ああ、そのグレートボアなら、討伐してもらって大丈夫だ。というか俺達には倒せないから、討伐して貰えるとありがたい。」


「だそうだ。」


「じゃあ倒すね?」


 ユイがグレートボアを押さえているのとは反対の右手を引く。


「ユイ...ちょっと...待って...」


「ん?ユキノ、どーしたの?」


「...その方法だと...飛び散る...周辺に...」


「じゃあユキノが魔術でやっちゃう?」


「そうする...」

 ーー《近接魔術・中型・対象指定・即時発動・精密操作》火炎ノ渦・中ーー


 魔術を発動させた瞬間、ユイもろともイノシシが炎に包まれる。


「な!なにをっ!」


 騎士達がまた騒いでいるが、問題ない。

 ユキノの精密操作性はうちの組織の中でもトップだ。

 ユイだけ避けるように炎を動かすなんて造作もない。


 数秒して炎が消えると、すっかり火の通ったイノシシと、無傷のユイが現れた。


 馬車の中にいたのは貴族の御令嬢だったようで、お礼がしたいので屋敷まで連れてってくれるそうな。

 ちょうど街に行きたかったから助かった。


「助けていただき、ありがとうございました。」

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