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双剣魔眼の剣術学院クロニクル  作者: ユズキ
第三章 武闘祭と後継者
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第十五話「交流戦のメンバー」

 俺は学院内予選で優勝した。

 去年第一試合で敗退した俺が優勝したのだから、稽古場は一時騒然となった。

 普段は闇夜の死竜としてコソコソと影で動いている身としては、全校生徒の前で目立つことに抵抗を覚えていた。

 俺は逃げるようにセシリアたちと稽古場をあとにしたのだ。


 翌日、登校してみると俺を見る周囲の生徒の目が変わっていた。

 優勝したことを称賛してくれる生徒や、遠巻きに信じられないといったような目で眺める生徒。

 セシリアは少し離れた場所で誇らしげに見守ってくれていた。


 こんな場面をエドガーに見られたら、またいらぬ誤解を受けそうだ。

 そのエドガーの姿は今日は見ていない。

 昨日のことを引きずっていなければいいが……。


 決勝で戦ったハロルドは特に変わりはなく。

 朝一で顔を合わせた時にはおだやかな表情をしていた。

 俺の最後の攻撃でハロルドを失神させてしまったが、念のため回復術士に治療してもらったし問題はない。

 ハロルドは期日の迫ったウルズ武闘祭に向けて稽古に励むようだ。

 そこでもし俺と当たったら今度こそ自分が勝つと言っていた。


 アステリア王国武闘祭に出場できるのは、ウルズ武闘祭を制した者だけ。

 このアステリア王国内のすべての町村から代表が一名ずつ選ばれるわけだ。


 その前にウルズ魔術学院との恒例行事、交流戦が控えている。

 そして、今日の放課後に選抜メンバーの顔合わせがあるそうだ。

 メンバーは今朝ブランドン先生から発表されていた。

 学院内予選の結果から選出したらしく、予想どおりの内容だった。




 ◇ ◇ ◇




「ウルズ魔術学院との交流戦を行うに当たって、監督に就任したブランドン・ダフニーだ。みんなよろしく頼むよ」


 放課後、六年樹竜クラスに集められた俺たちは、思い思いの表情でブランドン先生を眺めていた。

 俺は白けた顔になっている。


 ……監督って何だよ。

 そんなのあるのか。


 交流戦に選ばれた生徒は全員で七名。

 優勝した俺と、準優勝のハロルド、そしてエドガー、ローラ先輩……あとは準々決勝に残った六年生だ。


 交流戦は両校七名ずつによる団体戦だ。

 最初に試合をする先鋒から順に、次鋒、五将、中堅、三将、副将、大将と呼ばれている。

 最初に先鋒同士が戦い、勝ったほうが相手の次鋒と戦う。

 そうやって負けるまで相手を代えて戦うことになる。

 つまり先鋒が相手の七人に勝利することもあり得る。


 ここ十年の対戦成績はウルズ剣術学院の勝利となっている。

 敗北は十何年も遡らなくてはならない。

 そういった戦績からウルズ剣術学院が勝って当たり前と言う風潮ができあがっていた。


 だが、今年は違うらしい。

 ウルズ魔術学院もここ数年は特に力を入れてきたらしく、今年のウルズ魔術学院は必ず勝利すると息巻いているとブランドン先生が教えてくれた。


 俺は横目でローラ先輩の隣で腕を組んで座っている生徒を見た。

 エドガーだ。

 教室に入るときに目が合ったが、特に何か言われることもなかった。

 互いに無言のまま席に着いたのだ。

 落ち込んでいる様子もないが、いつものエドガーのように雄弁に語ることもない。

 ただ黙ってブランドン先生の話を聞いている。


「説明はこんなところだね。何か質問はあるかい? ん~……特にないようだから続けるよ。さっきも話したとおり今年の魔術学院はひと味違う。俺が調べたところによると、六年生に中級試験に合格した生徒が二人もいるようだ」


 六年生たちがざわつく。

 魔術中級か。

 ということは中級魔法を使えるということだ。

 これは結構凄いことだ。

 剣術と同じく冒険者として十分やっていけるぐらいの実力は備わっていると考えていい。


 なるほど、先輩たちが戸惑うのも納得だ。

 しかしブランドン先生が監督という立場なら、その対策とか作戦なりを考えてくれるんだろうか。

 でなければ何のための監督だ。


「――というわけで、戦う順番を俺なりに考えて見たんだが、これでどうだろう」


 唐突にブランドン先生がメンバーの試合順を発表し始めた。

 内容はこうだ。



 大将 アルバート・サビア

 副将 ハロルド・ソネット

 三将 エドガー・アラベスク

 中堅 ローラ・カプリチオ

 五将 六年樹竜クラスの先輩

 次鋒 六年雷竜クラスの先輩

 先鋒 六年氷竜クラスの先輩



 大将が俺ということは俺の出番は最後か。

 というか学院内予選の順位順に並べただけのような気が……。

 これが作戦だと言われれば苦笑するしかない。


「どうだろう。各自思うところはないかい? 異議は受け付けよう。ただし採用するかは別の問題だ」


 すると、六年生のひとりが静かに挙手した。


「下級生に負けた俺には編成にとやかく言う権限はない。監督の指示に従うつもりだ」


 発言したのは三回戦でブレンダを破った六年樹竜クラスの先輩だ。

 確か流派はザルドーニュクス流剣術だったはずだ。

 その後、準々決勝でハロルドに敗北を喫していた。


 他の六年生も納得しているのか頷いた。

 俺はエドガーが気になった。

 エドガーなら大将にこだわりそうだと思ったからだ。


「エドガー、きみはどうだい? この内容で不満はないかい?」


 エドガーは前髪をかき上げてから佇まいを直すと、


「ふっ、三将の役目引き受けよう。もっともオレの後には出番はないだろうから、実質大将のようなものだ。安心して昼寝でもしていていいぞ、アルバート」

「お、おう……そうか。でも昼寝は相手に失礼すぎるだろう」

「ふん」


 こうしてウルズ魔術学院との交流戦のメンバーの決まった。

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