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ふわっとしたむかしばなし

作者: はる

昔々でもなく、10年くらいしか遡らない昔の話。

なんとなく誰かに知ってもらいたくて、でも誰にも気付いてもらいたくない話。


物語としてはとてつもなく出来損ないで、最初は幸せな家庭から始まった。

両親がいて、兄弟がいて、祖父母と仲がいい笑顔の絶やさない女の子がいた。それはそれは日々が楽しくて、滅多に行くことのない家族旅行にはしゃぎすぎて出先で食べた胡瓜の漬物にお腹を壊すようなちょっとアホな子だった。だけど両親はそんなに仲が良くなくて、母親が父親と居るストレスで体調を崩すようになって女の子が小学2年生のときに離婚してしまった。女の子は離婚だとかまだ全然理解してなくて、何故か家族がバラバラになってお父さんかお母さんを選べって言われて、よくわからないままお母さんの元へ引き取られたそうな。

お母さんの元には既にお母さんの彼氏が居て、なんとなくわからないままお父さんじゃない男の人と暮らしながらそこそこ楽しい生活を送ってた。お父さんと違って色んな場所へ連れて行ってくれるし、夏になればサプライズで花火したり、ネックレスを貰ったり。たまに食事のマナーが悪くて怒られたりしたけど自分が悪いのもわかってたから理不尽だとは思わなかった。冬になって、自室を汚しすぎたので火事の危険性もあるからとストーブをつけずに部屋の掃除をしていると、運悪く祖父母が訪れてお母さんが祖父母に叱られることになった。そして暴走した祖父母は女の子と弟をお父さんの元へと送り出してしまった。お父さんの元にも再婚相手がいた。


女の子は再婚相手と父親、弟との暮らしが始まった。

再婚相手は女の子の母親が心底嫌いだった。そして運悪く女の子は母親の生き写しかと思うほどほどそっくりだった。女の子は再婚相手から嫌われ、些細なことで口喧嘩をすることになる。小学3年生と大人の口喧嘩だ、当然女の子が勝てるわけもなく、それでも口達者なので再婚相手の神経をいつまでも逆撫でした。余計に怒られるとも知らず、親の悪口を言われて腹がたった女の子は何を言われても泣きながら言い返した。ある時女の子は再婚相手に包丁を突き付けられ、こう言われた。

「お前なんかいつでも殺せるんだぞ」

女の子は怖くて仕方がなかったけれど、突き付けられた包丁をどうすることもできず、ただ睨みつけた。相手が自分のことを刺す気がないと理解すると同時に自室へ逃げ帰って泣いた。どうして私がこんな目に合わなきゃいけないのかと泣いた。父親は守るどころか帰ってきて酒を飲んで不機嫌になっては女の子や弟を殴ったりする日もあった。女の子は自室のベッドの上が唯一の安全地帯となった。

少し経ったとき、再婚相手が妊娠した。新たに弟ができたのだ。その頃実の母も女の子を生んでいた。妹もできた。女の子は兄弟が増えたことを純粋に喜んだ。年の離れた兄弟は年の近い兄弟と違った可愛さがあった。小さくて守らなくてはいけないと思った。

女の子の腹違いの弟が少しずつ大きくなってくると家庭内の事情も変わった。しかし父親は変わらなかった。相変わらず酒を飲んで、人を殴って、物を投げて。酷いときはまだ1歳にも満たない弟に向かって物を投げるのでそういう時は自分を盾にしてまで守ろうと思った。女の子も次第に成長して、こんな父親は父親なんかじゃないと理解し始めたし、再婚相手ともうまくやる方法を見つけ出していた。相変わらず口喧嘩はするものの、要らない子だとかは言われないようになっていた。それでも心に刺さる悪態はつかれてしまう。それでも次の日には笑っていた。そうするのが一番良い方法だと思っていたからだ。

女の子が6年生のとき、女の子は反抗をしてみた。

父親のあまりにも酷すぎる暴力に反抗をした。するとどうだろうか、父親は怯むどころか女の子が壁にぶち当たるほどの蹴りを入れて、こう言い放った

「反抗するってことはどうなるかわかってんだろうな」

女の子はもう駄目だと思った。このままいたら死んでしまうと思った。だから逃げ出そうとした。母親との面会の日に帰りたくないと泣いて、初めてはっきりと助けてと声に出した。

それまで空気のようだった弟もついていくと言った。女の子はあまり乗り気じゃなかった。

それから女の子が中学校に上がるまでに怒涛の展開があった。

母親の元へ帰ることが決まり、中学校からは隣町で生活することが決まり、担任に母親の悪口を言われ、母親と再婚相手と担任の三者面談があったり、それでも女の子は幸せな生活が待ってると思って必死に生きた。


女の子が中学校に上がった。

母親の元には既に妹と更に下の弟がいて、気付いたら4人兄弟になっていた。賑やかな家で学校への行き辛さを感じ学校をサボるようになった。その家の中では年の近い弟とよく喧嘩するようになり、母親がいないときには一方的な暴力をふるわれることもあった。それは年の離れた兄弟へ向けたものが多く、女の子はそれが嫌で自分に矛先を向けさせるよう立ち回っていた。踏まれても腹が痛くても、年の離れた兄弟を守りたかった。成績は常に中盤で、学校も行ったり行かなかったりを繰り返し3年が過ぎた。

高校は頑張ろうと思った女の子は自分の力で夢を追いかけるため、働きながら学校に通える高校を選んだ。入学してすぐにバイトも決まり、高校デビューは見事に成功した。中学時代の数少ない友人も一緒にいたので心細さも無く、最初の数カ月はとても楽しかった。その時がいつまでも続くものだと思っていた。

高校1年の夏休み、祖父が病院でもう長くないかもしれないと告げられた。明確な病名は伝えられなかったが、呼吸器官が危ないのだと教えられた。母親は何日も泣き続けた。そんな様子を見て、地元に戻る選択肢をあげると、すぐに地元に帰ることが決まった。僅か3週間ほどで荷造りも済ませ引っ越しした。転校先も決まっていたし、不安はなかった。

転校先の学校でもはじめのうちはうまくやっていた。すぐに生徒会に推薦され、生徒会室でよく話をするようになっていつの間にか生徒会秘書になってたりもした。進路相談の時期に入ったとき、担任と話す機会があった。担任は人格否定が趣味みたいな人間で、すぐに人格否定された。女の子はそれまでクラスの誰かが怒られてるくらいに思ってたけど、ただ叱られてるのではないことにその時気付いた。見下し、否定し、自分の思い通りに動かしたいだけなのだと思った。女の子はそれまでの生活で大丈夫なふりをしていた心が壊れていった。その半年後、女の子は学校を辞めた。

学校を辞めた女の子は引きこもり、どこにも行かなくなった。しかし自分のやりたいことははっきりしていたので、高校卒業資格を取るための勉強を始めた。高校2年生の秋には高卒資格を取得した。女の子は大学進学を目指していた。

しかし女の子の家庭は裕福ではなく、受験のための旅費も捻出するのが難しいので女の子は自分でなんとかしようとまた働き出した。しかし女の子の母親は働くこともままならず、女の子が働いたそばからお金を借りるという名目で月に働いたぶんの殆どをとっていくようになった。その前にも女の子が旅をしたくて貯めた20万を勝手に使い込んだこともあり、女の子は働いても働いてもお金がたまらない状況にその先のことを考えるのが嫌になった。


女の子がその後どうなるかは未だ誰も知らない。

ハッピーエンドかバッドエンドかもわからない。

結末のない出来損ないの物語を長々と語っただけなのだけれど、この先を夢見てもいいのなら女の子は幸せになりたいと願っているだろう。

読みにくい文書を読んでいただきありがとうございました。長いお話にはしたくなかったのでむかしばなしということでまとめました。

個人的には女の子に幸せになってもらいたいと思っています。女の子のその先は女の子次第でハッピーエンドにもバッドエンドにも変わる、完結のしてないむかしばなしでした。

苦労した分、楽しい日々を送ってもらいたいです

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