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超能力者の魔法世界  作者: 松葉 独
始まりの王都編
2/94

どうやら異世界に来てしまったらしい

誤字、脱字があったら文句を言ってください

………………


 暗い。体の毛が総毛立つような感覚が体を襲う。長時間の浮遊感に時間をも忘れてしまいそうだった。まるで水中にいるような、ぬるま湯にでもつかっているような、体の感覚がはっきりとしない。


………………?


 そういえばどうなったんだっけと今更ながら思い出す。体に纏わりつく嫌悪感と倦怠感を押し留めソラは経緯を思い出す。


 僕は、確か何か重要な用事があってあの廃墟区画へといったはずだ。そう、()()()()()()()があったんだ。何だったかな、思い出せない。そしてビルの屋上で風が吹いて……


 そして落ちた

 

 思い出した。が、あまりに不自然すぎる。突然の強風もそうだが、何より空中で能力を使おうとしたとき発動しなかった。それに……


 ()()()()()()()()()()()()()()


 徐々に意識が鮮明になっていく中、ソラはそういえばと思い出したように


(僕、死んだのか?)


 それは素朴な疑問だった。ここまで状況を整理しておきながら、完全に頭の外にあった。そう、死んでいては元も子もない。


………………


 意識は鮮明にある。だがこの真っ暗な世界から抜け出せるのか、はたまた自分は死んでいるのかという疑問に不安を抱くソラ。


……意識が覚醒して何時間経っただろうか、いや日付が変わってしまっているくらい長時間になるかもしれない。ふと、周囲環境の変化にきずく。浮遊感というか、水中の中にいるような、空間だったのがいつのまにか消えている。


(そういえば意識していなかったが五感の機能が復活している?)


 嗅覚の復活はでかかった。スン、と鼻を嗅ぐと土の匂いがした。それだけではない。ヒュゥンと肌を撫でるように暖かい風が通り抜ける。


 指を動かすと地面をつかむ前になんらかの食部的触感に邪魔される。呼吸して目一杯に息を吸いこんでから吐く、あのビルの淀んだ空気とは段違いに澄んだ空気を取り込む。


 そして、意識が覚醒してから体感何十時間という長い時間をかけて自分が今目を瞑っていることに気がつく。自分でも驚きを隠せない。瞼を閉じていた、なんてただの一度も気がつかなかった。


 恐る恐る目を開ける。ゆっくりと開けていると、光が視界全体を埋め尽くす。うっ、と最初はそのせいで瞼を開けられなかった。そんな事を何度か繰り返していると流石に慣れて、今度こそ目を開ける。


「………は?」


 声が出た。が、驚くべきことはそこじゃない。その視界には()()()()()()()()()()()()のだ。


 空だ。青いどこまでも青かった。あの黒一色以外の空をソラは見たことはあったが、ここまで澄んでいる空を見たのは初めてだった。


「……………」


 声が出ないほどその光景に圧倒される。夢かとも思い、動いた手で原始的だが頬を抓ってみる……痛かった。と、言うことはこれはリアルにあると言っていいのだろうか?それともこれは高度に設計された、立体映像の最高峰とでも言うのか?


「いや、違うな。僕も信じられないけどこれは現実だ。例え超高度な立体映像でも、人が作ればどこかに人の匂いが漂う。だけどここにはそれが無い、正真正銘のリアルだ。」


 どこか体験したみたいな口調なのは、実際に体験したからであろう。対能力者用に開発したナンチャラコウチャラ言っていたのを思い出す。


「それにこの風は人類には再現できないな。」


 率直な感想とともに暖かい風が再び頬を抜ける。心地よくて今にも寝てしまいそうだが、ソラはその風を気持ちよく受けながらゆっくりと腰をあげ立ち上がる。この日差しと暖かい風が爽快感をソラに与える。


「ん〜。それにしてもここは何一つ無駄のない場所だ。」


 軽く伸びをしながら、ソラは改めて今ここにいることに感動していた。何せ地球とは思えないほど澄んだ空気、風、それはまるで自分自身もその一部となったかのような一体感すら感じる。そしてこの大地、カラカラに乾燥しているわけでもない。しかしジメジメと泥濘んでいるわけでもない。そこから生えている草花たちからは、日光と大地のエネルギーを十二分に吸収したくましく育っている。それからは隠しきれないほどの生命力が伝わってくる。そして何よりこの空だ。青く澄み切った空に見えるのは大地に降り注ぐ熱源、恒星の輝きは地上にいる全てを暖かさと安心で包み込んでいるかのようで、あの黒い塊りとは真逆の印象である。


……自由……


それ以外の言葉が浮かばない。いや、ソラがいた環境のせいでもあるのだろうが、ソラにとってこれこそが今まで感じた中で一番自由だと実感した。


「……そう言えば能力ってどうなっているんだろうか。」


 ハッと我に戻り、自分に起きているであろう変化のことを考える。ビルから落ちる時能力の一切が使えなかった。あの時は慢心し過ぎていた。ソラは地球上の超能力者の中で、頂点に位置する力を持っていたのだ。慢心だってする。


 だがあの時、その最強が使えなかった。ソラは自分の右手を見る。全身のある力を集中させ、少しずつ右手に出力していくような感じで……と次の瞬間、バチバチと青白く細い稲妻が人差し指から親指へ通過した。そして段々と出力を上げていくと、次は複数の稲妻が手の中で飛び交う。


 稲妻は次第に威力を増して行く。右手からはみ出そうなほどに飛び交う稲妻。左手を右手から平行に置き、次は右手から左手へ左手から右手へ、と稲妻を往復させる。次第に強く、次第に太く、その内両手ではカオスなことになっていた。そして両手を勢いよく話すと、ズビィという音とともに稲妻が消失した。


 これが超能力、一般的に超能力とは人間の六つ目の感覚器官であり、例外を除き1人一つまでというのが超能力だ。だが、ソラはそんな超能力者の例外中の例外に当たるのだ。二重能力(デュアル)でも、三重能力(トリプル)でも無い。


 それは能力者の頂点に相応しい能力であり、他の追随を許さないほど強力無比の『最強』。ソラにとってその能力に元々の名前はなかった。が、もしその名を尋ねられたらこういうだろう。


 最強(オールスキル)


 と。……何?安直すぎるって?分かってるよ!


 最強。名前の通り地球上全ての能力を操る能力。身体強化系、精神操作系、自然操作系など、自分の身を強化、他人への干渉、さらには自然環境を自在に操る。全ての能力の原点であり、全ての能力の弱点。それがソラの持つ力の語源であり、それこそがソラなのである。


 そして今使った稲妻もその最強の一つ、つまりはソラにとって身体能力の一つ、自分の身体機能のコンディションは自分が一番分かる。そう、今の稲妻で自分の体がどうなっているのかある程度把握できる。


つまるところ…


「能力の威力が低すぎる。僕のこれは全ての力を最大限に発動できた筈だ。だが、今はほんの九パーセントほどの威力しかできていない。正直言って今他に能力者に襲われでもしたら、逃げるという選択一択だな。」


 つまるところ、今ソラは窮地に立たされていることにようやくきずいたのであった。だが、このまま動かないままでいないソラでは無い。


 何せ、まだ一つしか能力を使っていない。次はここに来る羽目になった理由の一つテレポートの実験である。


 テレポート、瞬間移動能力とは、一度訪れた場所へ任意で瞬間移動をすること、又は、視界内にある場所を任意で移動することが出来る。そのデメリットは特になく、あるとすれば、『訪れた場所』と言う範囲が自分が足を運んだ場所であり、『視界内』とは、決して本の中と言った空想の中へ行くことがない。そしてテレポートは、系統の能力で『空間操作系』の能力になっている。


 テレポートを使用する。この場合『訪れた場所』への移動を選択する。当然ビルの屋上への移動を設定する。頭の中でビルの光景を鮮明に思い浮かべる。そして……


(テレポート‼︎)


 ……移動は行はれなかった。「やっぱりか…」と、ソラは予想内のことだった。と言う口調で自分の能力にがっかりすることはなかった。……表面上は、内心(まじかよ、自分に自信が持てなくなるよ僕……)なんて相当ショックを受けていた。だが、予想通りと言うソラの見立ても間違っていなっかたのであるから複雑な心境だ。


 移動が出来なかった。と言うことは、ここはソラがいた場所よりよほど遠い場所、どころか地球上ですら無い。と言うことだ。いやむしろ世界がそのまま違うと言うことになる。


 ソラの一度訪れた場所と言うのは、地球が崩壊して粉々になっても、粉々になる前そこに足を運んでいれば宇宙空間に瞬間移動するのだ。


 つまりは廃墟区如何の斯うの言う以前に世界レベルでソラのいる場所が変わっている。と言うことになる。


「まじかよ、僕はとうとう世界すら超えてしまったのか……世界と言うのは広いな、と思っていたけど世界そのものが変わってしまうとは思わなかったなぁ!」


 だがソラはこの自由で無駄のない世界のことが好きになっていた。と言うよりも、もうこのままでいいんじゃないか?と思うくらいに、この世界に好意を抱いていた。


「ん〜、気持ち〜な〜」


 思いっきり伸びをしながら大の字に倒れこむ。背中に草の食感が伝わりこそばゆい。そして思いっきり空気を取り込む。肺に澄んだ空気を送り込見み、そして吐く。


 空を見上げる。空は快晴であり、青々とした空が延々と続いている。おまけにさっきから吹いているあったかい風がより一層爽快感を演出する。草花と一緒にソラの前髪が上がったり、下がったりを繰り返している。ソラは眠気を抑えきれず「ふわぁ」と大きなあくびを開ける。


 そして段々と眠りに落ちr………


 ぶるっ、と突然の寒気にソラの目は見開かれた。鳥肌が立ち、ガタガタと指が、手が、震え始めるの抑え、勢いよく腰を上げ空を見る。


 変化がある。さっきまでの晴天は何処へやら、今は暗い雲が青い空へと侵食している。雨雲ではないことは最初からわかっている。なら、なんだあれは、この世界の特殊な災害か何かと思ったが………見つけた。


 肉眼で視認できるかどうか、暗い雲が侵食しているその先頭、それはいた。それは肉眼で黒い点のように思えるほど高飛行している飛行生物だった。ソラはそれを見つけると身体強化で視覚を限界まで伸ばす。


 それは、おとぎ話にでも出てきそうな容姿だった。蝙蝠を連想させる翼はを広げるとその全長は三十メートルにも及ぶ、表面は鱗が付いており、羽を除く部分を見ると、まるで蜥蜴の様に見える。


 『ドラゴン』なんて言葉がしっくりくる。だがその体は酷く傷ついていた。四本の足の内、左前足は無くなっていたし、各足に三本ずつある指は、所々ない部分がある。翼にも大小様々な穴が空いている。そして終いには目から赤光を放ち、得体の知れないものを口から垂らしている始末。


 とその時、ドボンと大粒の涎?が三メートル前方に降ってきた。そしてジュワッと音を立てながら地面に染み込んでいくのを最後まで見ると、染み込んだ場所だけ草花が枯れて土をドロドロにしている。


 ソラは勢いよく振り返り空を、ドラゴンを見る。ソラはあれに対する好奇心が一瞬芽生えたが、次の瞬間には憎悪に変わっていた。


 自然を汚す害獣だ。そう決めつけそしてソラはあのドラゴンを追おうとするとした瞬間、ドラゴンが少しずつ降下していくのが見えた。


 そしてソラは少しずつ視点を落としてやつの行く場所を見つける。そこには………


「まさか……!」


 そこにはそびえ立つ外壁に囲まれた、国?があった。全身をゾワリと一瞬震えさせる。嫌な予感が駆け巡る。次の瞬間ソラは走り出していた。全身の筋肉を強化した脚力はドラゴンとの距離を縮めていく。


そしてたどり着いた先に待っていたのは………

次回はようやくヒロイン?が登場する予定です。

投稿は一週間以内には…頑張ります!

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