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とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第4章 ドッキドッキな野宿体験学習
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第95話

 村の中で、一番、賑わいをしている酒場に、カーチスたち一行が、知り合いの伝手を使い、久しぶりに合コンを開いていたのである。

 伝手とは、非合法に、村の中で、観光客として訪れている女たちや、男たちと、学院の生徒や、村の男や女たちなどを、引き合わせる仕事を、行っている知り合いだった。


 多くの人たちは、優秀な伴侶を求めていたのだ。

 村の中では、正規の仕事をしつつ、裏で、そうした生業を行っていたのである。学院としては、認めていないものの、あえて見ない振りをしていたのであった。


 そうした仕事をしていた者たちも、学院の生徒たちが、敷地内から出られないこともあり、いったん仕事をやめていたのだが、カーチスたちの知り合いは、カーチスたちに頼まれ、熱望されて、否応なく、女たちを集めたのだった。

 時間は、さほど掛からなかった。

 開催されないと言うことを聞き、相手側も、落胆していたからだった。

 連絡をとれば、すぐさま、人が集まってきた。


 ブラークたちも、最終手段を取ったのである。

 声をかけることに、醍醐味を感じていたが、いっこうに、合コンまで行き着かなかったのだった。

 そして、開催する運びとなったのである。


 今回は、人数も、必要だったため、他の人も巻き込む。

 勿論、トリス、クライン、リュートだ。

 その表情は、様々だ。

 概ね、カーチスたちと、約束をしていたからと言う渋々感が、醸し出されていた。


 酒場には、溢れるばかりの客たちが、好き勝手に騒いでいる。

 そうした喧騒を耳にしながら、リュートが、周囲に視線を巡らせていた。

 村人や観光客たちが、楽しげに酒を飲み、謳歌していたのである。


(相変わらずだな)


 自然と、口元が、緩むリュート。

 昔見た、風景と変わらない。

 なぜか、ホッとできたのだった。

 さらに、視野を広げていく。


 カーチスたちのように、働く女や、観光で訪れていた女たちに、声をかけていく男も、ちらほら存在していた。

 その多くが、振られている。

 別な方向に、グルリと視線を移した。

 さすが、学院の生徒たちがいない。


 以前だったら、時期的に、見かけていることも、多々あったが、現在、村に行くことを、禁じられていたからである。

 禁じられているのに、リュートたちは、普通に出かけていたのだ。

 怒られることも、罰を受けることも、平気だったのだった。

 そうした行為が、当たり前の日常になっていた。

 頭に掠めているのは、誘った剣術科の仲間たちだ。


(罰ぐらい、気にしなくても、いいものを)


 素行の悪い生徒たちも、学院側から、強く禁じられ、見回りが、強化されているところに、わざわざ足を運ぶ者も、いなかったのである。

 これ以上、問題を起こし、退学にはなりたくなかったのだった。

 数人、なかなかの腕前の人間が、いることを察している。


(暇人だな……)


 不意に、目の前に、双眸を傾けた。

 繰り広げられていたのは……。

 友達たちが、今日、知り合ったばかりの女たちと、和気藹々と喋っていたのだ。

 そんな光景に、冷めた眼差しになっている。


(裏切り者……)


 目を細めていくリュート。

 自分同様に、あまり乗り気ではなかった、トリスやクラインが、場を和ませていたのだった。

 いつも、トリストクラインは、嫌々ながら参加をしつつも、率先して、女の子たちに話しかけていたのだ。

 ある意味、こうした光景も、見慣れた光景の一つだった。

 だが、納得はできない。


 思わず、ブスッとした表情を、滲ませてしまう。

 目の前に、視線を戻した。

 自分たち男は、六人しかいない。

 それに対し、前にいる、楽しげに笑っている女たちが、十人もいたのだ。


(多いな)


 いつもは、同じぐらいの人数だった。

 そうしたこともあり、自分たちに向けている視線があった。

 酒場にいる客たちからの羨望の双眸も、多くあったのである。




 黙り込み、やや場の空気を悪くしているリュートだ。

 やれやれと、カーチスが呆れながらも、相槌を求めてくる。

「な、リライト」


 話を、全然、聞いていなかったが、一応、ムスッとした顔で、リュートが頷いた。

 こうした場合は、頷くように、言われていたからだ。

 そして、決して、自分たちの名前を使わない。

 それぞれに、つけている偽名で、名乗り合っていたのである。


 瞬く間に、カーチスが、女たちに顔を傾けていく。

 最初、女たちは、リュートに話しかけていた。

 けれど、そっけないリュートの態度に、ほっとくようになっていたのだ。

 多くの女たちの目当ては、話題が豊富なトリスや、クラインだった。


 女たちの意識を、自分たちに持ってこようと、ブラークたちも必死だ。

 いつものパターンである。


(こうなると、わかっていて、なぜ、俺たちを呼ぶ)


 一緒にやりたがる、ブラークたちの思考が理解できず、頭を振る。

「そうだ。飲み物や料理を、頼んでくるね」

 言いながら、一人の女が立ち上がった。

 追随するように、他の女二人も、立ち上がる。


 テーブルの前に、料理が、ほぼなくなっていた。

 それと、グラスに入っている飲み物も、少なくなっていたのだった。


 注文を、聞きに来る女たちがいたが、他の客たちに捕まって、来る気配もない。

 普段よりも、酒場は混雑していたのである。

 注文したければ、カウンターまで、行くしかない状況だったのだ。


「僕が、行くよ」

 笑顔を覗かせながら、キムが立ち上がった。

 少しでも、心象をよくしたい行動だ。

 ただ、単に、ポイントを、稼ぎたかったのである。


「私たちが、いってくるから、大丈夫よ」

 柔らかく断られ、すんなりと、キムが諦めた。

 無理に、押し通さない。

 ありがとうと礼を言い、別な女に、話しかけている。

 切り替えも、早くてはならない。




 三人の女たちが、リュートたちの視界から外れ、カウンターから、奥に行く通路に、潜んでしまった。

 リュートたちの席からは、決して見えない位置だ。

 それでもなお、リュートたちが窺っていないか、入念に確かめる。

 別段、こちらを見ている様子もない。

 ようやく、安堵の表情を滲ませていた。


「ガキね」

 夢中で、女たちを口説きまくっている、カーチスたちを嘲っていた。

 他の二人も、やれやれと言った顔を覗かせている。

 男たちを、誑し込む仕事も、多くしてきたが、まさか、子供を相手にするとは思ってもみない。

 見た目はかなり若いが、それなりに歳を重ねていた。


 彼女たちは、熟練の女諜報員だった。

 生徒たちが、合コンすると聞きつけ、潜り込んでいたのである。

 実際、彼女たち以外の七人は、カーチスたちの伝手が、集めた七人だった。


「随分と、あっさりいけそうね」

「ホント。こんな時に、やるなんて」

 彼女たちの耳にも、生徒たちが村に出ないように、禁じられている話は、舞い込んでいたのである。

 そのため、どういう方法で、学院側に忍び込もうかと、話し合っている際に、生徒たちが、合コンする話が彼らの耳に入ってきたのだった。


 利用できると、彼女たちは、ほくそ笑んでいたのだ。

 自分たち同様に、入り込んでいた仲間たちに連絡を取り、どうするかと、詳細に話し合った。

 そして、彼女たちが、選ばれたのだった。


 大きな集団で動くのは、目立つと言うこともあり、少ない人数で、別々なルートを使い、学院に入り込んでいたのである。

 極力、連絡はしていない。

 芋づる式に、自分たちの存在を、知られないようにだ。


「軽い頭には、女の子としか、ないんでしょうね」

「そうね」

 カーチスたちの笑い声が、微かに聞こえる。

 騒がしい音に、埋もれているカーチスたちの声。

 場から離れても、できるだけ、聞き漏らさないようにしていた。


「男って、ダメよね」

 口の端を、上げている女たち。

 嘲笑している顔が、隠せないほどだ。

「どうやって、連れ出す?」

「全員は、難しいわよ」


 ちらりと、合コンが行われているところに、視線を巡らした。

 それなりに、リュートたちができると、女たちは目測していたのである。

 生徒とは言え、油断できないと。

 そして、人数が少ない、こちら側が、不利だと抱いていた。


「一人か、二人は、連れて行きたいわね」

「誰にする?」

 顔をつき合わせ、思案している女たちだ。

 少しでも、成功率を上げたかった。


「ブスッとして、やる気のない子は、まず、無理ね。誘っても、こないでしょうね」

「「そうね」」

「そうすると、他の五人だけど……」

「トレントと、クエンは、ダメね。いろいろと、喋っているけど、全然、興味なさそうだし」


 冷静に、リュートたちを分析していた。

 会話をしつつ、いろいろと、探っていたのである。


「三人に、絞られるわね」

「あの、キトレって子は?」

 三人の視線が、柔和に笑っているキムを捉えている。

 三人の中で、一番弱いと位置づけていたのだ。


「……そうね。一人は、その子にして、他は、釣れそうなら、どちらかにしましょうか」

「「えぇ」」

 軽い打ち合わせを終え、料理や飲み物を携え、カーチスたちのところへ、女たちが妖艶な笑みと共に戻っていった。



読んでいただき、ありがとうございます。

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